北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2023年43号の感想

 先日の『Mステ』スペシャル。「bad bitch美学」のビッチを発声できないというコンプラ案件で面白かったんですが、奇しくも明日、フジテレビで映画『暗殺教室』が放送されるんですよね。存在を許されるビッチ先生つおい。

背表紙

 「ジャンプキャラクター初登場シーン集」。鵺。はっきりとは覚えてないけどたぶん1周目? あれけど前号が『キルアオ』の2周目か。確かめる気力はないけど、1周目学郎だったのか。

表紙

 新連載。とにかく2人でフィギュアスケートやるよ、というのは伝わってくる。センターカラーなので『夜桜さんち』も小さく表紙にいるんですが、権平先生的にこの新連載はどうなのか……と気になっちゃいますね。

金未来杯のおしらせ

 次号からやるってよ。毎度実施要項を読む度に驚くんですが、優勝しても何もない。「金未来杯を贈呈します」しかない。名誉のみなら普段の読切掲載と何が違うというのか。まぁ実際は優勝したらほぼ確定で連載に繋がるんだけど、大会を盛り上げるつもりがあるならそういうことを公式に煽ってきた方がいいと思う。不思議だ。

読者プレゼント

 芸術の秋。有名絵画パロディグラビアが満載で楽しい。「○○する女」シリーズの雑さとか含めてかなり好きですよ。
 4枚すべてに元ネタがあるんだろうけど、無知なので分からないんですよね。お恥ずかしい……。ただ、どれも絵画パロとしてかなり秀逸だったと思う。小さいのは仕方ないんですが、よく見るとしょうもない工夫が込められてて笑っちゃう。これは年間大賞でも活躍が期待できるのでは。

巻頭カラー『ツーオンアイス』逸茂エルク

 新連載。今期では最後ですな。過去の読切は面白かったけど、「連載となったら何描くんだろう」と思うタイプだったので、ボーイミーツガールのスポーツモノで意外でもあり、題材の時点でどんな面白さなのかが分かりやすいのでそういう意味では納得もある。
 本編。かなりオーソドックス。前号までの2作品がかなりトリッキー、結構トリッキーだったので今回は「普通にちゃんと面白い……」って感じ。前号でも似たような感想書いたけど、これは完全に1周目に引っ張られてるな。とはいえ、フィギュアという知ってるようで知らない世界(な人が多いと思う)の話なので、話の構成、初回の構成はこのくらい分かりやすいというか、王道な感じがちょうどよかったとも思います。
 そんな中、開始早々に光るのが主人公(小学生時代)の圧倒的可愛さ。表紙と巻頭カラーでは優雅なイメージだったので、いきなり無垢な少年の可愛さで爆撃されてびっくり。可愛い言動大喜利のバリエーションが本当に多彩で、「まだ可愛いの!?」と何度も驚いた。このまま成長しないでくれ……と『ポケモン』の新作が発売されたときみたいな印象を抱いてしまった。ホゲータ好きだけど、進化すると可愛くないらしいですね(未プレイ)。とはいえ、「こいつの子供こんな可愛いんか」と逆算的に魅力が生まれるのがポケモンのすごいところだ。いや、ポケモンに限らず動物。
 そして、無事中学生。ファンボーイが独学で頑張ってきて、尖りまくった才能にその業界の人が驚く、という鉄板の展開なんですが、ここで先ほどの少年時代のピュアさが生きてくる。ピュアピュアな心理のままフィギュアを独学で始め、まっさらな無垢のまま中学生まで育ってしまった、という変人性に繋がってくる。無垢な少年主人公は狂人と紙一重、というのはジャンプ漫画でも定番ですが、その前振りとして先ほどの可愛い少年時代がある。
 そこに北海道と東京という地域格差が関わってくるのもウィンタースポーツならではの要素で面白かった。雪国の方が恵まれてそうとか素人は考えちゃうが、氷張ってりゃいいわけじゃないので全然そんなことはないらしい。ただ、学校に忍び込めば少年でも一応は「できちゃう」というところに恐ろしさがあり、ピュアな少年はストーカー一歩手前の変人スケーターへと成長する。
 逆ナンと誤解するおのぼりさん、というギャグも楽しかったし、2人の地域格差、そして主人公のピュアな変人性が現れてて良いギャグ。
 憧れの子と出会ってペア(仮)になるのはいくら何でも都合のいい話なんですが、彼女の滑りだけを見て、それも家で見たのを暗記して移動した先の校庭で滑る、というのを延々と反復練習してきたから彼女の分身のような滑りをする。なので、彼女のペアとしてはこれ以上ない逸材というロジック。事前に双子のペアがお手本のような存在として出てきたのも利いてる。ここがすごい良かったし、本話における話の展開のほぼすべてが主人公のキャラクター(主に変人性)に関わってるというのにも少年漫画らしい良さを感じる。
 そしてペア結成して初回がエンド。2人の物語が始まり出す場面で2人の出会いの場面がフラッシュバックする演出とか王道ながらめちゃくちゃ感動的でしたな。あとは単純に少年期がまたちょっとだけ見れて嬉しいw
 終わり。権平先生、どうでしたか? と脳裏によぎりまくってしまうな。ほぼ呪い。まぁ、ラストの見開きタイトルエンドも超かっこよかったし、1話でキレイに語りきった感じが前2作と違って輝いて見えた。そういう意味では本作のスタートが3週目で良かったと言えそう。

