北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2023年39号の感想

 実写版『ONE PIECE』はマジ面白いから絶対観てくれよな(しつこい)。

背表紙

 「ジャンプキャラクター初登場シーン集」。志ん太。おっ父。あの作品の2人目ってこの人なんだ、という驚きはちょっとあった。まぁ、初回の主役だから納得もあるんだけど。

表紙

 『キルアオ』。18話にしては二度目の表紙。絶好調ですわな。たしか『ROBOT×LASERBEAM』のときも二度目の表紙を早々にとってたと思うので、そういう括りでは藤巻先生やっぱスゲェ、となる。

読者プレゼント

 ドンドゥルマ。通称トルコアイス。「ならトルコアイスでよくない?」と思うんだけど、ドンドゥルマの方がプレゼントページやりやすいと判断したんだろうな。まぁ、その甲斐を感じるほどのダジャレではないと思うんですが……(そこが良い)。
 恐ろしいのが、タイトルで「ドンドン」言っただけで、他はもうドンドゥルマ要素が一切ない点。他はひたすら「伸びる」の一点張りなので逆にすごい。もうちょっとあっただろ。トルコとかでも遊べよ。「遊んだら即トルコ(虜)」とかそういうもんじゃん。「お前はトルコ?」でもいいよ(ダメだよ)。
 まぁ、かなりの強引さという意味では良い回だった気もしてきますね……。

巻頭カラー『キルアオ』18話

 ユニコーンに続いて暗殺組織の話が出てきたと思ったら、いきなりピラミッドの頂点なので笑った。使い捨てだろこの設定……。
 兄弟で、兄の方は催眠術。「殺し屋といえば催眠術だよね!」とは1ミリもならないんですが、『SAKAMOTO』でも出てきたよな。不思議だ。ちなみに、ワンツージャンゴは実写化では割愛されてました。妥当だと思います。
 からの弟はゴルフ。まさかのロボで笑う。フランケンシュタインの怪物的なビジュアルからのゴルフということで、めちゃくちゃロボだw それを巻頭回にぶつけてくるとか藤巻先生最高だぜ。まともにもう一度ゴルフやりたいんだったらゴルフ部ユニコーン出せばいいんですが、殺し屋サイドで出してきたあたりゴルフの扱いが雑で良い。あと単純に広いスタジアムでのゴルフ狙撃ってのがめっちゃ爽快感ある。

『夜桜さんちの大作戦』191話

 すげぇ、めっちゃ前じゃん。さては『ヒロアカ』が休載だな? とか思ったんですが、普通に載ってた。ごめんよ……。
 本編。技名問題の続き。「まだ引っ張るのか」と少し思ったけど、凶一郎の第二案が撃沈するのも良かったし、七悪と出会ってからもその話が継続するのが意外なほどハマってて面白かった。凶一郎には出来なくて、七悪には出来る。なぜなら長男と末っ子だから他の家族への視線がまったく違う。この対比は鮮やかだったし、今の今まで長男と末っ子という話に気づかなかったのがお恥ずかしい……。
 そもそも凶一郎は2人に好かれようとしてたのが間違いの始まり、というのも意外な回答として鮮やかだったと思います。一番優先すべきは2人が仲直りすることであり、2人に好かれることじゃない。

僕のヒーローアカデミア』398話

 サブタイが「ライジングオリジン」なので笑った。強引。ただ、実際に本話の内容も回想で始まりを描いて、現在パートで成長を描くのでマジでライジングオリジンだ。詰め込んだなぁ。
 オリジン。デクと違うのは自らの案をプレゼンした点。それがヒーローの象徴業であり、具体的な行為としての笑顔。それが現在パートではAFOを挑発する笑いになって、と繋がるのが見事。現在での笑いはもうほとんど悪役笑いみたいな感じになってるんだけど、その役割の変遷が味わい深いし、AFOの若返りが進行して、いよいよオリジンの頃の年齢もしくは学生くらいの年齢になったのでは? という感じで面白い。若返りの方まで絡んでくるとは思わなかったのでマジで感心してしまった。見事すぎるな。
 からのオールマイト吐血エンド。お馴染みの吐血が……というのも最高。スーツのデザインの関係上、シルエットが以前のトゥルーフォームに近づいてるので、あの状態で笑いながら吐血すると以前の姿とそっくり。気合いの入ったエピソードなのが伝わってくるというか、オモシロの密度がすごいや。

