北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2023年33号の感想

 『バービー』より先に『リボルバーリリー』を観た私は正しかったのでしょうか……(変な要素もあるが面白かったよ)。

背表紙

 「ジャンプキャラクター初登場シーン集」。凡人。平凡人。

表紙

 合併号じゃないのに集合。55周年記念号だから。BEAMSとのコラボでTシャツ企画ってのは分かるんだけど、せっかくの晴れ舞台なのに可愛さゼロだな。というか、若干キモさも感じる。本当にこれで良かったのか。

巻頭解放区!WEEKLY週ちゃん

 55周年記念ということで、プレゼントページの55年を総ざらい。プレゼントページ好きすぎでは……。
 創刊号。プレゼントの内容がチャリと大量のモデルガンなので笑った。時代が違いすぎる。現在では法律の規制で所持が禁じられてるとの注意書きまであって良すぎる。のっけから面白い。
 その後は割と世相の反映みたいな見方で楽しむ感じなんですが、「今のプレゼントページ」が始まったと思われるのが99年。賞品へのキャプションが始まったり、謎色の強いカマシが露骨になってきてるので笑う。世紀末の空気がプレゼントページを狂わせてしまったのかもしれない。ありがとう、アンゴルモアの大王。

読者プレゼント

 55年の歴史を経てたどり着いたプレゼントページの答えがこれだ! と言わんばかりの55周年記念回。創刊時のキャッチコピー「漫画新幹線」にちなんで新幹線がテーマ。現編集長まで出てくるぞ。
 先ほどの週ちゃんを読んだあっとだと、「自転車を賞品に入れるとは分かってるね……」と通ぶった感想が抱けますね。説明がないので偶然の可能性もあるけど。

巻頭カラー『僕のヒーローアカデミア』394話

 巻頭カラーの扉。デクが両手の指を伸ばして55周年のポーズ……と思ったら『ヒロアカ』9周年のポーズであった。メンツはA組なんだけど、1人知らん人がいるな……というのは嘘で、葉隠
 本編。お茶子vsトガちゃん。お茶子が触ろうとしたり、「顔」が話のテーマになってたりとなかなか感動的ではある。あるが、正直なところ、私の好みとしては2人の勝敗にどのようなロジックが用意されるかが気になってたので、その点ではかなり弱い。てか、『ヒロアカ』最終章は割と全体的にこの傾向がありますね。ドラマとかエモ、そして何より絵の迫力では間違いなく盛り上がるが、ロジックはそんなに注力されない。結局トガちゃんの暴走の時間切れで終わり、という感じだったからなぁ。
 デクはトガちゃんが好きだった人に似てるらしい。ここは結構引っかかったな。なんか「デクへの恋心はお茶子が独占するんでそこんとこよろしく」みたいな妙なメッセージを感じちゃう。まぁ、別に似てる出発で好きになるのも全然アリなんだけど、なんかそうじゃない意味が入ってる気がする。
 そんなデクが似てるという斉藤くん。今号の表紙のTシャツ企画が「EVERY MONDAY」だったのに対し、斉藤くんは「SOMETIMES TUESDAY」。これは笑った。説明すると、今号のジャンプ(紙のみ)は火曜発売なんですよね。まぁ、月曜以外の発売日だと普通は土曜なので、ここはサタデーの方が収まりが良かったと思うんですが、なぜか今号だけ火曜発売とかトリッキーなことしてきたので仕方ない。むしろちゃんと火曜発売であることを把握してたことに驚く。

ONE PIECE』1,087話

 ガープと青キジ。ガープは完全ステゴロであそこまで強いのが痛快だし、そのステゴロが彼のキャラクター表現になってるから二重に最高だな……としみしみ感じていたんですが、割と雑な展開で安易な弱体化がなされたのでかなりテンション下がった。強さのバランス的にはああいう弱体化を挟まないと今後の展開に筋が通らないってことなのかもしれないけど、それならもうバランスとか気にせずその場しのぎ最強合戦をやってほしかった(まぁそれも文句言うと思うが)。
 正直あれだけの傷を負ったら普通の作品だと「死んでしまったか」と思うところだけど、本作だとそうもいかないじゃん。そうなるともう「とりあえず無双タイムを終わらせるためのデウスエクスマキナです」としか見えないんだよな。コビーの活躍も見たかったという気持ち的にもかなり萎える展開。