『SAKAMOTO DAYS』136話

 平助vsカミハテ。ハンデとして坂本商店特製の防弾ベスト。どんな攻撃でも一発は耐えれる。が、同じところに2発で死ぬ。実力とは別のゲーム性があって良いね。まぁ、スナイパーライフルを防げる防弾ベストってあり得るのか、少し気になってはしまうのですが。
 初手、いきなりベストを利用したトリックでカミハテの位置を特定(すぐ逃げるが)。ベストに頼るしかない、という実力差が現れてるのすごい良いっすね。平助の気合いを感じるというのが第一だろうけど、戦術的にも面白い。

ONE PIECE』1093話

 ルフィは黄猿を相手にするが、ゾロはルッチ。一味の戦闘員代表としてのかっこよさを感じる場面ですごい良かったけど、ちょっとカクのことを考えると悲しくもなりますねw 実力差が生まれちゃったなぁ。まぁ、麦わらの一味ほどの成長をよその組織にも期待するのも酷な話だと思いますが。
 黄猿。あれやこれやとピカピカの能力を使ってて、その多彩さに魅了される。多彩さという意味ではルフィのギア5も相当ですが、あれは「何でもアリ」みたいなニュアンスなので印象がだいぶ違いますね。黄猿の攻撃をギア5で無効化してる感じとかも超楽しいんですが、黄猿としてはルフィと真っ向勝負するのが第一ではなさそうで厄介。ルフィはそこまで器用に立ち回れないだろうからなぁ。

『あかね噺』79話

 からしを呼び出すあかね。陽キャの兄さんとつるんだ状態のあかねのウザさすごいなw あかねとして意外な言動って感じでは全然ないんだけど、「実際には絶対に会いたくねぇ~」となってて最高。同じノリでも特に子分ムーブしてるあかねのウザさが光るんだよな。
 そんな愉快な仲間たちと絡みで見えてくる、昇進を具体的に狙うあかねの次の目標。それはからしも同様で、という新章への助走。こないだはひかると戦ってたけど、今度はからしってことなのね。

僕のヒーローアカデミア』401話

 AFOがステイン対策をしていた、というのは分かるんだけど、その方法がメタとなる個性を発動するだけなので、正直それほど面白くはない。知ってる人の個性を組み合わせたとかならいいけど(私が覚えてないだけだといいな)、そうじゃないとマジで知らない個性をステインを倒すためだけに出てくるので盛り上がらない。「相手は死ぬ」と大差ない。
 ただ、ステインの個性が奪われると非常に困る、という話に繋がるのは面白い。ここらへんはAFOという悪役の魅力だろうな。勝てば勝つほど強くなってしまうし、戦いを挑んだ魅力的な味方キャラの頼もしさがそっくりそのまま敵のチカラになってしまうハラハラ感。

