北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2023年44号の感想

 今までは最新の感想記事じゃなかったので、冒頭にあらすじ的な一文を書いたり書かなかったりしてたんですが、今週からはそれがいらないんですよね。まぁ、ほとんど癖みたいになってるからたまにやるけど。

背表紙

 「ジャンプキャラクター初登場シーン集」。二兎。心に壁を作るようにヘラヘラしてるの、めっちゃ二兎っぽくて良い初登場シーンだ。

表紙

 『アンデッド』アニメスタートおめ。アンディがいること自体珍しいんですが、2人とも初期のビジュアルなのも良いですね。

読者プレゼント

 三猿。別に秋らしさはないと思うのだが、先日日光東照宮に行ってきたばかりの私としては非常にタイムリー。
 当然「○○ざる」ネタが多いんですが、「歌わざるをえない」が入ってるのがアプローチとして新鮮で好き。あとは「ウキ足立つ」もしょうもないながら予想外のダジャレになってて良かった。

巻頭カラー『アンデッドアンラック』177話

 シックさん、人型(ほぼ人)になっててなかなか魅力的な悪役の雰囲気出てきた。「結局人型なのか……」ともなりますが、本作は異形の悪役を頑張ってる方ですね。
 ライラの手術を始めようとメスを持った瞬間、不治が発現して停止。ただ、そこに不動や不抜がわらわらと現れるのややこしい。まぁ、実際に「不治ではなく不動では?」という含みを持たせた場面なんだろうけど。それなら不治のテロップ演出は明確な嘘になるのでやめてほしかったな。
 んで、風子が現手持ちを全部ぶっ込んでシックに挑む(少し足りないけど)、という感じのラスト。厳密には旧ユニオン以外の人もいるけど、アニメ化とシンクロさせる意図の演出なんだろうな。みんな初期のビジュアルになってるのがエモ。

『アオのハコ』119話

 菖蒲を中心としたバレンタイン狂騒曲。バドサーの姫マネなので当然ではあるが、それだけでないこじれ方をしてくるので超楽しい。これは大喜が「あがり」を見せたことによる副産物でもあるんだろうな。大喜のドラマとしてはあまり似つかわしくない気がする。ちょっとドロドロした感じもあるので。
 菖蒲が匡に渾身のチョコ(本命かは不明)を渡そうとすると、雛(菖蒲の中では匡の想い人でほぼ確)が匡にチョコを渡すのを見て中止。すると松岡パイセンと遭遇。本来ならモテるはずが軽薄さが女子にバレてるのと、彼自身が良い人なことに起因する事故によって女子人気は皆無という境遇に笑った。あのキャラはせめてモテててくれよw そんな松岡パイセンに菖蒲が余ったチョコを渡したら、それを匡が目撃。今までは視線の情報のみで語る場面が多かったので、急にめっちゃ核心に迫ることを喋るのでビビった。てか匡、あのキャラしといて姫ムーブされたらあっさり勘違いしかけてしまうの可愛い……。
 匡が物語的なオチで、気になる部分はまた今後……と思ったららオマケ的に大喜の誤解(松岡パイセンが千夏チョコと同じ包みのチョコを持ってる)が描かれるのでマジ笑った。菖蒲たちの複雑さからあまりにギャップのある、マジしょうもない、読者的にハラハラする要素が1ミリも存在しないギャグだ。
 せっかくなら大喜から「松岡パイセンが同じ包みのチョコ持ってて」と聞いた千夏パイセンが「まさか菖蒲の好きな人って……!」と誤解してくれたらさらに面白くなると思ったんですが、そんな感じはなかったですね。彼女も大喜と同じでのんきな部外者なのでしょう。