『アオのハコ』114話

 久々に本格スポーツ漫画っぽい回……と思ったら最後にイチャイチャし出したので笑ってしまった。当たり前だけど、家が同じだからいつでもイチャイチャできるなw
 そんな壁越しタッチ。エモエモなんですが、大喜の “段々千夏先輩のやることが わかってきたぞ” が微妙に的外れにも感じるというか、もちろん応援の気持ちはあるんだろうけど、単純に彼女が触りたいから、という部分もあると思うの。とはいえ、大喜が恋人関係において受け身でいることに慣れすぎてる、ということが現れた良い誤解(というほどでもないが)。
 本格スポーツ漫画パート。大喜は挑戦者という立場に慣れてしまってるので、自信が足りない。勝ち癖がないというか、相手を威圧するような謎の確信がないという感じでしょうか。これはめちゃくちゃ良い話だったと思う。そのステージから変わらなくちゃいけない、という話なんだけど、まぁ大喜は千夏パイセン相手の関係で挑戦者の立場から大きく変貌を遂げたので、今度はスポーツの方でも……という話なのでしょう。何気に恋愛と部活が分離せずに、ちゃんと相互作用するような話になってる。

『SAKAMOTO DAYS』132話

 怒りに震える鹿島、というのをプルプル震える角のアップで見せたの、あまりに「分かってる」。最高の1コマ。
 鹿島から語られる現スラーの計画。尾久で爆破テロするらしい。懐かしいですね、尾久(違うよ)。少なくとも駅は尾久をイメージして描いてる疑惑が私の中であったんですが、巨大美術館みたいな話になると尾久とかけ離れすぎてて困惑してしまうw
 鹿島が尋問されてたのと同じように、今度は平助が、ORDERに尋問される。すごいな、平助の人脈がどんどん広がっていく。すっかりORDER側との繋がりが濃くなってますやん。下手すりゃ仲良い人の数、坂本を超えるぞ。

センターカラー『鵺の陰陽師』15話

 式神が出てきての第二ラウンド。学郎の攻撃で消滅するカラスが妙に可愛い。謎の魅力がある。動物キャラは予期してなかった魅力なので、今後にも期待。式神を使う度にああいうのが出てくるかは知らんけど。
 敗北間際。頭でもうダメだと分かり、謝ろうとしたその瞬間、藤乃さんの苦痛に歪む顔を見て……。ここはもう完全に『ヒロアカ』の領域に入ってますね。「君が救けを求める顔をしていた」ってやつ。これは熱いな。別にあらすじレベルでは何てことない逆転(もしくは復調程度)でしかないんだけど、この場面は大事。何なら本作で一番大事なレベル。それをこのカラーの回に持ってきたのが良い。
 そこで披露するチカラが「影を吸う」なのも良い。影に包まれてる人に一筋の光を与えるような印象で、それがそのまま学郎がやろうとしてることと一致する。

『ウィッチウォッチ』122話

 モイちゃん。ここでモイちゃんのターンか。正直、今回の長編はモイちゃんとその周辺、という印象が強いんだけど、ニコ(ケイゴ)周りのところを後にするのか。今まで散々引っ張ってきたのはすべてモイちゃんなので、若干の違和感はある。まぁ、このまま終わるとも思わないんですが。
 と思ったら、ニコ。思ったより早かった。というか、モイちゃんが主役だからこそ、ここらで一旦モイちゃんのとこ見せとかないと読者の集中力が切れる、という判断だったのかな。ただ、両チームの最終目標を考えると、それはやはりニコなので、そこの捻れが難しいところですね。難しいというか、面白くなるのかもしれない。
 ケイゴ、気づいたら負けてたのはかなりの拍子抜けではあるんですが、鷹参戦のラストはさすがに熱い。落下中に人間の姿に戻るのってリスクが大きすぎると思うんですが、まぁそこは「そっちのがかっこいいじゃん!」なのも分かる。感情の爆発が絵に現れてて良い場面だったと思う。着地が気になるけど。
 あと、このままケイゴが傍観者になるのも嫌なんですが、もうそうなるしかないくらい負傷してる気がする。どうなってしまうんだろうか。変身したら治る、とかそういうトンデモロジックが出たりするのか。都合のいいタイミングで女が助けに来てくれて敵を倒してくれた、となったらさすがにアレだと思うんだ。まぁ、さすがに変身はするだろうから、そこで一矢報いる、という感じかしら。