センターカラー『カグラバチ』2話

 びっくりするくらい初回の補足のような内容。初回はコンセプトとして説明的な要素を省いていたのだと改めて感じられる。逆に言うと本話がかなり饒舌に前回足りてなかった情報を説明しまくるのでちょっとイビツな印象も受ける。まぁ、それだけ第1話の完成度を追求したってことなんだろうな。そういう意味では『魔々勇々』の2話も似たような感じだったのかもしれない。あっちの作品は2話のラストでもまだ区切りがないんだけど。
 アクションとか説明とは別に超良かった場面としては、ラスト手前、主人公が部屋で独り刀の中から金魚を取り出して眺めてる、のを窓の外から映す、奥から柴さん入室、という場面。窓ガラスが金魚鉢のようにも見えるし、中央で区切られてるのも味わい深い。そしてそのまま街を俯瞰するショットになって第2話終了、という切れ味も最高。
 前回もそうでしたが、謎の街並みも本作の大きな魅力ですね。「スカイツリーってこと!?」みたいな謎の建物とかめっちゃ良い。ちょっとハリウッド映画とかで誤解された日本の街並み、みたいな雰囲気も感じる。最近はさすがに少なくなったし、ハリウッドとかが求める日本感とも微妙に方向性が違うのも感じられて本当に良い。

『アオのハコ』118話

 菖蒲と匡。匡視点ではないけど匡の出番が多くて、なかなか新鮮。今までは大喜や雛を見守る、という視点のキャラであることが多かったけど、客体になることで逆に彼のキャラクターが独立したような印象。
 んで、本話の視点となるのは菖蒲。匡との会話でいろいろ思うところがあるがハッキリとは言語化できず、そのままの状態で姉&千夏パイセンとバレンタインチョコ作り。匡にチョコあげるのはいいけど、同時に遊佐くんにもチョコあげてくれ、と謎の気持ちになってしまう。遊佐くん(と彼を追いかける菖蒲)が好きなので。まぁ、面識のない男子にチョコをあげるようなタイプの人間ではないのかもしれないな。
 千夏パイセンの話を聞きつつ、姉にからかわれつつ、菖蒲が自分の現在地について整理するような感じ。千夏パイセンを持ち上げるような言動をするが、そこには自分を卑下するニュアンスが隠れていて、それを千夏パイセンは見逃さない。この「きゅん」のくだりが超良かった。単に「先輩素敵」となるだけでなく、菖蒲の抱えるある種の危うさみたいなものを意識させてくれるので読んでてハッとする。菖蒲が匡に聞いた言葉を彼女なりに租借してぶつけるのだが、匡の考えにある種の絶望のような距離を取る菖蒲に対し、それを否定して同じ地続きの人間だと伝える千夏パイセンが大人すぎる。恋愛観の育み方が特殊なだけあって菖蒲とは真逆のような人だ。
 からの菖蒲の独りの時間。菖蒲の目を通じて見た匡というのが言だけ葉ではなく過去の場面のツギハギでも語られ、そこが最高に面白い。こじれてきましたよw 菖蒲の考えが整理されて一歩踏み出す話かと思ったけど、こじれたまま結論は出ず、とりあえず歩き出す。
 そして、あまりにのんきに幸せを噛みしめる大喜で終わるのも「良いご身分ですね」感あって最高。一旦あがってしまったキャラ故ののんきさ。

