北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2023年の総括

 今年は少しだけ余裕があるのでジャンプの総括記事書きます。といっても連載陣のことを振り返ろうとすると、細かく何があったのかをリストアップする作業が大変、簡単に調べる方法が思いつかないので却下。よって面白かった読切に絞って振り返ります。
 順位を考えるとまた手間だし、手間がかかる割に自己満足なので単にリストアップするだけにします。間違えてなければ掲載順。数もキリよくないけど気にしないでね。

2023年の面白かった読切

『ウパ野ルパ子は一般人』小園江ナツキ(11号)


 タイトルロールのウパ野ルパ子がとにかく可愛い。デザインが良い。両生類の気持ち悪い感じがほんの少し混じってるがそれが可愛いのスパイスとして機能してる感じ。おいしいカレーには悪魔の糞が入ってる。

『プラリネ・プラネタ』生明生成(14号)


 ちょっと不思議な女の子たちが可愛い日常を送る……と思ったら、というジャンルシフトが鮮やか。最終的にはジャンプの王道って感じに落ち着くのが楽しい。
 この記事、一応紹介の体も保とうとするとネタバレは積極的にしない方がいいのかもしれない……と自らの首を絞めてる気がする。

『妖精の飼い方』林守大(19号)


 優勝~!! 圧倒的。『ヒロアカ』の代原で、ジャンプショートフロンティア枠ではないんですが、いかにもショートフロンティアどんでん返しで、ちょっと怖くて、後味も少し悪め。それが15ページで見事な完成度で繰り広げられる。歴代のショートフロンティアのこれ系の作品と比べてもトップかもしれない。さりげなく情報を出してくのがひたすらにうまいので読み返す度に気持ちいい。

『MaMa』山本元輝(23号)

週刊少年ジャンプ」2023年23号400ページ

 17ページで、ショートフロンティアではない。謎の枠で掲載された作品。たぶん母の日記念という意図はあったと思う。最近なぜかよく見る殺し屋モノですが、タイトルの通り母親が物語のキーになってて、そこが面白く、最後には捻りのあるオチが待っててやっぱこれショートフロンティアっぽいんだよな。

『君と餃子をエイリアン』岡田大(26号)


 宇宙人と殺し屋。奇妙な2人の交流を丁寧に描きつつ、最後にはしっかりバトルで落とすという順調に面白いというか普通にレベルが高いやつ。ヒーロー論とか友情論みたいなテーマを真正面から描きつつ、かなり誠実に解答を用意してて良かったです。まぁ、読めるので読めばいいのではないでしょうか。
 ……と思ったけど今はツイッターアカない人は読めない仕様なんでしたっけ。さすがに12個もツイートを埋め込むのは気が引けるので申し訳ない。

『必要十分な私たち』逸茂エルク(26号)


 17ページのショート読切(ショートフロンティアではない)。好き! マジで超好き! 今年の準優勝という感じ。ただ、上のツイートによると全然新作ではないらしい(当記事用に探してたら知った)。てか、新連載のベストである『ツーオンアイス』の人なので、私どんだけハマってるんだよ、という話なんですが、本誌初掲載の手塚賞佳作のときはそこまでハマってなかったです。その後のショートフロンティア、そしてこの『必要十分な私たち』、連載の『ツーオンアイス』でやられた。面白すぎるのよ。今思うと『必要十分な私たち』は『ツーオンアイス』にも通じるものがあると思う。

『メグを見てあげる』暁はむる(28号)


 ショートフロンティア。兄妹で妹が植物で……という一見すると謎コンセプトだけど、「成長」というテーマを植物に託したとすると途端にストレートにも感じられる。妹の成長にどう向き合っていくか、という話なので途端に真面目。とはいえ、基本的には軽くて楽しい。

『殺陣ロール』小園江ナツキ(34号)


 露骨にレベルが高い一作。個人的な好みとしてはショート作品贔屓になっちゃうんですが、人気投票したらきっと本作が優勝するんじゃないかと思う。デザインも良いし、絵も良いし、アクションも良いし、捻りの利いたオチもあって全方位的に強い……。
 逸茂先生についてもそうだけど、手塚賞取ってる人(準入選とか佳作)は普通にレベルが高いですね、という当たり前なことに改めて気づく。当たり前すぎてちょっと面白くない。

