北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2023年40号の感想

 観たい映画が溜まってしまった……。

背表紙

 「ジャンプキャラクター初登場シーン集」。詩織。一ノ瀬家だよ。あんま二番手感がない印象なんだけど、そもそも誰が出てきても二番手感のない作品ですね。翼が単身で主人公してる。

表紙

 『ONE PIECE』。実写版配信開始記念だと思うんだけど、なぜかイニャキくんは何号か前に出ちゃってるんだよな。謎だ。

読者プレゼント

 ラガーマン。ワールドカップ記念ですね。そういえば、バスケの回ってあったっけ? 今年はひたすらワールドカップが多いから大変ですね。全般に興味の薄い身としてはそろそろ何がなんだか……という感じになりつつある。バレーもやってるしね。
 オーソドックスにラグビー用語でダジャレを重ねてくスタイル。ただ、割とラグビー用語のチョイスが浅いので、あんまラグビーならでは感が出てない気もする。ただ、写真は多い。

巻頭カラー『ONE PIECE』1091話

 黄猿と戦桃丸。回想を交えながらの決戦というのは、こないだやってたクザンとガープの戦いと似すぎだと思う。もちろんそれぞれのキャラクターが違うから違った魅力は生じてるんだけど、同じフォーマットで数増やしてんな、みたいな印象もなくはない。
 ルッチが動く。暗殺しようとするも失敗。ステューシーが負傷。ルッチが動いたことを、飛び立つ白い鳩で表現したのとかめっちゃかっこよかった。「ジョン・ウー映画かな?」と言いたくなる。
 改めてルッチが悪役として輝き出すのは魅力的なんだけど、 “味方を得て調子づいたか!!” と鋭いこと言われたルッチが 黄猿とおれがいればお前ら全滅だ……!!” と何一つ否定せずに調子づいたこと言っててめっちゃダサかった。ここまで全力で調子づけるともはや可愛く思えてくるというか。よくあそこまでかっこつけられるな。

『僕とロボコ』151話

 初期化プログラムを使って同期したら世界は救われるが当人が消滅してしまう。こないだアニメで観た『呪術』五条過去編を連想しちゃうな。あれは、特に葛藤することもなく「消滅しなくていいっしょ」という選択をするのが眩しかった。本作はもっと年齢が低いんだからボンドにもその選択をしてほしかったところではある。ただ、ゲストヒロインが消滅して、何かエモいエピローグを迎え、成長した風ではあるが、普段の日常には1ミリも影響しないまま作品が終わっていく……という感じは劇場版みたいなラストでしたね。それこそ『ドラえもん』っぽいが、『ドラえもん』だとこういう死に別れはレアか。死んでないのに二度と会えないのが良いんだよな……。
 今週もあった、突然の『ONE PIECE』。「なにもなかった」は使いどころとして完璧すぎるので笑った。そのまんますぎるので、良い話でもあるんだけど、唐突な温度差が楽しい。

『呪術廻戦』234話

 乙骨が参加しようとしてるのは意外だった。意外だけど、「式神2体の相手なら手伝える」という彼の言い分には納得しかなかった。ただ、人数が増えてただでさえややこしくなってきたのに、そこに乙骨+リカちゃんが参加したらマジで混沌だな。それはそれで見たいが。
 理屈で説得される乙骨だが、理屈じゃなくてそもそも参加するなんてあり得ないでしょ、という鹿紫雲。めちゃ良いな。それぞれの主張が交錯してて。交錯してるけど、結果としては「何もなかった」で終わるのも時間稼ぎというか、「さすがにバトル一辺倒じゃダレるんで」という事情を感じる。
 んで、バトル。スクナの影として完成したマコラの一撃で五条ピンチ。からの3人の波状攻撃で最悪……からの「1人弱いのいるよね?」という五条先生のマジレスで笑う。いや、それはマジで思ったのよ。前回のときに本当に思った。そうなのよ。合体しただけじゃどう考えても釣り合ってない。