『呪術廻戦』229話

  “今日術式って何回言った?” は笑った。芥見先生が一瞬正気に戻ってしまった。正気に戻らず好き勝手に用語を連発してほしい。
 「マジで五条先生勝っちゃうじゃん」となり、忘れかけてた「伏黒の体どうすんの」問題について言及。虎杖のときよりも死に近づければ何とかいけるか……とハラハラさせたところで伏黒由来の別の展開が始まる。もちろんあれは既出の情報だし、スクナも重々承知。それなのにしっかり逆転のサプライズとして機能してるから見事なクライマックスだったと思います。

NARUTO-ナルト- 外伝~渦の中のつむじ風』岸本斉史

 55周年記念号らしい特別読切。全世界キャラクター人気投票の1位であるキャラのための読切らしい。なにその超すごい企画。すごいが、岸本先生が久々に描く『NARUTO』がそんな外注みたいな仕事でいいのか、という気持ちも少し湧く。が、ファンからしたら「いやーミナトなら納得でしょ」という感じなのかもしれない。まぁそうなんだろうな。全世界投票だから変な偏りも生じづらいだろうし。
 そんなわけで、『NARUTO』知らない人の感想。マジでこれは書かなくていいし、書かない方が誠実だとも思うんですが、どうせ今は誰も読んでないと思うので。いや、厳密に言うと数人はいる。
 本編。びっくりするくらい面白かった。いや、「めっちゃ面白そうじゃん」という方が適切な表現かもしれないけど、全然楽しめた。1位はナルトの親らしいんだけど、『NARUTO』完結後にシリーズが子供世代へと移ったことを考えると、今特別編としてナルトの親を描くのはむしろキレイに思える。これが企画ありきの作品ってちょっと出来過ぎだな。お馴染みの必殺技誕生譚としてもめちゃくちゃワクワクしたし、後にミナトがラシュモア山の仲間入りするんでしょうね、という最後の演出もオシャレすぎて震える。 “渦も螺旋となりましょう” とセリフがあったように平面が渦を巻いて上方へと移動する話なんだけど、そのラストが平地にいるミナトが上方のラシュモア山の顔と連なることになる、という演出が完璧すぎる。前号の『こち亀』も奇しくも同じだったけど、平面である漫画というメディアの中での立体的空間というのをうまく描いててマジ感動しちゃう。岸本先生マジすげぇと思えたし、『NARUTO』が人気なのもどこか納得してしまった。
 2つの螺旋はおそらくDNAのメタファーでもあって、それは今後ナルトやボルトへと物語が続いていくことも示してるんでしょうね。時の流れは矢印ではなく、螺旋を描いて天へ昇る。それではお聴きください。SALUで「Changes」。
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『SAKAMOTO DAYS』127話

 豹クマノミ戦決着。ちょうど今号の『ONE PIECE』におけるガープ弱体化みたいなイベントが豹に起きるので笑った。さすがに本作はたっぷりボリュームをかけて描いてるので前後の流れが見事で、「こういうのなら全然アリ」と感じる。作者の都合で、強さのバランスを損なわないように、という点は同じなんだけど、そこをどうごまかすか、が大事というか私が好きな部分なんだと思う。
 クマノミたちの出自。人工ORDER計画らしい。スラー一味の方にやたら仲良し感があることにも納得。前からあったけど、殺連に対する疑念が決定づけられたのも良いですね。まぁ平助はそこらへんの物語とあまり関わりがないと思うけど、だからこそ最初にその話を聞く役割になったのかもしれない。
 んで、クマノミ負傷して勝利。電磁石はたぶん再調達できるんだろうけど、レールガンは義手じゃ再現不可能って感じになるんじゃないかしら。これであっさりレールガン撃ってきたら少し萎える、というか謎。