『呪術廻戦』236話

 五条死んでた。死んでたんかい。あんだけ劇中で「勝った」と言ってたのに。作者はこのような引っかけというか「思ったけどちげーわ」的反転を無限に作れるので、正直これ自体はあまり面白くない。別に負けた理屈の部分とかに納得はないので。
 とはいえ、本話の劇中でも言われてたけど、これで五条が順調に勝っちゃったら今後のケンジャクとの話が “もう五条さん1人で良くないですかって” となるので、そういう意味では負けて良かったのかもしれない。勝った先で本作が面白くなる未来は見えない。そりゃ短期的には勝った気持ちよさはあるだろうけど。
 あと、死者の集いを見せることで「あーつまり五条は……」と察せられる形になる演出もすごい良かった。これは一話単位の区切りが強い週刊連載をリアルタイムで読むことの醍醐味ですね。目次コメントでも言ってたけど、休載挟んだことでその効果が倍増したとも思う。
 そして、今回一番面白かったのは、今号のジャンプが発売された時点におけるアニメ『呪術廻戦』2期の最新話。ちょうど五条が封印されて終わったんですよね。そしたら連載の方では……というスケジュール管理が完璧。こういう類の演出? は本作の本当にすごいところだと思う。アニメ1期でもそうだったけど、それが最も瞬発力高い形で完成した感じ。まぁ、スクナとのバトルが異様に長かったので、ある程度調整しやすかったとは思います。
 死者の集い。死んだときの姿ではないのね。五条にとって最も思い出深い学園時代の姿という感じだろうか。そんなに学園生活に輝きを感じていたタイプだったのか……と少し意外ではある。まぁ、あくまでも虎杖という現役学生(厳密にはややこしいけど)が主人公やってる作品なので、そこと対比させたかったみたいな意図なのかもしれない。とりあえずナナミンは卒業後の絡みもそこそこ多かったんじゃないの? と思うので少し引っかかった。
 あと、五条ゆかりの死者という意味では釘崎さんがいないのも気にあるっちゃ気になる。「これは生存説あるな!」とか言いたくもなるんですが、そういう考えを寄せ付けないためにも今回同窓会という形にしたのかもしれないw
 五条先生の体をケンジャクに奪われると非常に困るのでとっとと五条先生の体もしくは頭部を破壊……はさすがにアレなので持ち帰らせてもらったりした方がいいんじゃないかしら。てか、前話の時点では、あのままスクナは死ぬが今度はケンジャクが体を奪うので新たな最強悪役誕生、って感じになるかとも思ってたんですよね。まぁ、体は伏黒なのでややこしいか。

センターカラー『鵺の陰陽師』19話

 鵺出陣。掲載位置に印象を引っ張られてる気もするが、初期から主人公のそばにいる劇中最強キャラということで五条感あるな。設定としてはスクナの方が近いが。最強キャラだが主人公の成長の度合いと制限が反比例するというのも面白い。前から言われてる設定だけど、実戦となって面白さが実感できたぞい。
 そんな待望の最強バトルで、話としても、設定としても、互いの戦略としても面白いんだけど、実際のバトル描写が「実力差がありすぎて目で追えない」タイプの省略表現だったので若干の肩透かしはあるな。何なら互いに一歩も歩いてないレベルのバトル描写。
 ただ、戦略は面白くて、「負けた!?」となる最後も普通に良かった。ただ、五条に続いて敗北しすぎだなw いや、本作はまだ負けないと思うけど。

『魔々勇々』3話

 うわ、すげぇ。「第1話完!!」みたいな第3話だった。1週目に始まった本作が3話で序章をやり、2週目に始まった『カグラバチ』が2話で序章、3週目に始まった『ツーオンアイス』は1話で序章。なので、今号でみんなそれぞれ序章が終わるという謎のシンクロ。
 本編。おっちゃんが来て助けてくれる。そして説明。異世界から来た勇者と魔王は初回のアレだけじゃなかったらしい。マルチバース大集合のスケールが予想以上にでかかった。勇者と魔王のバトロワかよ。そして、タイトルはそういうことなのね。無数にいるよ、的な。
 んで、旅立ち。急にめっちゃ普通の、めっちゃ王道の話になった。急にお馴染み感が出て嬉しいんだけど、これはマママは一旦退場となる形なのかしら。2人セットで進む話だと思ってたのでかなり意外だ。いや、よく考えるとここまでの3話でマママのキャラクターはそれほど描かれていないので、そう考えると腑に落ちる。事前のビジュアルとかが結構印象を誘導してくるというか、引っかける気満々だったのだな。

『キルアオ』22話

 天馬がめっちゃまとも。スポーツを介したコミュニケーションだと実は一番まとも、ということだろうか。敵が極端なのもあり、本来なら他人の気持ち、考えが理解できないタイプの天馬が一番他者を思いやるような言動を繰り返してて面白い。そして、十三が何気に他者のことを考えない最低なこと言ってるんですよね。まぁ、直前まで悪意と殺意をぶつけられてたから、まともに気を使うべき相手じゃないという思考になってても仕方ないんだけど。
 んで、暴走を止めるために天馬が必殺技。天才スポーツ選手が必殺技隠し持ってるのが面白いし、それを敵が両手で受け止めようとする絵面とか完全に『ドラゴンボール』してて笑ったんですが、他者を思いやる天馬の活躍、という新たな一面が見れて良い回でしたな。本来戦う理由のない天馬が奮起する流れが見事。
 んで、ノレンが起きて、催眠発動。まぁ本作が一番面白くなるのは当然この人だよなぁw 催眠で好かれても意味ない(ノレンのキャラ的にも魅力を感じにくい)と思うんですが、まぁ軽いラブコメみたいなノリだったら成立するのかもしれない。ただ、そんな長続きする設定じゃない可能性も考えてしまう。