『SAKAMOTO DAYS』133話

 ORDERのスナイパーさん、五十音表をスナイプして言葉を伝える。つまり、1字は1度しか使えない!! などと『暗号学園』みたいなことを考えてしまったんですが、普通に「かわいい」とか抜かすので脱力。
 坂本がORDERと情報共有して平助も解放。「普通に頼もしいじゃん」と思わざるを得ないんですが、しっかりここで「ORDERはORDERで頭おかしい」という話になったので良い。ちゃんと三竦み(ではないが)になってる。まぁ、大局的にはスラー打倒もしくは阻止なので、ORDERの参戦は普通に頼もしいというか、楽しみでもある。めんどくさい行程を取ってでも坂本陣営は守らなきゃいけない一線がある、というのも主人公感として大事ですね。綺麗事に向かって疑いなく向かっていくような感じ。

『アオのハコ』115話

 バド大会開始。だが、遊佐くんがいない。菖蒲じゃないけど普通にショックだ。大喜と遊佐くんの関係性好きなんだよな……。
 ただ、遊佐くんの分の枠が余ったことで「打倒遊佐」の呪いから解放され、大喜がネクストステージへと成長するチャンス。という針生先輩の見立て。鋭すぎる。 “恋愛とかも付き合う前より 付き合ってからの方が自信が必要じゃん?” とか真理すぎて笑う。恋人状態になってからの千夏パイセンとのギャップは以前から感想で書いてきてるけど、そのことがズバリですね。
 挑戦者の呪いから解き放たれて、早速自信をゲットしそうな雰囲気からの、完全エンジョイ勢の実力者。最高。超面白い。スポーツ漫画してきたじゃん。実際のスポーツシーン(展開)には今後もそれほど注力しないと思うけど、こういう新キャラをぶっ込むことでめちゃくちゃスポーツ漫画としての正しさを獲得していく。もうこの子との主義主張の戦いは完全に『ハイキュー』とかでもあり得るレベルのテーマですね。エンジョイ勢の最高峰という感じでもあるが、「挑戦者」の立場を端から拒否してる考えでもあるので、そういう意味で大喜と対極。天敵になり得るかもしれないし、彼とぶつかり合うことで大喜にはさらなる成長が期待できるかも……というワクワク。
 まぁ、ただ、個人的にはもうしばらくイマジナリー遊佐くんについての話を展開してほしい気持ちもある。不在なのに、不在だからこそ遊佐くんの存在を誰もが強く意識するような話。

センターカラー『あかね噺』76話

 突然のぐりこサイド。おっ父に対する特別は思いはあかね同様に持っていて、何なら本作の主人公は彼でも良かったレベルの境遇なんだけど……という意外な切り口が面白かった。「グリコ」は進みが少ないのですぐ追い抜かれる、というのも気の利いた演出で一瞬心躍ったんですが、「そもそも変な名前を付けたのはそっちだからな」と少し冷静になった。変な名前で伏線回収的な仕掛けをやるのは難しいというか、逆に言うと簡単すぎるんだよな。
 シンプルな仕掛けながら、ぐりこの「粗忽の釘」がめちゃくちゃ面白かった。ちゃんと漫画として、漫画のリズムとして落語が面白そうに描かれててすごい。あかねを中心としたドラマの一環として出てくる劇中落語はどうしても落語以外のドラマを語る兼ね合いが出てくるけど、今回のはシンプルに面白い落語を3ページ見せられた、という感じがあって最高。

『アンデッドアンラック』173話

 次に会うのはラトラ。そもそも今回の周を効率プレイしてるのも彼女の占いのおかげ。占いという知の能力があるからループの話をしてもすんなり理解してもらえるし、次の話も早い。正直この「ループを説明するくだり」が毎度めんどくさかったりするもんな。そこをちゃんとした理屈で乗り越えてくれるのは嬉しい。

『キルアオ』19話

 催眠術師なので、一般人を巻き込む。秘密を抱える十三にとっては天敵とも言える戦法になってて面白い。いや、秘密がなくても厄介ですね。二重苦。殺し屋漫画の催眠術という意味で『SAKAMOTO』の連想が不可避なんですが、しっかり差別化してるというか、しっかり本作ならではのオモシロに繋がってる。
 左手の射撃がすごすぎて本人とバレる。からのしょうもないギャグでのごまかし。「あんなの信じちゃうのかよ」というギャグで自体を収集させるのはずるいんだけど、そっから敵兄弟の身の上話に繋がるのでちゃんと意味のある流れになってるんだよな。ずるいのは変わりないけど、同時にうまい。
 そんな弟。回想の中でバスケしてるので笑う。バスケとゴルフとか藤巻先生マジで確信的だw

