北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2024年01号の感想

 もう『ブラクロ』の連載が再開するのか。すごく早い印象。まぁ、年末という事実を受け入れられてないだけなんですが。

背表紙

 「ジャンプキャラクタースマイルコレクション」。新コーナー。ではあるものの「ジャンプキャラクター○○」というのが去年度と同じで、正直手抜きを感じる。笑顔のコマを引っ張ってくるだけだしな。
 笑わないキャラに人権はない、みたいなコーナーの趣旨も少し疑問だが、まぁさすがにジャンプ漫画(少年漫画)だとどれも笑ってる顔くらいあるんだろうな。今後「これ笑ってるか?」みたいなキャラが出てきたら良いなぁ。

表紙

 新連載。久保帯人バイブスを感じる。本編だとそこまででもないんだけど、この表紙イラストは特に。今後のカラーイラストにも期待だ。

読者プレゼント

 鶴の恩返し。謎すぎるテーマだ。関連したグッズがあるわけでもないし。ただ、鶴の恩返しダジャレはバリエーション豊かで好き。なぜこんな回が面白くなってしまうのか……。個人的には「ハン羽(ハンパネェ)」が好きです。文字数は少ないけど、予想外の角度から来たので笑った。

巻頭カラー『累々戦記』雨宮ケント

 新連載。一度読切を載せてた方で、当時の私の感想だと「今時びっくりするくらい王道」みたいな感じ(主に否定的な意味で)。今回もすごい王道で「驚きのない設定を新しい名前で説明してくるじゃん……」ってなったんだけど、普通に面白かった。
 特に今回、初回の語り手として真面目メガネくんが出てきたのがとても良かった。見事なまでのメガネキャラムーブをかますんですが、徐々に血の通ったキャラクターになっていく変遷が熱い。主人公とのバディ感も魅力的だった。膝枕とか笑ったんだけど、「いい香り」の正体がカレー味だったとか最高でしょ。色っぽさのかけらもねぇw
 そんなメガネくんが良かったのと表裏一体だけど、戦う方の主人公の中二全開ぶりが凄まじい。「2023年も終わろうとしてるこの時期にこんなキャラが!?」という印象もあるんだけど、彼視点ではなく、彼に対してツッコミを入れる視点で物語が進行するので、その中二全開が緩和されるというか、むしろちょうどいい気もしてくる。制作のどの段階でメガネくんの登場、出世が確定したのかは分からないけど、少なくとも初回の段階ではマジで大成功だったと思います。さっき驚きのない設定だけど面白いのが『鵺』っぽいって書いたけど、『鵺』の初回でどう考えてもMVPだった膳野くんが正式に主人公として起用されたマルチバースって趣もありますね。ジャンプ読者の9割(決めつけ)が『鵺』初回を読んで「コイツ脇に置いとくなんて嘘だろ!!」って感想を抱いたと思うんですが、その価値観を踏まえた新連載がついに始まってしまった。
 『鵺』はイビツが何か癖になる、というのが大きなフックになったと思うけど、そういう意味では本作はかなりお行儀がいいというか、そつなく面白いタイプ。キャラクターの魅力、バディの魅力を打ち出してくるのもある意味王道のアプローチだと思いますし。
 あと、メガネくん視点の語りで面白かったのが、バトルシーン。初回の見せ場なんだけど、それが最後まで「ワケの分からないもの」に収まる。すごい意外で面白かったっちゃ面白かったけど、若干「消化不良だけどいいのか?」的な気持ちにもなる。まぁ、けど、あの説明を始めるとまた中二がすごいことになるので、今週はこのくらいのよく分からないけど何となくかっこいい感じに収めて良かったのかもしれない。
 終わり。面白かったし、『鵺』との類似と違いが極端に出ててそういう面白さもあった。『鵺』ほど女性キャラで引きつけようとはしてこないけど、先生がめちゃくちゃ可愛かったと思います。正直『鵺』の女性キャラ全員引っ張ってきても勝てるレベル。ただ、今後の出番はなさそう。