『呪術廻戦』237話

 対スクナ戦。カシモですぐ始まるのかと思ったら、その前にスクナに対する「新しい顔よー!」と、それを阻止しようとする秤パイセン。またパチスロが伝わらなそうな人と戦うことになるのなw
 カシスク戦。順調に始まるが、互いに人の姿を捨てるらしい。五条戦が細かくステゴロファイトを挟んでたけど、それとの差別化みたいな意図もあるのだろうか。今度は人外バトルの最高峰ということになるのかもしれない。
 スクナ。変身すると回復するので、意図的に変身を中断していた。というロジック、ゲームみたいで面白いな。次の戦闘が終わったらレベルアップするのが明らかで、レベルアップしたらMP全回復だから普段は雑魚戦で使わない大技使っちゃおうか、みたいな。あと、変身したら回復して仕切り直し、というのはニチアサ特撮怪人みたいな雰囲気もあるか。詳しくは知らんのでイメージだが。

 二色カラーのとこにある月例賞コラムが今月芥見先生なんですが、今週の内容が「分かりやすい絵」で超面白かった。芥見先生がこの話をしてるってのが尚更良い。本作のアクションがなぜ魅力的なのか、の説明になってる。

センターカラー『ツーオンアイス』2話

 前号のアンケートハガキで質問されてた用語が連発する回で面白かった。こういうお勉強的な回には独特の魅力を感じちゃう。
 ただ、そんなお勉強回の最初に出てくる用語が「デススパイラル」というギャグ的な扱いから始まったのも計算としてうまい。オモシロ用語で魅了してから、普通の用語を一気に説明してくる。
 主人公、足を引っ張ってる自分が許せなくて、それを微笑ましく見守る相手に対してもイラつく。半分ストーカーキャラとしてめちゃくちゃリアルな心理で良かったし、「なぜヘボでも許せるのか」がちゃんと本話のクライマックスに繋がって、それがそのまま運命の相手としての理屈になるのが良い。
 効率的な教育を初めて受ける話になってるのもスポーツモノとして結構大事なテーマだと思う。初めてビデオ録画して自分でチェックする練習をするが、彼は記憶力が異常(∵ストーカー)なのでその練習方法がハマって成長速度がえぐい。おまけに小学生の踊り完コピできるんでそのまま大会にも持ってける、というストーカー仕草によって本来なら地道に努力を重ねるパートを省略できちゃってるのも超良い。都合のいい話なんだけど、それをすべて主人公の変人性でクリアしていくロジックが良い。とはいえ、最後のはちょっとキモかったなw 前回の彼の話を考えれば当然と納得はできるんだけど、それはそうと反射的にキモい。

『SAKAMOTO DAYS』137話

 カミハテは孤独にこだわる超内向的で独り言の多いキャラなので、シンが心の声を読むと “なんか急に語り出した…” になるのめっちゃ良いな。漫画的に都合のいい展開をギャグにしてるようでもあり、カミハテのキャラクター表現としてしっかりしてる。
 孤独を好み、現場を完全にコントロールするカミハテ。それと、人を好み、人を傷つけてしまうのではないかと軌道を定められない平助。そんな中、唯一平助が信頼できる道が存在していて、それがカミハテの弾道。ロジックとして完璧だし、2人の主義主張の直接対決にもなってて見事すぎる。「これで両想いだね(はーと)」という話になっててマジですごい。感動してしまった。
 カミハテ、姿が映らず銃口が喋る演出を徹底してるため、パソコンを見るときもモニターの真ん前に銃口があって無茶苦茶な絵面なんですが、カミハテくらいの変人だったら実際にスナイパーゴーグル越しにパソコンを見てるのかもしれないな……。

僕のヒーローアカデミア』402話

 スマホバトロワゲーが好調らしい。ジャンプ作品のゲーム化としてかなり珍しい展開で驚きました。基本無料なのでゲームハード持ってる人はやってみるのもいいかもしれません(宣伝)。
 本編。デクとオールマイトの合流。正直ラストは離れた2つの場面に加えて突然フラッシュバックが差し込まれるので一瞬混乱もするんだけど、最初に “OFAの面影が 緑谷出久の中で 一足先に別れを 告げた” と無情にも要点を告げてくるので優しい。ひっくり返りようもない事実が最初に告げられる構成なんですが、そっからオールマイトがもう一踏ん張りする、というサプライズもあって非常にアガる。あれは面影の現象がいい加減だったということなのか、このナレーションだけ実は時制が後のものだったとかそういう感じだろうか。ちょっとズル的でもあるよね。面白いのだが。