センターカラー『夜桜さんちの大作戦』192話

 ブチギレ双子の大技というオモシロと同時に、長男と末っ子の「良いおじさん対決」が平行して描かれてて笑う。この期に及んでそこにこだわり続ける長男が面白すぎるというか、勝ち方が本当に汚いw
 んで、七悪復活(解放)。濡れ濡れ全裸で謎のセクシーアピールを感じる。最後のお姫様だっこも好き。しかし、この兄弟姉妹、裸が多いな……。

『ウィッチウォッチ』123話

 前話で気になってた着地問題。がっつり着地の瞬間が描かれたので笑う。瀕死のケイゴにいい年した女性が勢いよく落下してきたら相当なダメージだよ……(良い場面なのも分かるが)。
 そもそもケイゴ、そんなに瀕死じゃなかったらしい。死を覚悟までしてたから回復のイベントがないとまともに仕事できないと思ったのに。めっちゃ動くし、変身後も何の問題もなく暴れてた。そうか。
 三日月大喜利に関しては正直ピンとこなかったというか、それほどうまくもないし、ドラマとしても感動的ではなかったと思う(ネムの変身の使い道としても)んだけど、正直この話を数話かけてやられてもそろそろ「モイちゃんくれよ」ってなっちゃうので、このくらいのアッサリめでちょうどよかった気もする。

僕のヒーローアカデミア』399話

 光が消える、からの “人は明滅するのだ” で一気に場面が変わってA組の光担当、青山くん。さらにはもう1人、光にまつわる隠し玉がいて……というクライマックスは見事でしたね。内通者の容疑者コンビだw
 そんな青山くん決死の一撃……かと思ったら、という驚きの展開を見開きのコマ割りのみで表現したのがマジで見事でしたね。
 そして、そんな内通者コンビ(これは違う)のコンボ技を今のオールマイトだったら単身で放てる、というラストも必殺技としての説得力が感じられて好き。疑似的にとはいえ、独りで全員分戦うからこその強さがよく出てる。

『鵺の陰陽師』16話

 学郎視点の話しかなかったので気づかなかったが、学郎が劣等感を抱いてたのと同じように、藤乃さんは学郎に劣等感を抱いていた、というのはめっちゃ良い話。それを打ち明けるようになってくれた時点である意味では勝ちですよ。バトルを通じた相互理解。
 そっから “一つくらい頂戴よ!”“俺がもらう” という話で結んだのも超良い。本話はバトルよりもバトルを通じた話(言い分)のオモシロが目立ったな。正直バトル自体は今までのが好き。月を背負いながらのバトルも正直構図として陳腐だし、空中戦ならではのオモシロも薄かったと思う。若干何やってるか分かりにくい部分もあったし。

『逃げ上手の若君』124話

 川に陣取るも生物兵器で一網打尽。毒ガスはちょっと飛躍しすぎかと思ったけど、「火山の再現」と言われると途端に納得できてしまうな。『伊賀の影丸』とかでありそうな話だ。それならヨシ!(期待するリアリティがおかしい)
 家長の、若を見て動揺作戦。読者にはネタバラシしちゃってたので、シンプルに若が引っかかる話だとイマイチだと思ってたんですが、引っかかるのは顕家で、それに命じられた若が窮地へと導かれる。これもめちゃ良いね。ここらへんはやっぱ見事だわ。
 戦略的に面白い要素が続いたと思ったら、次はめちゃくちゃ単純なボス戦。マジか。これはびっくり。

センターカラー『アスミカケル』11話

 栃木のブンブン丸が学校に現れたと思ったら兄貴とご対面。兄貴が急に面倒見の良い奴になってるの面白いよね。性格に問題があるのは間違いないが、普通に良い兄貴の範疇に思えてしまうし、少なくとも純度百の悪人では絶対にない。キャラ変わりすぎなんだけど、二兎が苦手意識こじらせすぎて視野狭窄に陥っていた、と考えるとすんなり飲み込める。
 んで、兄貴のプロデュースで知らん大会へ勝手にエントリー。格闘技詳しくないけど、アウトサイダーとかそういうイメージなのかな。こう考えると、格闘技の世界、不良を有効活用しすぎだな。まぁ、理屈は分かる。
 アングラ感、素人感が魅力の大会ということで、二兎がパッと見で “レベル低い…?” となっちゃうの良いね。技術的なレベルアップというより意識の面でレベルアップしたのが感じられる。