『呪術廻戦』233話

 五条先生負けちゃうかも、と観客が思うと同時に本人も思う。ただ、それは強者故の孤独からの脱却でもあるので、同時に満たされる思いもあって……という状況は何も変わってないのに読者の印象がコロコロする感じが楽しい。ここに来て五条先生の強者の孤独というのを持ってきたのが良いよね。今までも結構危ない橋渡ってたのにようやくかよ、という不遜さ。
 2対1かと思いきや、既存の影を合体させて3対1。いくら合体させてもマコラと同等の強さとは思わないんだけど、フュージョンしたら何倍にもなるみたいな理屈だろうか。
 あと、化け物2つに挟まれたスクナに対する「迷子の宇宙人」という表現が少し気になる。あの有名な写真は「捕獲された宇宙人」とか「捕まった宇宙人」とかそういうニュアンスだと思うので、迷子ではない……よね……。

センターカラー『暗号学園のいろは』37話

 C組はエスパーらしい。あー、たしかに戦争中の情報収集としてありそうな話だ。面白いのだが、即「科学で説明できる」と本人が言っちゃったのは何だったのだろうか。じゃあ何のためのクラスなのか。超能力並みの特殊な能力を持った人たちってこと?
 そして、その超能力(仮)が特に活躍することなく話が終わったのもモヤる。いろはの顔色うかがいに対して「他人の視線に敏感」という能力は真反対でめちゃくちゃ面白そうな対戦だったのに、特に何もなかったな。
 体操の果てに捕まえて、暗号対決。その体操がヒントになってたのは面白いのだが、いろはとの攻防が細かく描かれたわけじゃないので、「ページをめくったら勝ってた」という印象で微妙に盛り上がりきらない。絵的に盛り上がるのは分かるんだけど、それが話とあまり合致してないというか、結局のところ「暗号と関係する技を描写してもらえれば結構です」みたいなドライさを感じる。アクションにドラマがないというか。ああいう派手な場面好きだからあって嬉しかった気持ちと、それ故に雑に扱われてる、というか普通に持て余してるように感じられちゃって寂しい気持ち。

『あかね噺』75話

 お祭りでの焼きそば。ただし、焼きそばにただ専念されても困るので、とりあえず祭りを一周させる。いろんな出店で濃いキャラを堪能していく感じはまさにお祭り回って感じで楽しい。
 こぐま。 “一日で応対出来る初対面のキャパ超えちゃって…” の表現が面白かった。ちょっと分かるなw ただ、「りんご飴はご飯一膳分のカロリーしかないので罪悪感もない」の言い分には「ご飯一膳分もあるの!?」って思っちゃった。そもそもりんご飴、デカくて食べられるか躊躇しちゃうんだよな。祭りはチョコバナナが至高……。
 ラスボスは褌師匠。 “お前褌締めろ” にあかねがセクハラの気配を感じて……というギャグは楽しかった。楽しかったと同時に、意外とこういうネタ珍しいですね。細かいところではいろいろ気を使うことも多いんだろうな。ただでさえ年齢差もえげつないってのもあるし、さらにはあかね、ギャル寄りの人種だと思うので。ひょっとしたら省略されてきただけで、漫画では描かれない裏側の日常では割としょっちゅうあるのかもしれないw
 んで、「バカになれ」。祭りを一周してそれぞれの兄さんたちがバカやってるのを見て回るギャグ回かと思ったら、そのバカやってる姿に意味があって……という結びが見事だった。

『逃げ上手の若君』123話

 疑似要塞を攻めるので、水攻め……というと意味が違うか。兵糧攻めの水版。
 ということで、顕家無双。お立ち台からの曲芸的な射撃。ハデさを利用した陣形になってて面白かったし、補佐ありきの無双になってるところにリアリティを感じてしまう。リアリティなんてないことをやってるんだけどね。
 それと、お立ち台の顕家に矢を連続して供給するためのオモシログッズが何の説明もなく使われてるのとか、ああいうの良いよなぁ。何気に時代劇を見ててワクワクする瞬間の中でもかなり上位に位置すると思う。
 あとは “御死に晒せ!!” の決めゼリフが最高でしたね。あれは真似したくなる……(使うタイミングがない)。