『アオのハコ』109話

 大喜の誕生日。朝自室を出たら恋人が待ってるというワクドキサプライズ。大喜は分かってないけど、千夏パイセンの方から握手を求めてきたのも良いよね。誕生日の話なのですべてが大喜へのプレゼントみたいな気持ちになっちゃうけど、握手のくだりだけめちゃくちゃ彼女側の私欲が関わってて、大喜は知らないからそういうドキドキは一切描かれないけど、握手の意味を知ってる読者としては「ちょっとえっちすぎない?」とハラハラしてしまう。それだけに母登場というクソベタ展開で笑ってしまう。普通とかキスとかでやるやつや。
 雛。 “もうふっきれたよ” とかめちゃくちゃ良い場面で感動しちゃうんだけど、そんな彼女をよそに大喜は恋人作ってやがんぞ……とか変なこと考えちゃう。乗り越えた雛のドラマは感動的だけど、雛の知ってる情報と、読者の知ってる情報に大きすぎる齟語がある。まぁ、ふっきれた今ならそういうことを知っても正気を保ってられる(だから読者も安心してくれ)、ということなのかもしれない。
 んで、案の定母親は親戚の出産に立ち会うため帰ってこない。2人きりの夜が始まるぜー! というマジで笑ってしまいそうなシチュエーションだな。食卓に立って “おかえり” と迎え入れてくれる千夏パイセンの姿にはほとんどギャグとかそういう印象を受けた。そんなにお嫁さん幻想を重ねるタイプの女性キャラではないと思うんだけど。まぁ、今回は多少のやりすぎは自覚的なのかもしれない。

センターカラー『あかね噺』70話

 「替り目」の最中にあかねがついに覚醒。おっ父のことを神格化するあまり落語にとって重要な「普通の人(弱い人)のドラマ」という点が欠けていた、という展開には唸った。いかにも落語っぽいテーマだし、父の敗北から始まる物語としてあまりに完璧。「憧れは理解から最も遠い感情だよ」と言っていた某メガネは正しかった。アニメ面白いらしいですね。
 ひかるは技術という分かりやすい「強さ」で客をロックし、そのまま勝利する流れだったが、あかねは逆に「弱さ」をまとって追いかける。この構図もすごい良い。

『アイスヘッドギル』4話

 扉かっけぇ。迫力もあるんだけど、対決する2人の間にはどこか仲良し感のようなものも漂ってて早くも名コンビというのを予感してしまう。新人の連載開始直後あるあるなのかもしれないけど、こういう扉見るとそれだけでワクワクしてしまうし、作品のことを少し好きになってしまう。
 本編。ギルの全裸ギャグが思いの外しつこい(長い)ので笑ってしまった。躍動感ある動きをして、股間をひたすら隠し続ける。パンツ穿いてないので安心できないが、絵面としては完全に「ヘーイ!」の瞬間の連続である。
 予想外にまったりとした、緊張感のない(説明的な)話になったのだが、すぐに殺人狂という分かりやすすぎる悪役が出てきて楽しいバトルの時間。巨大ブーメラン(2つ)、からの弓による防御、とオモシロ武器が連続して最高。ブーメランが北欧なのかは知りませんが、やはり本作は「何か知らない文化圏の雰囲気めっちゃ出てる!」というワクワクが全編を覆ってて、現状それが最大の魅力になってるんじゃないかな。最近はギャグの方が最大になりつつあるんだけど、この武器のくだりで思いとどまった。ブーメランもだけど、弓のデザインが超かっこいいのよ。

『ウィッチウォッチ』117話

 歯の矯正の子のオリジン。めちゃくちゃトガヒミコみたいな導入なので笑ってしまった。さすがに分が悪すぎる。思えば矯正器具も彼女の笑顔を際立たせるアイテムという意味でトガちゃんみが深い。ただ、矯正ってどう考えても彼女を縛るもののメタファーになると思うんだけど、彼女にとっては逆でつかの間の自由であり、親からの愛情であり(まぁこれが支配だが)、そして吸血鬼との対比。めちゃくちゃ良かった。ここまで作り込まれると担当に「トガちゃんすぎません……?」と言われる心配もない。
 居合いは魔法の条件、とか急に能力バトルみたいな相手の能力の推理とか始まるので笑ってしまったが、まぁこういう理屈並べる展開は本作っぽいというか、親和性あるわな。
 そもそも日の下では戦えません、という前振りからの救援。ミハルきゅんのドラマを考えれば納得だし、燃える展開なんだけど、頭の片隅では「3対1でいいのか?」とか考えちゃう。まぁ、おそらく中学3人の方が年下だと思うので、そこらへんのバランスは加味されてるんだと思います。