『暗号学園のいろは』38話

 打ち上げもしくは祝勝会。強敵たちと再会してそのまま次の話へ、という流れが良かったし、またもやバウムクーヘンを使って展開させるのとか面白かった。めっちゃバウムクーヘン好きじゃん。平和の象徴みたいな扱いにしちゃって。日本バウムクーヘン協会から感謝状とか届きそう(そんなものがあるかは知りません)。

『一ノ瀬家の大罪』39話

 颯太の家出回想。かなり期待してた部分ではあるが、特にこれといって新しい情報はなかったですね。エモは高まるが、カメラを壊した家族側の言い分(事情)みたいなものはなかった。普通にクソだったのなw
 からのけんた独白。 “かわいそうなやつは” “いいやつじゃなきゃいけないのかよ!” は見事な指摘でしたな。本作の初期の頃にも当てはまりそうな話(翼の学校でのイジメの件とか)。そんな言い分としてはめちゃくちゃ面白いんだけど、自ら悪行をエンジョイしまくってる人に言われると、「何かこの子かわいそうな雰囲気出してるけど悪人なのは揺るぎない事実だよな……」って思っちゃう。いいこ扱いされるのが彼にとっては新たな呪いだったというのはまぁ分かるし、その通りだと思うけど、「なんでこんなことしたんだ」と問い詰められた直後にする話ではない気がする。
 あと母(役)が嘘ついてた件、あれは何も悪いことしてないだろ。何があったか踏み込まない関係なんだからそのくらいの嘘は全然アリだと思うんだけど。まぁ、けんたからしたら憎たらしいってのは分かるけど、けんたに嫌われたから家族崩壊となるのはちょっと飛躍しすぎだと思う。まぁ、母(役)が嘘を見破られて勝手に崩壊したというんならまぁ分からんでもない、かも。
 ラストの見開き。主張強めの絵(擬音ナシ)の合間に小さく差し込まれたフキダシ、という構図は芸術的でしたね。今更ではあるが、プラス畑の人でもこれだけ見開きならではの大仕掛けをされると「ポテンシャルやべぇ~」ってなる。3人の顔の位置、視点の流れの果てに配置されたフキダシ、というのが快感。

『アイスヘッドギル』10話

 王様の隠蔽体質は先代から引き継いだもの。王としてある程度そういうのが必要なのは分かるけど、いくら何でも酷い、という状態にまでこじれてしまった。前回は「普通に悪人じゃん」という印象だったが、そこに親のクソ教育と弟へのコンプレックスの果てに心が死んでしまった人、という印象が上塗りされて面白かった。悪政なのは間違いないし、良い王様ではないんだけど、単なる悪人として切り捨てるには惜しいキャラになった。見事ですね。
 あまりに生気がないのでサナの罪とか知らない。無罪放免なのは主人公サイドとして都合のいい話なんだけど、サナからしたら別の絶望感を伴うものでもあって……という味わいがとても良い。
 からの極悪人と思われた吟遊詩人もちょっと軌道修正されたというか、そこには特にフォーカスされないまま次のミッションへと移るのも面白かった。琴の影が王へと迫る鳥かごのように見えるショットとかも最高でしたね(気が利いてるのに小さいw)。
 旅立ち。変人パーティが揃ってのワチャワチャ感が楽しい。やっぱ本作は『鬼滅』の後継者枠だよな。それも、私が好きな『鬼滅』の一面のみを積極的に継承したような作品。ギルの “えっ おれと素材に失礼!!!” とかただのギャグセンスとは別のセンスを感じる言い回し。