『魔々勇々』4話

 強いおっちゃんとの修行。めっちゃマッチョメンタルで不安にもなったんだけど、緩急の付け方が見事で普通に魅了されてしまった。 “あら?” のくだりとか良いよなぁ。急に可愛いというか、緩い。もちろん最後の「右手」の使い方もオシャレで良かった。
 ただ、せっかくの超楽しいアクションシーンなのに、「列車の上で戦う」というオモシロステージがちょっと分かりづらかった。最後の最後に列車の上という線上の戦いならではのオモシロが発生するので余計に惜しいというか。まぁ、「普通に読んでたら分かるじゃろ」となったならそれでいいです。
 んで、別勇者と出会ってエンド。急に分かりやすい楽しさ全開になってワクワクすると同時に寂しくもある。あの掴み所を探りながら読む期間は終わってしまったのかな。ただ、「勇者っぺぇ~!」というビジュアルはとても好きです。まぁ『ドラクエ4』的なイメージなんですが。緑髪だといいな(たぶん違うと思う)。

『僕とロボコ』155話

 モツオんち。すぐに金持ちに戻る話になるのかと不安になったが、そんなことはなくて良かった。
 駄菓子屋のくだりも楽しかったけど、今時あんな絵に描いたような駄菓子屋、身近な存在なのだろうか。まぁ、コンビニでも同じことはできるから今の子が見ても「あるある」として受け取ることは可能なんだろうな。あと、必死になったモツオがカロリーをベースに計算してるのがバカっぽくて好き。そこはおいしさとか楽しさとかだろ。
 モツオではなく、ボンドがニンテンドースイッチをゲット。これは近々『ヒロアカ』のバトロワゲーの回が来るかもしれない……。

センターカラー『ほうきの狩人』小林おむすけ

 金未来杯その1。魔法の箒のみで構成された主人公のアクションが見事でしたな。普通だったらもうちょっと別の能力を足しちゃうって。そして、その箒である羽丸が可愛い。2本足で歩く擬人化とか完全に『ファンタジア』なんだけど、それ以外の言動、意思表示がことごとく可愛い。こういうキャラに弱いんだよなぁ。私も抱き合いたいし、股のあたりに頭突っ込みたい。ただの良い子かと思いきや、「カ~ペッ」とかもやってて最高なんだよな。下半身じゃなくて口も兼ねるのか。
 話としては、劇中で本人が善について語るような、めちゃくちゃストレートなヒーロー譚。このあまりにストレートな感じが良かった。親の件があるので善ではなく金を行動原理とするが、助けた奴隷を敵が大金で奪おうとしてきて……とか最高に良い。超シンプルながら核心のみで話が構成されてる。一度は金に屈してしまうが、良心の呵責(それをヒロインに見破られてるのも良い)で破棄し、最後に “でもお互いにいい人じゃないし 許してね♪” と着地させるのとかマジで気持ちいい。ヒーロー行為をする際のロジックとして「いい人じゃない」を持ってくるのが痛快。
 アクション。ただ速い箒で空を飛ぶだけなんですが、見開きを横幅めいっぱいに使った4段の、ミサイル避けのくだりとか最高だった。左奥へと進んでいき、急ターンで最下段では右に飛び出してくる。視線誘導が本当にキレイ。パッと見で最下段の右ページが目に入っちゃったら台無しなんだけど、ミサイル三兄弟の活躍で見事に左奥へと誘い込まれちゃうんだよな。マジックを目撃したかのような気持ちよさ。
 ただ、1,600度の炎の竜に対して無策で突っ込んで勝利するのには少し萎えた。熱さナメすぎじゃろ。一瞬で突っ切るならまだしも、結構時間かけてるようにも見えるのでやっぱり無理だと思う。燃えちゃうよ。ただ、この見開きでも最下段で主人公が右ページに飛び出してくる動きになってて面白い。まぁ、せっかくの読切で似たネタ頻出するのはもったいない気もするかな。
 終わり。面白かった。ゆるふわかと思いきや、アクションは徹底的に主人公の動きのみで魅了するストイックさのギャップが良かった。好き。私にも羽丸とイチャイチャさせてくれ。まぁ、飛ぶのは怖いので十中八九嫌われるんだろうな……。