 本編後に載ってる新人賞ページ。篠原先生が会話劇の画面作りについて語っててめちゃくちゃ面白いんだけど、よりによって今号の本編が本格バトル回なんだよな。おそらく今月はずっとバトル回なので仕方ないのだが。

センターカラー『キルアオ』13話

 シン、おしゃぶり喪失で弱体化。からの「新しいおしゃぶり」。ノレンが投球フォームに入ったあたりで「まさかこれは……」と思ったけど、ちゃんとその件について静かに言及してくれる。このバランス良かったなぁ。大声で「アンパンマンかよ!」みたいなツッコミは野暮。イメージとしてリアルアンパンが出てくるだけなのでマジ笑った。
 十三、大人になってスポーツやると楽しい。勉強が楽しい件のときは「分かるわぁ」となったけど、このスポーツはちょっと目から鱗だった。今の私はスポーツすることないし、スポーツの楽しさを体感することがないし、何ならやっても楽しくないと思ってるから。ただ、この十三の言い分には納得できたし、この感情はめちゃくちゃリアルだと思う。知らないけどなんか分かる。
 んで、天馬が本気モードに入ってエンド。本気キックでボールが壊れる。漫画の表現としてめちゃくちゃ新しいとは言わないけど、「本気シュートしたらボールが壊れる」という定式ができてしまうと、今後の試合展開がどうなるのかよく分からないな。ネットに刺さればたぶん壊れないし、誰からうまく威力を殺しながらトラップしたら大丈夫なので、そういう方向性の駆け引き(ゲーム性)になるのかな。

『アスミカケル』5話

 一狼サイドのスタッフや配下の紹介。善人とまではいかないけど、それなりに楽しい奴ではあるのでちょっと好意的な印象も湧いたんですが、二兎が “カメラ回してヘラヘラしてる取り巻きの連中も… この空間の全てに反吐が出る” と切り捨てるのでハッとする。まぁそりゃそうですわ。二兎がやや偏狭になってる可能性もあるけど、この言い分は至って正しい。
 それはさておき、本作がどうこうという話ではないんだけど、ああいう状況で同意書にサインした場合、同意書って有効なの? 端から見てあの状況の二兎はブチギレててまともな判断ができてるか怪しいと思うんですが、そのサインするところを撮影したのが逆に同意書が無効であることの証拠になりそう。ちょっと同意書信仰が強すぎるというか、発想がバカっぽい気がする。もちろん動画用の演出ってのは理解できるけど。あと、今後の物語としてあの同意書の有効性に対する疑問を掘り下げるとは1ミリも思ってません。
 本編。ブチギレ二兎が勝利。関節技で秒殺というのはかなり意外で、かつ跳躍というのが漫画映えしまくるので超楽しい場面だった。組むまででモゴモゴする印象あったけど、あそこまで積極的に組みに行けることあるのね。しかも組むと同時に全体重が乗っかる空中という特異性に繋がるのが無駄がなくて美しい。