センターカラー『夜桜さんちの大作戦』195話

 結婚式阻止のためのカチコミ。 “龍のバカはどこだ!!” から始まる大原部長スタイルなので笑った。伝統芸能
 からの各人が無力化されるスキャンダル。兄弟姉妹の変人性が現れてて面白かったが、面白いだけで話がまったく進まない。双子の話じゃなくなった時点で若干不思議だったのだが、今のこのエピソードはマジでただの箸休め的な意味しかないのかもしれない。さすがに最後に双子がちょっと活躍してスタンプもらう流れかもしれないが。
 太陽はスキャンダルゼロ男。それに対して「口封じの達人説」とか書かれてて面白い。火のないところに煙を立てる方法。まぁ、まじめに考えると、太陽の出自とか(あと嫁とのなれそめ)ちゃんと調査すれば普通にニュースバリューありそうだとは思う。スキャンダルじゃないから攻撃にはならないけどね。

『ウィッチウォッチ』126話

 モイちゃん以外がぞろぞろと合流。ウルフは普通に限界だったけど見張り役として必要だから無理して耐えててくれたらしい。なので、カンシが現れたらおやすみ。めっちゃ良い人やん。感動してしまったw まぁ、このままケイゴが元気だったらラブコメが始まってしまうのでフラフラじゃないと困る、という大人の事情も感じる。面白いは面白いのだが、今はどう考えても話が止まるので邪魔。
 バトル再開。死角の視覚化……を話と関係ない場面でも描写されてるのが面白かった。説明した直後だからってのもあるだろうけど、すべての場面で能力が発動してるバトル描写というのもちょっと面白そう。

『暗号学園のいろは』41話

 2択の答えがあっさり示されて話が始まるんだけど、途中でいろはにとって選択の余地はなかったことが説明されるのめっちゃ良いな。少しでも「究極の選択や……!」とか考えちゃった読者(私です)が恥ずかしくなると同時に、いろはのヒーロー性に惚れ惚れとしちゃう。
 ただ、結局踊り子の件は先送りされて、元の話に戻ってメタバース編突入。若干「なんでわざわざそんな話をしたんだ」ともなる。すべての戦争を止めたら踊り子の件も解決ってちょっと大ざっぱすぎるというか、そりゃまぁその通りなんだろうけど、結局直接の解決は目指さずに放置することになるので、それなら恩人に会いに行っても良かったんじゃあ……みたいな。「このあとメタバースで大金ゲトってすべての戦争止めるんで」だったら普通に会うツラとして成立する気がする。別に今回得た情報のおかげで「じゃあメタバースだ!」とは全然なってないんだよね。元から設定されてるいろはの最終目標をクリアすれば踊り子も解決となるのは別に今回の話を聞かなくても分かってたことだし。

『アンデッドアンラック』176話

 決戦前に海。バイクの運転手とサイドカーに載った女性がヘルメットして、運転手の後ろの男性だけノーヘルという絵面がなんか面白い。絵面重視なら全員ノーヘルでいいし、リアリティ考えるなら全員すればいいのに、なぜかリップだけノーヘル。謎だ。「このバイクは2人用なんだ」というスネ夫みたいな状況だったのだろうか。もしくは、最初は全員ヘルメットのつもりで描き始めたが、ラストの決めシーンをやる上でヘルメットはどうしても邪魔だった、みたいな。
 回想。左右対称になるような見開き2ページのコマ割りが芸術的。ちゃんとその左右対称であることに物語的な意味があって見事。外向きで、厳密に左右対称になってるわけじゃないので、ページを開いた瞬間にパッと見で左右対称だとはバレない、というバランスが最高。最後まで読み終わって、少しだけ違和感が生じて全体を俯瞰すると実は左右対称で……みたいな。

