北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『ホーンテッドマンション』の感想

 観てきたよ。2003年の映画よりもマニア向けというか、オタク的アプローチって感じでしたな。

ハットボックスゴースト

 この名前にピンとくる人は本作を観た方がいいし、ピンとこない人はそのまま観てもいいし、事前に予習してもいい。予習必須ってタイプではないものの、「ハットボックスゴーストを映画に出す!」というのが明らかに本作の核。本作の前に頓挫したギレルモデルトロ版でもハットボックスゴーストのアイディアはあったらしい。それだけ目玉ってことなのでしょう。


www.disneyplus.com
 説明したところで別に映画と直接関わるような情報はなく、マジで「ファンが喜ぶ」くらいのものなんですが、背景を知ると知的好奇心が満たされて楽しいので、ディズニープラスで観れる(アトラクションの)ドキュメンタリーがオススメ。別に映画の後でいいです。
 私は上記ツイートにつられてこのドキュメンタリーを事前に観てたので超ビギナーなのに本作のオープニングクレジットで「えっ 映画になったの!?」とタイムリーに驚くことができました。幸運。しかもキャストがジャレッドレトなので笑う。
 このハットボックスゴースト。古参もしくはガチめファンから「分かってるねぇ!」となるであろうキャラだと思うんですが、困ったことに舞浜にはいないんですよね。もっと万人向けを狙うのかと思ったら案外国内、もしくはガチめファンに絞った人選とも言える。まぁ、逆に日本の「分かってる」人の熱はより高まるのかもしれない。私も超にわかながらちょっと興奮してしまいましたし。
en.wikipedia.org
 ディズニープラス未加入もしくは観るのがめんどい人はウィキペも良いぞ。英語版しかないのが笑える。レッツグーグル翻訳!

2003年版

 あれはあれで面白かったんですが、アトラクション要素のある場面が物語とそれほど関係なく、「本編とは関係ないファンサービスの時間」になっちゃってたのが残念。その点本作はかなりがっぷり四つの出来になっててアトラクションのファンは間違いなく本作の方が好きになりやすいと思う。逆に身内ウケを狙いすぎ、みたいな見方もできるのでこれはまぁ好きずきですわ。私はどっちも好きということで(ずるい)。
 本作、歌う石像が出てこないんですが、たぶん「あれは2003年版の子だから」みたいな気遣いがあったんじゃないですかね。かなり印象的なキャラだったので。ただし、ストーリーとはマジで驚くほど関係ない賑やかしだったので、本作のようなガチめの扱いで改めて出てきてほしかった気もする。

ニューオーリンズ

 先ほどの「舞浜にはいないんですがぁ!?」の件とも通じるけど、本作予想以上にニューオーリンズのご当地感というか、文化、歴史を踏まえた作品になってる。あまりにアメリカ的、ローカルな要素が盛り込まれてて意外だったんですが、個人的にはこれが超好き。ディズニーでニューオーリンズというと『プリンセスと魔法のキス』もありますな。あれもローカルな文化盛り盛りで大好き。
 そもそも幽霊屋敷のツアーガイドというのも日本だとあまり馴染みのない設定ではあるんですが、「めっちゃアメリカじゃん」と惹かれた。主人公の、幽霊を信じてないはずなのになぜかツアーガイドをやってる、というオープニングも良かったですね。妻の死は匂わせる程度(ほぼ確定だけど)で、イヤな予感を残したまま別の本編が始まっていく、という。

傷や消失を抱えた者たちのチームアップ

 「そういう話だったの?」と驚いたのが、チーム編成のくだり。終盤にはアッセンブル展開まであってヒーロー映画のような盛り上がりでしたな。ただ、そのメンツがどれも不完全なキャラばかりで、だからこそ幽霊に狙われるし、だからこそチームを組んで成長する。ここはストレートに面白い、熱い部分だった。クライマックスとか、魔法使い(霊媒師)とか無数の幽霊が加勢として現れたりして「いつの間に『ロードオブザリング』ですか?」みたいな感じでもありましたね。
 あと、物語とは直接関係ないけど、主人公がひたすら終始かっこいいので眼福でしたね。文化的背景が盛り盛りという件と通じるかもしれないけど、とにかくオシャレで良かったなぁ。キャストが分からなかったんですが、調べてみたら『ストレイトアウタコンプトン』でスヌープドッグ演じてた人らしいです。あと、未見だけどネトフリ版『デスノート』では何とL。気になるじゃないの……。

スロースターターでもある

 主人公のドラマも良いし、クライマックスの盛り上がりも良かったんだけど、チームとしての魅力が機能し出すのがやや遅いというか、中盤まではちょっと緊張感のない時間も多かった。一応タイムリミットはあるものの、屋敷からは普通に出れるし、ロザリオドーソン(今はアソーカ!)の親子とかも普通に住んでるので、楽しく暮らせるんじゃないかな……みたいな気持ちにもなる。実際、悪霊の親玉を退治したら残りのゴーストは居座って楽しく暮らしましたとさ、party goes on……みたいな終わり方だったし。
 てか、よく考えたらハットボックスゴーストのいない舞浜のアトラクションは本作のエンディング後の平和な日常風景、という見方もできるかもしれませんね。


 終わり。正直「心の一本!」とかそういう刺さり方をしたわけではないものの、思いの外渋い魅力もある作品で観て良かったです。当然のように「ディズニーランド行きたくなっちゃうな!」という気分が盛り上がるんですが、「けど舞浜にはハットボックスさんいないし……」となるのが残念w