『鵺の陰陽師』10話

 海で水着ギャル(死語)に囲まれる。あまりに脳天気な絵面から始まるので笑ったのだが、話として学郎のコミュ障の起源に触れ、それを乗り越える話になるので意外と熱い。そして重要で、良い話。
 水着の増員。意外とデザインもキャラクターもしっかりしてて驚いたんですが、その中の1人が割と容赦なく悪意を突き刺してくる。ただ、登場時の第一印象はむしろ「相性は悪いが元気でよろしい」的な感じで、それが徐々に(すぐにだが)悪意が剥き出しになるので怖い。このワンクッションが漫画としてすげぇ効果的だったし、人物描写としてリアルだと思う。悪い人が最初から悪さを向けてくるとは限らない。むしろ最初は探りを入れて「こいつはナメていい」と判断したら露骨に悪意を向けてくる。めっちゃ分かる。めっちゃいそう。悪人の悪意がリアルなので読んでて結構怖かったよ……。
 からの最悪の事態。トラウマの「エッチマン」の再来なんだけど、この直接のキッカケは学郎にも落ち度はあるし、何より最も地獄になるであろう瞬間は「加速するイジリダイジェスト」という謎演出によって省略される、それも明らかにギャグ的なノリで省かれる。謎だ。どういう感情になるべきなのか分からんw
 エッチマンの呪いを乗り越える。ものすごくシンプルというか、情報量の少ない展開ではあったが、文字通り「直視」することで乗り越えるのが感動的。物理的に相手を見て、「エッチ」というトラウマワードとも直面することで “あれ…?” と呪いが解けるのはなかなかリアルだったと思う。下手すると荒療治にもなりかねないけど、今回は心を読める人がそれを行ってるからね。超常的な理屈も込みですごい良い場面になってたと思います。

『逃げ上手の若君』118話

 顕家はアホみたいに速いが、川を挟んだ戦況ばかりは個人の速さではどうすることもできない。ので、若の出番。顕家の紹介、キャラ立て、そして現在の状況、若のミッションと気づけば重要な話が始まっていた。濃いめのキャラで突き進むのかと思いきや、という流れが見事だ。
 そんな顕家への疑問も描きつつ、 “それは戦の中で見極めよう” という結論も良い。新しいアプローチで、その柔軟さに若の成長を感じる。どっちつかずなまま進むが、それが成立するのは芯がしっかりしてるからこそ。

『僕とロボコ』145話

 勉タメジャンプはすべてを解決する。身内の宣伝なのでいくら過剰なことやってもいいし、そもそも逆に宣伝臭さがなくなる、という不思議な現象が起きてたと思う。
 過剰さが面白かったのは事実なんだけど、ちょっと話のフォーマットが進研ゼミのDM漫画なので、「根幹が他社頼りでいいのか……?」みたいなことは少し思った。まぁ、テストの点数アップが勉タメジャンプのおかげじゃないので、進研ゼミとは一線を画してるとも言えるかも。
 6年分の夏休みの宿題として最初に紹介されたのが “1年の時の夏休みの日記なんて書けねェよ…” だったんですが、これをどうクリアしたのかが少し気になった。別に実際の方法とかを掘り下げる話ではないのは承知なんだけど、無理筋でも「勉タメジャンプのおかげウホ!」というのが見たかった。

ブラッククローバー』365話

 圧倒的ネロ回。それもネロが助けられ待ちのヒロインとして機能する。これは意外だった。特に本作の女性キャラはガンガン行動してナンボなところがあるので、ここで受け身ヒロインで『ONE PIECE』の「助けて」みたいなことをやるとは(もっと近いのはクリリンだけどw)。下手するとガッカリなことになるんだけど、ネロというのが絶妙で、アスタとの付き合いは暴牛の中でも屈指の長さだが、暴牛の一員としての歴史は非常に浅い。この絶妙な距離感が本作らしくない受け身ヒロインというのを成立させてたと思う。今回の封緘魔法の使い方がその場しのぎの極みで、めちゃくちゃ後ろ向きってのもある。本話においてネロは何もしてないけど、実際は悪足掻きをする暴牛の面々を土台から支えてるのは彼女の封緘魔法でもある、というのも面白かったな。彼女は何もせず傷ついていく仲間を見てるだけ(より傷つくのを助けてるとも言える)、という役割も良い。

『暗号学園のいろは』32話

 決勝。三竦みのしっぽ鬼かつケイドロに暗号バトルという感じか。正直暗号バトルにやっつけ感があるように思えてしまう。まぁそれは今までもそう。
 カエル、ナメクジ、ヘビ。実際は結構キモいがデフォルメすると滅法可愛い3選になってて何だか好き。特にカエルは化けっぷりは神懸かってるよなぁ。世に溢れるカエルグッズ可愛いもんな。それはさておき、カエルのシッポ、という事情からオタマジャクシになってるのはかなり謎だったな。今後の話に関わってくるならいいが、それほど気の利いた関わり方も想像できない……。
 F組は拷問。言われてみればあって当然、という感じで面白かった。拷問チームが鎌とかオノ持ってるのはよく分からなかったけど、拷問として使われた歴史があったりするのかしら。