『アスミカケル』10話

 奈央さんの決勝戦だけど、相手がグラップラーなので二兎は相手に感情移入してしまう。めちゃくちゃ良いな、この構図。疑似的に奈央さんに殺される、という体験にも良さがあるし、何より下手すりゃ噛ませ犬になって終わりの敵サイドが「むしろ二兎にとってはこちらの方が好き」と一時的になってしまうのが良すぎる。人間関係が広がってく楽しさもあるし、当然そこから二兎のネクストステージの話へと繋がっていく。あと、改めてだけど、一点特化型の選手だから多様性であるMMAの魅力が分かりやすいってのもありますね。好きな人同士の白熱した戦いが見れるの、意外と本作では初めてかもしれないな。スポーツとしてのMMAの楽しさが分かる回。

『アンデッドアンラック』172話

 MMAからのUMAってことか……。
 今回のUMAに何の魅力も感じられなかったんですが、割と「感じてくれなくていいです」というような内容だったと思う。「敵Aと戦ってます」くらいの意味しかない。雑な扱いで良かった気もするが、そもそもの話としては良くない。良くなくなくない(yeah and you don't stop)。
 チカラは置いていくのが正しい、という大人の判断に反抗してチカラを誘いに行くのがショーン、というのもうまい。そのまま無敵コンボへと繋がるのも最高。あとは、誘うときのショーンが目を瞑ってるのが、ただの能力の発動条件なんだけどエモ演技になってるのとか面白かったですね。
 からのチカラ参戦。カメラを使うことで、能力の対象範囲がより明確化する、という演出も最高だった。読者にも優しいw ある程度範囲を狭めた方が使い勝手が良いだろうし、2周目ならでは頼もしい武器という意味でもワクワクする。

『僕とロボコ』150話

 正直な話、本作にこういう長編は期待してないんだけど、結構ツイストの利いた展開を連発してくるあたり、宮崎先生としては結構力作という感じなのだろうか。もしくは予想外に筆が乗って肥大化。
 ブラックロボコが出てくるがベラミーパンチでワンパン。パロディとして楽しむというよりも、単純にあのベラミーパンチの絵としてのかっこよさに惚れ惚れとしてしまった。実写版、空島編までやってくれ……(たぶんシーズン3)。
 シリアスをやりたいけど、ギャグを入れないわけにもいかない。中途半端というか、普通に齟語が出てると思うので、あんまり楽しめてないんだよな。ボンドが人殺しビームの身代わりになるが、普通に死なない。ロボコとの戦闘で弱ってたからだと後で説明されるんだけど、その理屈だとボンドの活躍自体が無意味になってしまうので普通に面白くない。やっぱこういうのは向いてないんだな、と改めて感じた一幕であった。

『一ノ瀬家の大罪』38話

 正直けんたくんのエピソードにまったく興味が湧かないんだけど(こういう感想多いな)、けんたくん視点で物語を進めて、そこに回想をフラッシュバック的に差し込む語り口は最高だった。相変わらずキレキレというか、本作はこういうの本当にうまいよな。映像作品みたいな印象があってすごく好き。
 ただ、やっぱりけんたくんには興味がないというか、翼の物語がリスタートしたと思ったらまた中断したというか、また枝葉が広がっていく話になってしまって困惑。いや、けんたくんの件が解決したらそのまま翼の件が前進する、みたいな感じになるなら全然いいんだけど。そういう信頼が今のところないので不安。

『テンマクキネマ』19話

 姫希の母が怖い。連続して親の呪い、家族の呪いみたいな話をしてて気が重くなりますねw いや、もう一つ前の『ロボコ』も問題を抱えた家族の話と言えるかもしれない。
 親が聞く耳を持ってくれず、コミュニケーション不能の状態になってしまった子供にはもうどうすることもできない、という絶望はリアルで良かった。母と話し合おうとすると被害者ムーブ始めて塞ぎ込むのマジでクソ。
 それに対して子供たちが鮮やかな方法で解決……できない。姫希自身も、新市たちもお手上げのまま次の話に移るのがめっちゃ意外だった。少年漫画なのでどこか綺麗事を予期してたというか。
 ということで、ゲリラ撮影(たぶん意味違う)。姫希が走り出すキッカケとなったのが、渋谷の雨。最後の撮影が残っていて、それは雨待ちの状態の歩道橋のシーン。この展開は良かったなぁ。雨という映画撮影の難所あるあるを「約束の雨」として連絡手段を持たない子供たちが再会する合図になるとかもう良すぎでしょ。そして、葛藤の塊状態の姫希だからこその演技が生まれて……という着地も最高。まぁ、「雨の中で泣くなよ」とは少し思ったけど(雨が涙のメタファーなので重言)。ただ、実写映画と違って漫画なら雨の水と涙の水の区別ができるので、という意味では案外問題ないのかもしれない。
 母親の件は棚上げのまま、頼ったのは疑似的な父、というのもラストも良かった。いや、母親の件が無理ゲーすぎるので納得できる解決策がイメージできなくて心配な気持ちも少なからずあるんだけど。