『夜桜さんちの大作戦』205話

 母との面接ごっこ。面接が始まった途端、3人中2人がメガネになるので最高だぜ。六美の方はごっこ感あるのでコスプレとして理解できるんだけど、あるふぁは「正装」としてメガネを選んでるのが意味不明で好き。
 正解のない質問。「どちらを選びますか?」という究極の選択なんだけど、ジャンプ読者の多くがここで反射的に「答えは沈黙」って思いつくと思うんだけど、六美の用意した答え「何でもいいので選択すること」が真逆なので笑った。クラピカさん失格です。

ONE PIECE』1100話

 ついにくまが七武海になる。条件が多すぎてちょっと笑った。そのくらいの無茶を押し通してくる人たちってのは理解できるけど、この無茶ですべての辻褄を合わせてきてるので、過去編としての面白さ、気持ちよさとしては結構マイナスだと思う。あと、急に難病モノみたいな方向の感動が多くなってきて、個人的な興味は少なくなっていく。
 一方、当時の七武海が出てきたり、最後に当時のルフィと連結していくのにはワクワクした。ただ、七武海の合間にアルビダ(コビー)が差し込まれたのはめちゃくちゃ不自然でしたね。ルフィの旅の始まりって意味の人選なんだろうけど。ちょっと「実写版の影響でコビー出したくなっちゃった」みたいな妄想もしてしまう。

センターカラー『グリーングリーングリーンズ』2話

 今週も普通の高校生がゴルフを始めるようになる、というのが丁寧に描かれてて良かった。本気になるのが恥ずかしいって心理がリアル。見てて「グローブしろよ!」とか思ったけど、たぶんグローブをしたら本気ってことになるから出来なかったのでしょうね。
 友達を連れてゴルフやりに行くくだりも良い。野球経験者にスタートダッシュされて敗北感、からの再び火がつくという流れが自然。無理のない展開が続くけど、じわじわと沼に落ちていく過程って感じ。
 そんな弱ったところにつけ込んでくる受付のお姉さん(実はプロ)。人を沼に連れ込むのがうまいので笑った。大人のしての周到さを感じる。ただ、ここも「若い子なんて珍しい~!」という前段があるから、世話を焼きたがる先輩というムーブはそれほど不自然でもないんだよね。リアルだと教えたがりのオジサンが近づいてくることが多いと思うが(偏見)。
 そんな打ち込むところを見られて恥ずかしい、と集中が切れて散々な終わり方をするのもリアル。ものすごく低レベルながらゾーンに入ってたと言えそうですね。次の壁はやはりこの自意識か。
 そんな弱みにつけ込むのがうまい大人が再び絡んできて悪魔の囁き。まんまと沼落ち確定でニッコニコ、という感じで微笑ましいラストだった。主人公の秘めたる才能で引っ張るよりも、周囲の人のサポートによって導かれていく、というのがリアルだし、誠実さも感じられて好き。

『SAKAMOTO DAYS』146話

 兄貴参戦だが、透明マントがあるので戦おうとはせずにトンズラ。よく考えたらそりゃそうか。戦うメリットはない。目的の第一は真冬の生存(爆弾の除去)なわけで。
 親からの呪縛から逃れられない弟に対する「もう親なんて怖くないだろ」と返す兄貴が良かった。ものすごく説得力があるというか、正論すぎるんだけど、それでも呪縛が成立してしまうケースにはリアリティも感じる。感じるからこそ兄貴の言葉が頼もしいし、彼は彼なりに葛藤を抱えて成長してきたんだろうなと察せられる。

僕のヒーローアカデミア』408話

 もうそろそろ過去はいいかな……とか思ったんだけど、着実に現在に近づいてきてる気配があるので助かる。時代が一気に進むダイジェストとして歴代OFAとの戦いが描かれるのとかちょっと良すぎる。よく映画とかだとカレンダーをめくって時代の進行を表現したりするけど(ベタすぎて珍しいけど)、本作だとそれをOFAの各人で表現できる。
 「全因解放」という言葉遊びも面白かった。全因であり全員だ。そして、また負荷の大きそうな描写を……と心配にもなる。