『逃げ上手の若君』126話

 リップの決意の直後に脚ブレードの使い手が出てくるの面白すぎるだろ。これは芸術点高すぎて年間大賞狙えるレベルなのでは。編集長なのか誰かが進言したのかは知らんけど、最初に気づいた人気持ちよかっただろうなぁ。本作が1ページ目から全段ぶち抜きの脚ブレード披露になってるのも完璧。
 んで、泰家救出。今更だけど「家」の人が多すぎる。吊された泰家を下ろして連れ出すには時間が足りないところを、顕家が何とかする。絵による説明の段階で「吊してる縄を射抜く」というように予想を誘導された気がする。顕家の超絶射撃ならそれも可能だろうと。実際、コントロールを重視してそうな射撃の説明になったので「やっぱりか」と思ったら、縄ではなく柱をぶち抜く。必殺技のかっこよさ、からの予想外の驚き、予想以上の威力のぶち上げ感というのが一体となってて最高の場面。
 そっから折れた柱に乗っかって階段を下りてくる、という「どっかの奇祭かな?」と言いたくなる絵面が楽しかったし、よく考えたらその祭りって諏訪か。本作で前にやってたわ。それを今回は顕家を主催するというのが良い。

『僕とロボコ』154話

 体育祭。 “まあ順位をつける時代じゃねーし” と言ってたのに、女子の膝枕というご褒美に釣られて本気出すというのが若干意味不明というか。ご褒美に女子がかり出される方が時代じゃないと思うし、それを前提に進むのもおかしな話だと思う。まぁ、「膝」なのでオチはお察しなんですが。
 んで、騎馬戦。サイレント進行にしては言語的な説明を無理矢理絵に変換してるだけの描写が多くて「それなら普通にセリフ書いたら?」という気持ちにもなる。まぁ、これは以前にも同じ感想書いたと思う。
 ただ、ボケに対するリアクションやツッコミが文字として表示されないことの味わいは独特で、そこは間違いなく面白かった。最後にセリフツッコミが解禁される気持ちよさもある。
 あと、騎馬を崩されてあわや敗北、からのスカイラブハリケーン、からのピッコロ大魔王戦の悟空というコンボには素直に感心してしまった。めっちゃ自然に繋がってる……。まぁもちろん帽子を取るにしては貫通したかのような位置にいるボンドがおかしいってのはあるんですが、そこはご愛敬の範疇だと思う。

『アスミカケル』14話

 フキダマリ参戦ファイターの出番が満遍なく多くて嬉しい。ほぼ出オチな人もいるけど、その瞬発力(のみ)含めて好き。
 瞬殺されたホストファイター。意外とスポーツライクで敗戦後も感じが良い。二兎が大会に対する印象を改めてたけど、あれは単純にスポーツマンというより、「今こいつと仲良くしといた方が得」と打算的に判断されただけだと思うの。もしくは「惨敗はしたけどどうしたらそのかっこ悪さを最小限にし、プラスイメージに繋げられるか」みたいな判断。
 観戦時に仲良くなった太賀くんが虎仮面。ダジャレかよ。ただ、児童養護施設出身なのでタイガー仮面という劇中のオッサンの趣味全開のプロデュースというのは面白かったな。

『一ノ瀬家の大罪』42話

 夢に落とされたが、今度は颯太が頼もしい。翼より先に動き出してくれるのめっちゃ良いね。現実では翼が率先してたのに、先制攻撃されると逆ギレ的に颯太が動く。
 夢の共有の技術にはどうやらジーサンが関係してるらしく、だとするとその情報にアクセスできる父さんのみが怪しい。話がウロウロしすぎてて本筋がマジで分からなくなる、というのが本作の特徴だと思ってたんですが、気づけばかなり本筋が大きく進んでたと気づかされる良い場面。それが颯太を仲間にしたことでもたらされたってのが良いですね。やはり努力友情勝利ですわ。家族で友情ってのも少し変だが。
 お次は詩織。颯太の回想で、カメラ破壊事件の際、詩織が颯太側に近い考えを持ってたのは分かったが、実際はブラコンだったでござる。そう来たかw 言われてみればめっちゃ腑に落ちるが、目の当たりにすると意外な展開。仲間が増えたことで既存の仲間の新たな一面が見れる。王道の面白さだ……。
 安易に「ブラコンの妹とか最高じゃん」と言いづらいのは、颯太の喪失を埋めるためにアレに手を出してたから。ちょっとヤバさも感じるし、そのことを颯太が知ったらまた事態がこじれそう、という今の喜ばしい関係性すら危ういバランスの上に成り立ってるのでは……という別のハラハラ。ちょっと前回からまったく予想してなかったタイプのオモシロが詰まってて良い回だったな。