『妹尾の頭部』伊原大貴

 読切。ジャンプショートフロンティア。ONE PIECEカードゲームの絵師に起用されたことでもお馴染みの伊原先生の新作。テレビCMでは小栗旬が「尾田っち……」とか言ってたけど、こちとら「伊原っち……」の気分ですよ。
 本編。給食費が盗まれたみたいなノリで妹尾くんの頭部が行方不明。
 そんな妹尾くん、頭部がないのに生き生きと喋り続けてあっという間にキャラが立っていく……のに顔が見えないという感覚が新鮮。言い回しのみで読者をロックできる伊原先生らしい試みで面白い。
 と思ったら、その「良いキャラしてんじゃん」という部分こそがドラマの根幹。陰キャで何事にも自信がないが、「頭部が行方不明」というペルソナを得ることで妹尾くんが生き生きとし出す。特定の友達の前では超面白い奴なのにクラス全体の場では超引っ込み思案とか、家の中では威勢がいいとか、ネット上では……とか例えを考えると悲しくなってくるな。まぁけどそういうのとまったく同じ話。それを「頭部が行方不明」でやってたのけた。ツイッターでは大喜利とか大好きなのに、って人と同じだ(しつこい)。顔がないと気の向くままにボケれる。悲しいけど、めっちゃリアルだし、「それはそれで真実だよ!」と応援したくなってくる。漫画的なギミックが実は物語と密接に関わっていて、読者が序盤に感じた印象がそっくりそのまま事件の真相であった、というのがマジで見事すぎますね。ギャグと良い話のバランスという意味でも完璧というか、「ギャグが面白い」に物語的な意味があるからすごいよね。短い読切だから一概には比較できないけど、この短い尺での完成度、面白さという意味では過去最高なのでは……というくらい良かった。
  “なんだよ急に 舞台やってんのか” とかホント笑ったし、それこそ読み進める手が止まるレベルだったんだけど、オチを知った上では「ボケとツッコミに手応えを感じて調子乗った妹尾くんがやりすぎてしまった」とも取れる場面ですね。「顔がないと暴力的なツッコミがポップに描けない」というのも笑った。
 最終的には「オタクに優しいギャル」でもあったな。オタクくんの成長譚。クラスの中心系女子が実は芯の強い隅っこ男子に惹かれる(評価する)という意味では『正反対の君と僕』的でもある。やっぱ伊原作品はどこかロマンチックだ。キレキレのギャグスキルがあるのに隙あらばロマンチックなことをやりたがる伊原先生の作家性を考えると、それらを完璧なバランスで両立させた一作になったんじゃないかと思います。

『人造人間100』35話

 手記からの博士の過去編。急に映画『オッペンハイマー』みたいな話になったな……と言いたいところだけど、あの映画未だに観れないんだよなw マジでこのまま日本公開されないんじゃなかろうか。原爆投下の日、もしくは終戦の日までは様子見してたのは分かるんだけど、それまでの間に変な話題のなり方しちゃったのが原因なんじゃないかなぁ……とか悪い方に考えてしまう。
 そんな過去。以前に他のキャラでやった過去話同様におとぎ話的な雰囲気で面白いのだが、今回はより現実的というか、人間の醜悪さが史上最悪レベルで発揮されてる。敗戦国が賠償金によって困窮し、そのしわ寄せとして再び戦争の道へ……とかモロに第一次世界大戦から第二次の流れですし。
 おとぎ話感を増してるのが唯一の食料としてのリンゴ。腹の立しにするものではないが、というところが絶妙だし、そもそもリンゴは知恵の実(になぞらえられがち)ですからね。博士の悲劇としてめちゃくちゃ収まりが良い。
 意外な真相という意味では、博士の目的が「理想の人間」というよりも、理想の人間が集まるコミュニティ(村or島)だったのが驚き。ナンバーを重ねていって「最高傑作やー!」って一体できても彼の目的を完璧に満たすわけではない。理想の人造人間ができたあとに、それを大量生産するのが目的だったのですね。本作の印象が根底から変わるような話だったな。まぁ、博士が研究を進めていくうちに目的が少しずつすり替わってしまった、というのも全然ありそうではあるんだけど。