『カグラバチ』3話

 冒頭いきなり情報屋の謎語りでスタートするんですが、その場所が喫茶店なので笑った。週ちゃん案件やないか。喫茶店で情報収集ってのは一つの定型と言えそうですね。酒場のノリ。
 そんな情報屋と子供。それぞれ控えめなノリで変な言い回しをし続けてて面白い。本作全体が一気に楽しげな雰囲気になりましたね。主人公が絶望的に暗いのでw 外部のチカラによって楽しくなるのは良い。あくまでもスパイスとして楽しげになる。
 子供。なかなかコミュニケーションが成立しなかったが、メシを通じて徐々に通じ合い、ようやく完全に成立した……というタイミングで敵襲。主人公が能動的に戦うことになる感情の高まりとしてスムースで気持ちいい。『ONE PIECE』の「Help me」「Of cource I will×3」の再現のようでもありましたな。

『ウィッチウォッチ』127話

 モイちゃんが頑張って本格バトルやってる一方、序盤の “そういえば広場の近くに休憩スペースがあったよな” というニコサイドの段取り臭さがすごい……。本来だったら台無しに近い印象なんだけど、篠原作品らしさが感じられてこれはこれで面白い気もする。本格バトルをやっても消えない作家性、それ故のちょっとびっくりするくらいのイビツさ。
 それとは別にみんなニコのために頑張ってるし、死にそうになった人、なってる人だらけなのに、ニコが「近くて観戦したい」と意味のないこと言い出してそれに振り回されるの、普通にうざい。あの段取り臭い移動、(体裁としての)意味がまったくない。せめて「何かができることがあるかもしれない」くらいのニュアンスを入れてくれたらよかったのだが(そういう話になるだろうし)。
 一方、不死の呪いを憎むべき母親に押しつける話は面白かった。それは単なる憎しみではなく愛憎が入り乱れてるとモイちゃんが看破するのも痛快。

センターカラー『あかね噺』80話

 エスパー伊東師匠とあかね。師匠に「ギャル」と言われたあかねが驚く……ことに驚いてしまった。ギャルという自覚なかったのか。一方「チンピラ」は自分でも認める。あかねというキャラクターのギャル性は見た目だけで、物語としては女性ならではの要素すらないレベル、という印象もあったのだが(特に初期)、本作における正解は「チンピラだがギャルではない」だったのですね。目から鱗
 そんな師匠は生粋のスーパースタータイプ。ロックスターというニュアンスの方が近いかも。落語も人気商売なんだから当然こういうタイプもいるよなぁ、となかなか面白いし、新章の導入として惹かれるものがある。

『キルアオ』23話

 中学生にガチ恋されるとか普通に引くレベル、という導入が改めて面白い。イメージ図込みの説明が説得力ありすぎて最高だったな。 “それなりに分別のつく年頃になった上でガチトーンで同じ事言われたら” というフレーズが秀逸。
 からの、というかそれ故の「トン」は笑ったし、天馬がただの優秀なツッコミ役になってるのも最高。天満が真人間になってしまうのは残念でもあるけど、秘密を打ち明ける初めてのガチ生徒となることを考えたらこの扱いにも納得。
 からのカズマ。すっかり仲良しという感じだが、転入はしてくるらしい。なるほど、ノレンの術はそのうち解いてくれる、という扱いか。一過性のネタとしては面白いが、ずっと続くとなるとそれほど面白くないと思ってたのでめちゃくちゃ納得の落とし所。まぁ、「今解けよ」という話で、そこはちょっと都合も感じる。