『夜桜さんちの大作戦』186話

 七悪に会いに行くが、七悪は北極海なので課外授業。正直このまま学園の中で延々続くのはタルかったので非常に助かる。気持ちいいほど開けた絵面が飛び出るのも最高。
 学園を飛び出て嬉しいと言ったが、またアイ姉さんから離れることになるのは悲しい。まぁ、大した活躍はしなさそうとは思ってたが。
 事故も込みで最終的にパリに行くが、出発は双子の独断。しかし、六美への連絡は長男が “ああ連れ出した” となり、双子が驚くが言葉にして感謝を伝えない(まだ)、というのがスマートで良かった。あんなんでも(親兄弟の)長男としての度量はある。

『アンデッドアンラック』167話

 決勝戦。不真実と不老。正直今更不真実を使ったオモシロバトルが作れるとは思ってなかったんですが、実際にそうだった。ただ、バトル的なオモシロは捨ててドラマ的な感動に全振りしたラストは見事でしたね。決勝が1話で終わってしまうサクサク感と相まってキレイなオチだったと思います。
 ホントは好きなので不真実が発動してしまうため、ファンとの戦闘時は常に目を瞑ってる、という描写が伏線(のつもり)なのは分かるが、いくらなんでも目立ちすぎで伏線もクソもないだろう、という印象。伏線としての面白さよりも初読時のノイズとして悪目立ちしてたと思う。ただ、「そんなことも気づかないファンって……」という話でもあるので、この違和感はむしろ微笑ましい。

『一ノ瀬家の大罪』33話

 長男の事故時の真相(たぶん)。かっこいい場面だったし、「意外な真相」としての楽しさもあったんだけど、一家心中を図る車に飛び込んで助けるって実際問題どんな状況なら成立するんだろうか。どうやって知ったのかもだし、それ以上に走ってる車にどうやって追いついたのか。心中予定の場所が事前に分かってたので待ち伏せてたとか? そんなことある? 崖ならどこでも良さそうだが。
 あと意外だったのは長男との不和において家族側の言い分がビタイチなかった点。「悲しいすれ違いなのよ……」的な言い訳がまったくないので、一ノ瀬家の大人総じてクソ、長男可哀想、出てって正解、とか思ってしまう。カメラを壊す時点でお金に困ってたので、金にならないカメラに走ることが許せなかった、とかならまだ分かるけど、ジーサンが具合悪くなるのは出てった後なんだよな。そして、長男問題においてはジーサンが諸悪の根元っていう。「誰も悪い人がいない悲劇」とか、「全員少しずつ悪い悲劇」ならまだ楽しみ方も分かるんだけど、寄ってたかって意地悪してただけに見える。今後そこらへんの事情が明かされるのだろうか。そんなに引っ張るような話ではないと思ったが。
 最後。テレビを見てる翼を被写体の方から映し出す、という演出がめちゃくちゃ面白かった。現状本作で好きな要素ってこういうオモシロ一枚絵みたいな部分が突出してるな。この点はマジで圧倒的な強さがある。

『人造人間100』30話

 100が無双して皮膚(変身)の人造人間を倒す。核を取り出す一連の流れに無駄がないというか、迷いや引っ張りが一切ないので気持ちいいアクションシーンだった。
 皮膚の相棒は目。「また目かよ」とは思う。それはさておき、善玉サイドに対する “どういう道理で生きているんだアイツらは!!” とドン引きしてるのは笑った。彼女にとってはあしびも他の2人と同様の変人扱いなのがおかしい。
 鏡の間での対決。善玉サイドの目兄妹の連携。この場に目の能力者が3人もいるのか……。
 兄妹の連携。理屈としては分かるが、実際に行った場合、感覚を共有できない以上、連絡に時間がかかり奇襲を返り討ちにすることは不可能だと思う。一応兄妹だからツーカー、みたいなロジックもあるんだろうけど、だからって人造人間の奇襲、それも数メートルからの奇襲を言葉で連絡するのは無理がある。