『ハコイリお嬢とグータラ執事』武鴨樹

 読切。ジャンプショートフロンティア。
 お嬢様が庶民の生活を学ぶためにアパートで独り暮らし……ではなく敏腕執事を連れていくが、プライベートがグータラ。お嬢と執事の立場が逆転した2人のキャラクターがとにかく魅力的で、この2人を愛でるだけで終わる15ページという感じ。一応ツイストのあるオチは用意されてるんだけど、ぶっちゃけそれ自体に大きな魅力があるという感じではなく、とりあえず話が一旦終わりました、という体裁を整えるためって感じ。変にラブコメに走らないまま終わったのも個人的には好印象。一応ラブコメの匂いはしたし、このまま話を続けてったらそうなるのかもしれないけど、今回の読切の中だけで考えるなら、本作をラブコメとは括れないようなバランス。ラブコメはジャンルとして強すぎるので、すべてにラブコメ関係が勝ってしまうと思うので、今回の設定やキャラの魅力を立てる意味ではラブコメにしないで大正解だったと思います。
 グータラ執事を支えるためにお嬢が順調に成長していくんですが、本作の中で大きな一線、大きな跳躍として描かれるのが「ハンバーグこねこね」だったのも面白い。マジでレベルの低い困難なんだけど、自らの手を汚して他人に尽くす、という行為はやはり尊いものだし、お嬢の成長としてこんなにハマるものはないだろうと納得してしまう。まぁ、真面目に考えると「そんなに気になるなら手袋でも用意しろよ」って話ではある。あの料理番組特有の謎の黒手袋とか。
 あと、ジャンプで「現場猫」パロディを見たの初めてかもしれない。有名でもネット限定ミームみたいなものって意外とジャンプに入ってくるの遅いんですよね。しっかり本作らしい可愛い絵になってて素敵でした。通しで読むと違和感がない……は言い過ぎだけど、ものすごく収まりが良い。
 2人の掛け合いが魅力で、特にヒロインのツッコミが楽しい作品ではあるんだけど、「洗濯肢」みたいな字面の言葉遊びは正直余計だったな。元気いっぱいのキャラクターが魅力なので、喋りのみで成立するセリフのが良かった気がする。
 とはいえ、総じてめちゃくちゃ良かった。本作が普通に人気出そうだし、固定ファンつきそうだし、今後の作品もすぐ人気出そうなイメージ(ただし私の世間の人気予想はアテにならないです)。スーツ姿でグータラしてた、タイトルが出る2ページ目の時点で本作はもう勝ちだったように思います。

『ドリトライ』17話

 インフレというか、ルールの違う話が始まった感があるんですが、「精神論の是非」についての話を精神世界に引きずり込んで行う、と妙に筋が通ってるようでもあって不思議な面白さ。そこでの青空の絶望(一旦の敗北)が「理解できた」なのが良いんだよな。相手の言い分に対して「違う」と言えなくなってしまう。もう戦えない、まさに前に進めなくなる絶望としてめちゃくちゃ的確。
 根性論の問題として、カリスマが吹聴する根性論は周囲に伝播し、根拠なく信じた人たちが結果的に傷つく。それを知ってしまったから「理解」しちゃったわけですが、そんな青空を救ったのが周囲の人たち、というラストも感動的。これが長期連載だったら各章の強敵たちが勢揃いするんだろうけど、本作は1人は病院で見守り、1人は死亡なので悲しい。逆に言うと、どんなに長期連載になっても最終章はこの話をやるつもりだったんだろうな。そう考えると話の筋が通ってるのも当然ですね。

『テンマクキネマ』20話

 雪尾監督、当然キレてるが、映画を持ってこられたのなら話は別。このキレてはいるがそれよりも優先することがある、という感じがキャラクターの多面性って感じで良い。あと、キレの対象は新市だけでなく姫希に対してでもある、というのも良い。言われてみればそうだわ。父親面キャラとしては当然そうなるわな。
 脚本だけやたら良いことを見抜かれるのは予想通りだが、監督業の面は全否定かと思いきや、姫希を美しく撮れたという一点だけで、ある意味では負け、というのがナイス父親面。「姫希に友達ができて……」と感動するのがあの大人たちの共通認識ですが、それと言ってることは同じですね。新市(たち)と姫希の関係性の構築というのが唯一無二の魅力。映画の技術的な面ではなく人間関係(友情)の勝利とするのがめちゃくちゃ少年漫画だ。