『夜桜さんちの大作戦』196話

 結婚式スタート。国家権力の人たちとの再会懐かしくて良いね。普通に魅力的なキャラ揃ってるし、もっと物語の中心に関わってくると思ったなぁ。一時は。いつしかスーパーソメイ人みたいな設定が始まって入る余地がなくなってしまった。まぁ、今でもソメイ人関係ない強キャラはいるので、今後も活躍の可能性は残ってるか。あるといいな。
 からの太陽ド変人説。スキャンダルがないのは逆におかしい、というずるすぎるロジックなんですが、それとは別にまったくのまっさらな存在がもう2人いて……と一気に双子の話へと急ターン。パパとの共同ミッションってことになるのか。これは盲点。めちゃくちゃ良い展開かつ普通にワクワクした。

『逃げ上手の若君』127話

 家長すっかり諦めモード。自分の命すら策のために利用するというキャラ表現からの、それを見破り向き合う若、そして「若いんだから爺臭いことはするな」とキレる顕家。最高の三者三様。本作では珍しい若者対決に対して大人キャラが「もっと子供らしくせい」とストレートに言ってのけるの超良い。そこに「爺臭い」という表現を持ってきたのも綺麗事すぎなくて見事だった。それを受けた家長が感情的になるんだけど、その感情表現の際、心の内で “復讐の鬼でも演じてやるか!” と言っちゃうの中二臭くて良い。モノローグなんだから素直になればいいのに、そこでも「演じる」とか言っちゃうのマジで中二だ。くだらないんだけど、この中二性こそがまさに顕家が求めていた姿でもある。

『鵺の陰陽師』20話

 最高ランクの式神は強力すぎて本来なら個人が召喚できるものではない……が道具の進歩によって可能になった。だから現代の陰陽師めっちゃ強いという設定、めちゃくちゃ良いな! 時間の積み重ねで術の練度と知識がレベルアップしていくのとは別ルートとしての進歩。超面白いし、だからこそ鵺さんに予想外の一撃を加えられる話として説得力がある。あるし、鵺さんが現代の科学(ゲーム)に興味津々なこととも関連があるように思えちゃう。かがくの ちからって すげー!
 学郎たちは敵の間合いに入っちゃったので鵺の防御に迷惑をかけないように動かないのが最善。乙骨パイセンが足手まといになるやつだ! と思ったら、最高位の式神は存在するだけで影響を及ぼし、その範囲を視覚化……と領域展開みたいな話になってきた。やっぱ鵺さん、五条みが深い。てか、『呪術』が始まったときは、「こんなにも『HUNTER×HUNTER』を明け透けになぞるとは新世代の感覚だ……」と感動したものだが(あと『BLEACH』)、今度は『呪術』の影響を感じるさらに次の世代が現れた。すごいな。みんなそれぞれ影響を与えたり受けたりしながら歴史が連なっていくんだな。変なところで感動してしまった。しまったが、本作が『呪術』と同レベルのバトル漫画とはさすがに思ってません。同レベルじゃなくても影響は受けていいんだよ、という話。そもそも『呪術』が『HUNTER×HUNTER』と同レベルって言ったら怒る人いるでしょ、どうせ。本話もそうだけど、バトルの話としての面白さは絶品だったが、絵の楽しさが正直物足りなかった。
 ということで、鵺さんの2つ目の術式、もしくは斬魄刀。てっきりゲームネタが続くと思ったんだけど、知らん単語だった。私が知らないだけなのだろうか。