『妹尾の頭部』伊原大貴(39号)


 ショートフロンティア。連載経験者の読切は除外しようと思ったんだけど、これは特別良かった。伊原先生は今年『真夜中月丘高等学校』という読切も載せててそれも面白かったんですが、『妹尾の頭部』は歴代の伊原作品の中でも一歩先に行った感がある。ギャグ漫画的なキレキレな言い回し、というのが劇中で大きな意味を持つことになる展開が素晴らしいんですよね。ギャグ漫画としての技量を物語に織り込むことに成功した傑作だと思います。

『小羊虎を成す』遥川潤(50号)


 何度も読切載せててお馴染み感あるし、何なら既に結構なファンを抱えてそうな印象もある遥川先生の新作なんですが、とても良かった。尖った面白さという感じではなく、少年漫画として洗練されてきてるのを感じる。人気投票したら優勝争いしそうな印象。個人的には主人公の少年がちょっとどうかと思うくらいに可愛かったのでそこも好きな要素ですね。話としては映画『ヴェノム』で大体合ってると思います。トム・ハーディが可愛くなった世界。そんなの好きに決まってるだろ!(ただしトムハは元々可愛い)

『今日の私は毛穴まで可愛い!!』槻滋ヨウ(51号)

週刊少年ジャンプ」2023年51号442ページ

 ショートフロンティア。ダイエットに成功し自己肯定感爆上げ中の女子の話。正直このプロットと、このテーマの時点で面白いというか、もう勝ちだと思う。暴走のような勢いで始まるラブコメだと思ったら最終的にはめっちゃ良い話に着地していくのですが、その振り回されるような旅路が今なら何と15ページ。お得!(ショート漫画って良いよね)

『電車田中』EITI(52号)

週刊少年ジャンプ」2023年52号374ページ

 ショートフロンティア。人間が電車やってる世界。何を言ってるの? という感じだけど、実際にそうだし、それは作品を読んだところで腑に落ちるとかそういう感じではないんだよな。なぜか最終的には良い話に着地していくんだけど、電車設定についてはよく分からない。その不条理性というか、不思議設定が楽しめるのがショートフロンティアの良さですよねぇ。長めの読切だともうちょっとこの設定の説明みたいな要素が出てきちゃうと思う。「結局何だったの!?」となれるのは貴重。

『つくも小町の年末』迫賢利(24年2号)

週刊少年ジャンプ」2024年02号444ページ

 ショートフロンティア。年内最後のショートフロンティアであり、劇中でも年末。新米宮司が大晦日のお祭りに挑む話なんですが、プロット的な面白さで勝負するようなタイプではなく、出てくる多彩な付喪神のデザイン的な魅力、そして神社に集まる人たちとの決して劇的ではないが暖かい交流みたいなものが丁寧に描かれててこれまたショート漫画らしい割り切りのある作品でとても良かった。


 終わり。去年はジャンプ記事の進行が散々だったのでアレでしたが、一昨年やったときと同じで、本記事の趣旨としては「普段は読切は読み飛ばすような人も是非読んでみてくれ~!」。紙派でもう捨てちゃった人もいると思うので、電子で買ってる人に限定されちゃうかもしれないけど、せっかく買ったなら読んどかないともったいないし、サクッと読めて面白いですよ。
 個人的にはショートの『妖精の飼い方』『必要十分な私たち』が圧倒的に好きですけど、通常読切(便宜上の表現)である『君と餃子とエイリアン』『殺陣ロール』『小羊虎を成す』あたりは偏愛的な好きとは別に「どう見てもレベルが高いのが分かる」みたいなタイプの作品なので、とりあえずさらに絞るならそこらへんがオススメでしょうか。
 私が露骨にショート作品贔屓というのもありますが、今年の金未来杯エントリー作品は正直パッとしなかった印象があるな……。ただ、箒のやつは結構好き。
 新人と対極にいるけど、『こち亀』の読切(軍艦島のやつ)も良かったです。あと『NARUTO』も門外漢ながら超楽しめたので自分でもびっくり。
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