『ドリトライ』11話

 青空の技が完成。敵の謎攻撃の正体は高度すぎるカウンター。そして、青空が完成させた技もカウンター。超常的な方向にインフレするかと思ったらどちらも地に足の着いたボクシングの話になってて面白い。父の因縁がある相手だからこそ同じ類の技ってのも良いし、同じだけど理屈や実際の攻撃は全然違う、というのも面白い。熱血なノリが目立つけど、実際はめちゃくちゃ理屈っぽいし、その理屈がまだまだボクシングっぽい。
 打たれ強さが自慢だったが、そのことから受け流しの名人へと花開く、という理屈も好き。まぁ、青空は殴られてその都度立ち上がらないとアイデンティティ崩壊に陥ると思うんだけど、どうせ今後もピンチになるのは分かり切ったことなので、心配という感じではない。

『テンマクキネマ』14話

 すっかり主役は姫希に移った感あるな。新市は一旦完成を迎えちゃったので、不完全で伸びしろがあるのはむしろ姫希の方、という感じか。冒頭の “と…友達かどうかはまだわからないわ 相手にも確認してみないと” というのは笑った。笑ったけど、正直この気持ちはめっちゃ分かる。中学とか高校の3年間仲良くしてた友達(私はそう思ってる)に対しても「あっちも友達だと思ってくれてるのかな……」と疑問に思う瞬間は何度もあった。不安というか、自信がなさすぎるというか。
 渚の自宅シーン。スマホカメラは閉所にも強いが、問題はカメラではなく部屋の方。空いてる部屋を借りてるだけなので生活感がない。モノが足りないので、みんなでかき集める。ちゃんとここで、誰でも協力できて、しかも体力を使う(アクションがある)困難を持ってくるのが見事だよなぁ。漫画として映えるし、何より青春感がある。この行程においてはプロの姫希も他の素人と等しい立場にいるので、同じ苦労をし、それは彼女にとっても初めての「映画作り」体験であった、という着地が感動的。さらにはそこに新市からの「友達認定」をサラリと入れてくるのですごい。これまた完璧な回だったな。映画を撮れば撮るほど面白い、という感じになってるよ本作。
 ただ、私が姫希の立場だったら「今『友達』と言ったのは男子たち3人に対してでありまだ確証とは言えない……!」とかなっちゃうと思う。
 小道具として持ち込まれた漫画の中に『ドラえもん』ありましたね。唯一の非ジャンプ作品というところが真のレジェンド感。

目次

 今号の目次コメントは当然「55周年おめでとう」系で統一されると思ったけど、結構普通のコメントをしてる人も多いので、編集部から「コメントよろ」と言われたわけではなさそう。

小学生夏キャンプ!割り箸を魚の口に入れてワタを捻り出したあの日!命を知る。
(『アイスヘッドギル』)

 やばい、蜂矢先生目次コメントも面白すぎるだろ。何だよ、「命を知る」で締めるって。てか、目次コメントにも若干吾峠バイブスありますね……。

愛読者アンケート

 記念号の付録や企画が購入のきっかけになったらか。ならない。
 『NARUTO』を読んだことがあるか。ない、と答えるのが一番適切だと思う。
 漫画を読み始めるきっかけ。マジで決まった漫画しか読まないし、決まった雑誌しか読まないのですが、強いて言えばツイッターツイッターでどんな投稿を見て読みたくなったか。選択肢にないんですが、感想。「○○さんめっちゃ刺さってるじゃん ジャンププラスなら今度読んでみよ……」みたいな感じ。てか、マジで今回の選択肢に一般人の感想がないのおかしいでしょ。SNSでの人気の拡散って絶対こういうケース多いと思うんだけど。
 生配信。観ない。

総括

 『NARUTO』がめっちゃ面白かったことに自分でも驚いてる。「なんで読まなきゃいけねぇんだよ」とか本気で思ってたんですが、反省……はしないな。ナメた態度でいたらボコボコにされたのが快感なので、むしろナメててよかった。

 今号のベスト作品。ということで『NARUTO』。
 次点は『あかね』『鵺』『テンマク』あたりだろうか。ちょっと話それるけど、今のジャンプ巻頭よりも巻末の方が面白い可能性ある。
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