『暗号学園のいろは』42話

 メタバース編突入で全キャラがメガネになりますね。おめでとうございます……と思ってたが仮想空間の中(の描写)ではメガネがなくなるのか。言われてみれば当然のことだが、盲点。
 そう考えてみるとナビゲーターが半分メガネになってるのめっちゃ良いですね。現実と仮想空間の橋渡しとして象徴的だ。下半身がないけど、たまにあるように錯覚しちゃったりして、良いデザインだと思う。
 QRコード。おおっ、これは面白い。めちゃくちゃ面白い。メタバース編の始まりにふさわしい、読者にもメタを感じさせる仕掛け。てか、ギャグ漫画とかでQRコードを使った仕掛けを誰も使ってなかったのが逆に意外なくらいだ。ジャンププラスとはやってそう……だがよく考えたら普通にリンクにすればいいだけか。
 QRコード。やっぱスマホカメラを向けたくなるんだけど、スマホでジャンプ読んでる人は面倒ですね。そんで、実際の答えは、劇中でいろはが「持ってる」ことがヒントになってるように、実際に持てる紙版もしくはスマホ読みの人が有利。スマホの自動回転設定はオフにしてね。逆に言うと、パソコンで読んでた人が無理というか、「ひょっとして文字になってるんじゃない?」と察しがついてもなかなか試しづらい……。ノーパソやモニターを持ち上げるパワープレイか、あとはやはり顔面を回転させたり。楽しい読書体験だ。
 問題自体は面白かったけど、口頭で答えると教室の扉が開く、というのはつまらなかった。文章が指示になって、その行動を取ると次のステージへ、くらいはやってくれよ。鍵の場所でもいい。暗号がただのクイズにしかなってなくて少し残念。

『アスミカケル』15話

 次の相手は冗談みたいな番長。ここらへんになると「こういうキャラで読切1本描きたかったんじゃない?」とか勘ぐってしまうな。
 試合。格闘技経験ゼロのマジでただの番長。本来なら弱いんだろうけど、理屈で戦う二兎にとっては常識が通じない相手でまさかの苦戦。必殺技を得たことで「択を迫る」みたいな戦略が立てられるようになったと思ったけど、常識のない人にはそんな駆け引きがそもそも成立しなかった。これは面白い天敵。
 ただの喧嘩には存在せず、格闘技には存在するもの、それが関節技。ここで勝負アリになってもおかしくないくらいのロジックなんだけど、スーパー番長なので、いくら極めてもギブアップしてくれない。スポーツとしてMMAを始めた二兎にとってはこれまた天敵だ。面白すぎる。苦戦を強いられる素人であると同時に、「本当は暴力の世界好きなんじゃない?」という今の二兎が抱えてるテーマとも直結する話になってて本当に見事。キャラ自体はほとんどギャグなんだけど、話としては一貫性があるし、普通に興味深く、二兎に立ちはだかる強敵としてこんなにふさわしい人はいない。二兎は彼の中に存在する野生とどう向き合うべきなのか。これがやりたくて兄貴はフキダマリに放り込んだんだろうな、と腑に落ちる。
 物語としてはめちゃくちゃ面白い「根性でギブしない」だったけど、スポーツとして、大会の運営として考えると普通に超迷惑な存在なので、ルールとして禁止……はできないから後日罰則なりを設けないといけないんじゃないかと思う。危険な可能性が高い領域に意図的に入るようにしたプレイヤーには「怪我をする」とは別のシステム上のマイナスがないとちょっと問題があると思う。こういうのが美談になるとかだとマジで論外というか、真面目に考え出すと「だからスポーツは嫌いなんだよなぁ」と現実でたまに起こるやつ。まぁ、本作は二兎視点の話なので、そこに決着をつけろ、とかは別に期待しないです。