『人造人間100』36話

 最終回。博士の回想(過去)を見たところでラスボスとの戦いは何も終わってない、と思いきや、彼らは博士の「理想」に取り付かれてるので、それが絶対に叶わないと知ることで敗北にも等しい絶望に至る。「バトルせんのかい」とは思うけど、この勝敗の付き方はめちゃくちゃ面白かったな。
 そして100の最終的な結論。ラスボスがこれからも悪役でいてくれると分かったので、彼を殺せば100自身は理想に近づくことができる。文章にするとややこしいけど、彼女は最後まで極めて利己的にのみ動いた、というのが良い。
 人造人間たちにとってあしびが特別な理由はその体ではなく心にあった、という話もサラッと語るのみでそれほど大きくは語らないのもスマートだったと思います。アクションとしてハデなのは100の自己犠牲の方なので、あしびの心については小さく語るのみ。
 エピローグ。ショタ成長エンドだ!! 一部の人が拒絶反応示すやつ。幸い私は大丈夫です(基本的にはメガネ外しもアリ)。というか、ドラマのことを真面目に考えればどうしてもこうならざるを得ないよね。
 ということで終わり。想像以上にめちゃくちゃ良い最終回だったと思います。入念に準備してた完璧な理論武装でぶん殴られた気分。本作のことは普通に前から好きですが、あまりにキレイな最終回だったので、最後の最後に評価がもう一段階上がってしまった。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 都庁設計の建築家と、歌舞伎町を命名した人の誕生日がある週ということで、新宿特集。苦しい、あまりに苦しいが、特集テーマとしてはめちゃくちゃ面白い。
 レジェンド歌舞伎町作品は『銀魂』だと思うんですが、あれはSF歌舞伎町なので除外らしい。厳しいわね。『アヤシモン』『トーキョー忍スクワッド』はアリなのにな。
 好きな作品のはずなのに完全に盲点だったのは『灼熱のニライカナイ』。そういや新宿鮫のダジャレだったな、主人公。こないだ新宿行くことがあったんですが、新宿のIKEAで有名な鮫のぬいぐるみが売ってあり、「これがホントの新宿鮫……!」と勝手に喜んでました。マジで買おうかと思った。洗えるのが良い。

次号予告

 次号から新連載が3本始まるよ。過去の読切的に実力は間違いないが、同時に新世代感もある3人と言えるのではないか。作者名見て3人ともピンとくるのがすごいぜ。
 ただ、個人的には3週目に始まる人が圧倒的に好き。頭一つ抜けてる印象。

愛読者アンケート

 実写版『ONE PIECE』について。最後まで観たよ。英語と日本語字幕だよ。元からネットフリックスには入ってたが、一挙配信ってこともあり、未加入でも『ONE PIECE』のために入ってた可能性はある。『ジョンウィック』のためにアマプラ一時加入考えてるし。
 言葉。若者言葉、ポップなスラングって感じですね。41の選択肢があって、日常的に使う言葉、使わないが聞いたことある言葉。若者言葉と言ったが、中にはかなり古めの言葉もある。このアンケートデータは普通に今後の漫画制作の資料として直接的に役立ちそうだ。
 さすがに使う言葉は少ないんですが、どれも意味は分かる……と思ったら普通にまったく分からないのが5つ。いちいち検索してしまったんだが、ものすごく恥ずかしい行為な気がしてきたよ。週刊誌とかでたまに載ってる流行語解説みたいな虚しさがある。ちなみに分からない言葉の中だとギャル語が多かったです。語感というかワードセンスが根本から違うような感覚。他はtiktokからの流行、youtuberからの流行。ギャル語は別世界すぎて「面白いね」と寛容な気持ちにはなれるんだけど、他のは若者言葉は「ちょっとキツいかも」となってしまうのが我ながら不思議だ。どうせ使わないし、関わりを持つこともないのに。これが老いか……。逆に言うと、若くない人が使うかつての若者言葉、みたいなキツさもあるんだろうな。そして、うちのブログにそれが氾濫してる可能性があり、非常に怖い。手遅れ。

総括

 今週中に借金ゼロと思ったがやっぱちげーわ(早速古い)。ただ、来週末にはさすがに終わる、追いつくはず。来週末がダメだと、またちょっとペースが落ちるのでさらに数週遅くなることになりますね。

 今号のベスト作品。『人造人間100』だな。めっちゃ良い最終回でした。
 次点は『アイスヘッドギル』と読切。
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