『ドリトライ』16話

 即戦うのかと思ったら引っ張る。「引っ張るんかい」と思ったけど、サクサク進んですぐに始まるので良かった。「やっぱボクシングの体裁は整えた方が燃えるよね」と納得した直後にそのリングが破壊されるのにはちょっと笑ったが。インフレがすごい。インフレというか、もう今までやってた戦いとは別の戦いになってしまった、という感じなんだろうな。まぁ、ボクサーじゃないんだから、ということで分からないでもない。
 黒岩が一旦の世界最強クラスの強さだと提示されてたことを考えると、インフレの果てに父ちゃんがあんなのになった、とも考えづらい。いやまぁ、黒岩のときと似たような「現実的っぽい理屈」も用意されてるのでここらへんの判断は難しいというか、意見が分かれるところでもあるのかな。心の強さというおもくそ精神論の話、その是非を巡る話になるので、もはや現実的な戦いからは一歩離れたものになった、とかそんなノリではないだろうか。
 そんな中でも、「前に進んだと思ったら下がってた」というのはものすごく現実的レベルの、小さなアクションになってて良いよね。心の強さ論としてめちゃくちゃ的を射た話であり、ここは急に現実的。現実的と超常的のバランスがすごいというか、ほとんど反復横飛び。

『アイスヘッドギル』9話

 王都。ゾンビパンデミックが起こっても王様はそれを認めず、個人の凶行だと事実をねじ曲げ押さえ込もうとする。急にフェイクニュース寓話みたいな話になったな。これはこれで面白い。書記官と歌に乗せてフェイクニュースを広める祭司という対比もめちゃくちゃ良い。
 まぁ、トップが分かりやすいクズすぎるので、「なぜこの国にグレイティストみたいなまともな人が……」と不思議にはなるな。まぁ、実力者が揃ってるのは過去の遺産ってことで、その中に王命にも疑問を持つようなまともな人がいた、という感じか。それならちょっとありそう。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 9/3はベッドの日ということで、天蓋つきベッド特集。さすがのテーマ取りだ。ただのベッドの日から「天蓋」を持ってこれるのはマジですごい。
 圧倒的にお姫様、お嬢様の表現として使われてきた天蓋つきベッド。もうすべてがそれと言ってもいいレベル……と思ったら『遊戯王』の海馬が孤軍奮闘なので笑った。男の金持ちでもいけたのか。ここらへんは高橋先生の美意識、美的感覚というもあるんだろうな。思わぬ角度から「高橋先生マジスゲェ」という気持ちが高まる良い特集でした。

愛読者アンケート

 ゲームハード。持ってるのはスイッチのみですね(聞かれてない)。ソフトがパッケージかダウンロードか。これはもう今ではダウンロード一択になってる。最初にスイッチ本体と一緒に買った『ブレワイ』以外は全部ダウンロードだな。パッケージ買っても箱にワクワク要素ないんだもの。
 持ってるソフトは選択肢の中だと『スマブラ』と『ブレワイ』のみ。『ティアキン』欲しくてたまらないが、買ったらまたジャンプ記事の借金地獄に逆戻りだと確信してるので、今は何とか気持ちが抑えられてる……。
 紙ジャンプについて。毎号買ってる。紙以外の雑誌。買ってないですね。極稀に旅行に行った際に暇つぶしとして雑誌を買う、みたいなことも一時はよくしてたけど、そもそも旅行に全然行かなくなったし、久々に行ったら体力クソザコで隙あらば爆睡、みたいな。

総括

 来週末には借金ゼロにするつもりで始めてるんですが、遅いぞ。水曜には終わってないとまずかった。なのに木曜に更新。更新にまつわるいろいろな作業でエネルギーを使うので、これから次の記事を始めて……となると非常にまずい。頑張りたいところだが、正直頑張ってどうこうなる話ではないとこの1年以上の経験で分かってしまったんだよな。現実的に考えると3日は欲しい。

 今号のベスト作品。『妹尾の頭部』。圧倒的にこれ。面白かったし、伊原先生のたどり着いた境地、みたいなドラマも勝手に感じてしまうような作品だった。
 次点というか連載陣だと『テンマク』と『鵺』。
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