『一ノ瀬家の大罪』43話

 夢からの脱出ゲーム。夢という自覚、そして仲間と一緒に共有する夢、という意味で奇しくも本作も『暗号学園』と同じようなメタバース感あるな。わざわざメタバースで再現(表現)するのが汚部屋かよ……という話なんですがw
 颯太の家族との不和を「聞く」「聞かされる」に象徴させて語り直したのがめちゃくちゃ良かった。すべての問題をたった一言で説明しきったような気持ちよさ。そう考えると、そもそも颯太はカメラが好きという話を家族(てか親たち)に伝えることすらままならなかったので、壊した側もそれほど悪いと思ってないし、そもそもの認識が狂ってるので壊してしまったんでしょうね。コミュニケーション不全のしわ寄せがカメラという物質に現れてしまった、という感じ。てか、カメラは視覚的な情報を「聞く」アイテムと言えるかもしれませんね。徹底的な受けで行う芸術であり創作。ものすごく象徴的というか、だから颯太はカメラが好きになったと言えるかもしれない。
 んで、妹。出た、「マトリックスの中のステーキおいしいよ」というサイファー理論。ここで出てきた “家族は笑顔じゃないと” というのも基本的には正しいが、すべての事情に当てはまるわけではない。それは先ほどの颯太の回想を見れば明らか。「聞く」に押し込められてた颯太は常に笑顔なんですよね。「話す」ことができずに、それを笑顔で蓋していたわけで。偽りというか、何かを取り繕うための笑顔は、翼が意図していた笑顔とは似て非なるもの。果たしてマトリックスの中のステーキはどっちだ、というのが本話のラストの翼。

『アイスヘッドギル』14話

 未だに扉用意してくれて本当に嬉しい。マジですごいというか、「偉い」にも似た感想を抱いちゃう。
 本編。氷ではなく水属性。それも魚が象徴的に描かれる。まさかの『カグラバチ』との一致が生じてて面白い。かなり変わった設定だとは思うんですけどね。
 乳母とサナ。知の書は失われたかと思いきや、りんごで継承。まさに知恵の実だ。急に旧約聖書。四肢の欠損が治っちゃうのも驚いたけど、それ以上に人間が簡単に継承したことに驚いた。データの容量が多すぎて脳味噌が焼き切れちゃいそうなイメージだけど、腕や脚が生えるくらいだから脳味噌への肉体的な変化も与えられるんだろうな。てか、生えた左腕と左脚だけタトゥーまみれなのめっちゃかっこいいな。当然そこだけ服が破けてるという状況込み、さらには弓矢のポーズなど諸々で異様にかっこいい。
 ギルの、オノを捨てる作戦をきっかけに、聖遺物のコツを掴む。必殺技が決まって勝利なのかな? というところでエンド。必殺技が生まれるまでの過程があって、超常現象の中にも理屈のようなものがあってラスト自体はめちゃくちゃアガるんだけど、これが対決、バトルの決着として見るとややインパクトが弱い。普通に一話の尺間違えたんじゃないかと心配になるくらい攻撃の成立からの敵のリアクションの描写が小さい。現状「大丈夫?」という感じなんだけど、まぁこれは次話の扱いがどうなるかにもよる話だな。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 10月のネタハガキ東西戦。表記がややこしいことになってるけど、10月から11月に文化祭が多いということで、お題は「今年は盛り上がりに欠けそうだなぁ… どんな文化祭のスローガン?」。
 東。ガオさんの「あくまでも教育の一環として」。冷めたテンションをわざわざアピールしてくる感じが中二臭くて可愛い。ただ、実際に文化祭を行う体裁はホントにこれでしょうね。別に間違ってはいないんだけど……というところが面白い。すっかり忘れてた基礎。
 さばねこさんの「形だけでもやっとかないと上がうるさいから一応やろうよ」。上記のネタと似たようなテンションが2連発で「この学校何なんだよ!」って感じになってて余計笑った。中学だか高校の分際で「上が」とか言っちゃうのがいい感じにウザいですね。
 たてぶえサックスさんの「空気を読んで、人が少ない店も行こう!」。個人的には優勝。おそらく今回の中で唯一、「やる」側じゃなくて「行く」側のスローガンになってる。たしかに、やると同時に客もやるのが文化祭の特徴なので、これはまったくもって正しいw
 西。照りさんの「みんなが主役! ※但し一部例外を除く」。この手の「一部例外」ネタって定番だけど、文化祭だと説得力がやばいな。マジで真理だと思う。クラスの全員が漏れなく主役になれる文化祭なんてフィクションの中だけですよ。絶対無理だもの。欺瞞に逃げない注意文好き。
 だもんさんの「進路テスト一瞬忘れよう」。「忘れよう」と言ってるけど、これを掲げられたら絶対に強く意識しちゃう、という裏の意図を感じてしまう……。