『アイスヘッドギル』13話

 冒頭の乳母との回想。めっちゃ良い。スパルタ教育のエピソードとかかなりベタなんだけど、そこに放り込まれるギルというキャラクターがやはり唯一無二の魅力なんだよな。 “精神てき暴力 内面のじゅうりん” とかどんな言い回しなんだよ。良すぎる。
 現在。ちょっとびっくりしてしまうレベルの大惨敗。取り返しのつかなそうなレベルの敗北に驚くし、「えっ グロォ……」ともなる。肝心の知の書も失われてしまったし、ギルの聖遺物も分からないまま……と思いきや、サナが読心術で最後のメッセージを読みとっていた、という逆転劇。熱いな。取り返しのつかない敗北かと思いきや、最後の一手だけは紡がれていた、というギリギリのところの最後の希望。熱いやないか。
 んで、氷雪系のオノ。『ドラクエ』的には吹雪のオノですな……とか思ったけど、正確には水だったでござる。ここに来ても第1話で印象的だった寒さを持ってくるのか。そのワンロジックのややこしさが魅力ではあるが、今後毎回そのワンロジックを挟むの大変そうだ。かといって「実質氷雪系」みたいな安易な扱いになるのももったいないよな。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 10/1はコーヒーの日なので、ジャンプ作品の中の喫茶店特集。相変わらず最高の目の付け所。言われないと気づかなかったけど、たしかに、ちょくちょく出てくるよね。スタバとかそういうのじゃなくて純喫茶系の。はっきりと意識はしてなかった隠れ漫画あるある。
 逆にスタバだと『ルリドラゴン』が印象的ですね。あれは逆を行く珍しさだったんだなぁ、と今更ながら。
 一口に喫茶店と言ってもその扱いは意外とバリエーション豊か。コーヒーかと思えば激レア紅茶を出す『夜桜さんち』もあるし、ただのコーヒーではなくコーヒーゼリーを出す『斉木』もある。さらには喫茶店という存在自体の古さを逆に利用して、キャラクター間のジェネレーションギャップを表現する『キルアオ』も珍しいアプローチになってて見事。

次号予告

 表紙巻頭は『アンデッド』。人気なんですねぇ……とか思ったけど、そうじゃなくてアニメ開始だった。もうか。なんか永遠に「もうすぐスタート」みたいな感覚でいたわ。
 あと、『ツーオンアイス』でフィギュアのコラム連載が始まるらしい。フィギュアという題材の面白さもあって、これは漫画とは別個に楽しみ。

目次

担当さんからアドバイスを頂き一番筋肉量の多いとされる太股を鍛えております
(『鵺の陰陽師』)

 暗に「食べ過ぎなんだよ」という話になってて笑う。やはりスクワットか……。

愛読者アンケート

 新連載についてと、フィギュアスケートについて。用語についての細かい質問とか、普通に連載に直接役立ちそうなアンケートだ。結果を集計したらそのまま作家に届けられそう。ちなみに、聞いたこともないし、意味も分からない単語は「GOE」「ノービス」。フィギュア用語としてはさっぱり分からんのが「サイドバイサイド」「降りる」「エレメント」。降りるってマジで何。
 気になるので分からないの全部検索したんですが、「エレメント フィギュア」で検索したら映画『マイエレメント』のフィギュア情報がヒットしました。大好きな映画だけど今は邪魔。

総括

 終わり。追いついた。借金ゼロ。超久々、年単位で久々にジャンプ買ってきたら即読むことができる生活になります。本当にお疲れ様でした……(終わるわけじゃないけど)。

 今号のベスト作品。新連載でいいのではないでしょうか。ちゃんと1話で序章が完結してて偉いw
 次点。『呪術』と『一ノ瀬家』かな。