次号予告

 最新号に追いついてない間はここの感想書いても意味ないと思って省略してたので今週から。私が借金地獄に陥ってる間に始まった、月曜が休日の週はその前の土曜じゃなくて翌日の火曜が発売日になる、という新しい慣例。そして、なぜか電子版は月曜のままだとか。紙の誌面だと書いてないんだけど、次号もそうなのだろうか。
 この休日でも電子版だけ月曜の件(次号もそうなると仮定した段落)。おそらくSNSなどの盛り上がりを維持するため、という事情が大きいと思うんですが、そういうことを考えると「紙派への無視っぷりエグいな……」とちょっとすねちゃう。わざわざ分断せんでもいいのに。まぁ、紙だけ土曜で、電子は月曜ってなると2日も差が出ちゃうからそれはさすがに無理があるとは思うんだけど、何とかうまい落としどころはなかったのかね。

目次

配信でエブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスを観ました! <裕樹>
(『あかね噺』)

 映画のタイトル書いただけで枠の半分が埋まってて面白い。とにかく文字を埋めることに専念した小学生の作文みたいだ。

コンビニで特茶を買ってみました。そんなに苦くなく健康になれそうな雰囲気も
(『鵺の陰陽師』)

 ダイエットを意識しだしてもコンビニグルメの話題が継続しててすごい。最近の若手作家の中で、目次コメントの面白さという意味では蜂矢先生が頭一つ抜けてる印象あったけど、ここまでコンセプトを一貫されると週を重ねるごとにじわじわと面白さが増していく。

愛読者アンケート

 金未来杯、支持。質問はその読切についてと、動画の視聴速度、及びながら見。おおっ、いろんなところでよく話題になるやつだ。視聴速度としては「ない」。ながら見は「ある」。見ながら『ドラクエ10』とかやる。が、実際は動画が主体でゲームがおまけってパターンがほとんどですね(ゲームの中の単純作業をついでにやる)。
 あと、この話題、反射的に「まったく最近の若者はよぉ」と老害ムーブかましたくなる魔力がある(からいろんなところで重宝されるんだろうな)んですが、よく考えたら録音したラジオを2倍速で聴くのを毎日繰り返してるので人のこと言えないんでした。マジで見聞きしたいコンテンツが多すぎるんだよね……。録音したラジオというおもくそ前時代的なことやってるんだけど、よく考えたら倍速視聴の直系の先祖だったわ。たまに1倍速で聴くと「おっそw」ってなるから面白いです。まぁ1分もしないで慣れますが。

総括

 更新が金曜になってしまった。激遅だが、次号が火曜発売なのと、今週はブログ的に特別忙しいのでまぁしょうがないです。むしろめちゃくちゃ書いた方です。なので、次号はまぁ発売から3日目(つまり木)あたりを目指すという感じになるかな。実現できるかは正直半々ですが、1日予定が遅れても今週よりは早いのでまぁいいでしょ。リハビリ期間。

 借金期間は省略してた締めのコーナー。今週のベストコマ。読切における一発目の見開きの最下段。「うわ こっちきた!」という驚きがあって最高でした。

 復活コーナーその2。今週のベストキャラ。これまた読切の羽丸。てか、このコーナー群の順番をすっかり忘れてしまった。キャラが最後だったっけ?

 今週のベスト作品。「今号」じゃなくて「今週」という表現が使えることに感動してます。まぁ、ベストは読切でいいと思います。面白かったし、話の内容がとてもタイプ。
 次点。『鵺』と『一ノ瀬家』かな。あーあと『アオのハコ』も入れたいな。
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