センターカラー『あかね噺』90話

 あかねの狸落語。当たり前だがマジで狸でやってるので笑った。可愛い……。首もととかモフモフがどこまで続いてるか分からなくなる感じが最高なんだよな。正座した際のシルエットも可愛い。
 軽薄な発想に思えたけど、動物系の演目が実はあかねの資質に合っていた、というのを真面目に解説してくるのも面白い。納得させられる気持ちよさもあるんだけど、同時に「なんであんなアプローチで正解にたどり着いたんだ……」と改めて不思議な気持ちにもなるw
 からの父親。出てくる度に「そういや死んでないんだった」ってなる。死んだ風の物語なんだよな、どう見ても。
 同僚のオッチャンと何やら専門的な話をしてたけど、あれは一体何の話、何の仕事をしてるということなのだろうか。調べてみたらどうやらコンクリート関係らしい。一番謎だった「BB」はセメントの種類を示す何からしい。ほとんど呪文ですな。

『アオのハコ』128話

 兵藤兄妹。兄に対してもドジっ娘(死)全開で、それを無表情&無言で受ける兄。めっちゃ良いなこの兄妹。かと思ったら食事のルーティンもしくはモーションが一致してたりして。良すぎるだろ。妹の登場だけでこんなにも兄貴が可愛くなるんだからすげぇ。
 バドにおける大喜のスタイル、及び強み。足が強いってのは朝の自主連、走り込みの効果ってことなんでしょうね。間接的に千夏パイセンが関係してくる。
 本格的にバド方面の掘り下げがされてて面白かったんですが、最後に不倫疑惑が出て終わるので笑った。突拍子もなくて驚くんだけど、大喜みたいな真面目好青年みたいなタイプが年上人妻に弄ばれてるの、結構良いかもしれない……。心がときめくというか、イメージしたら妙にしっくり来る。

『呪術廻戦』244話

 対スクナの作戦会議。日車の裁判が現状考えられる数少ない有効(そうな)策なので、そこを詰める。高専を中心にしたメンバーかと思ったら急に知らない成人男性に託すことになるの面白すぎる。しかも術師としての経験も最小。
 リアル裁判の知識と、日車の術式ならではの特殊ルールのハイブリッド。スクナなんて大罪人死刑で決まりだろ、と思ってしまうんですが、そううまくも行かないらしい。罪がありすぎるので、どの罪を審判するかはガチャなので困った。正直このくだりはちょっと無理があったというか、都合も感じるんだけど、最終的に一番話についていけなさそうな虎杖が決め手を思いつく。ここが良い。しかも、虎杖がスクナの元宿主だから可能な一手、というところに感動すらした。よく考えてみたら「虎杖がスクナの指を喰う」って本作の超基本的な、土台とも言える設定だもんね。ある種、主人公としてのアイデンティティを失った今、再び宿主でしか出来ない行動に出る。熱すぎる。
 『空想科学読本』の法律版みたいな話なので、どこまで取り扱って、どこまでマジに掘り下げればいいのか分からないんだけど、そこでミルクボーイ的問答を持ってきたのも笑う。笑うんだけど、意味のない問答に思えても、「日車がこういうことを考えるんだから彼の術式もそういう思考で運用されるかもしれない」という屁理屈的な説得力が生じるのも良い。千年前の罪のくだりとかマジで最高だった。時効なのか国外逃亡の類推なのか。
 ということで、扱われる罪状を唯一指定できる抜け穴が再審。虎杖の渋谷での大量殺人を再審し、虎杖の無実を証明するための証人(というか真犯人)としてスクナを巻き込む。屁理屈楽しい~!!! 屁理屈的アプローチなんだけど、虎杖の罪について改めて向き合う話になってて、やはり対スクナの物語を進めるにあたってこのテーマは不可避というか、このテーマ以外は無意味に思えてくるレベル。正直五条先生のバトルはエキシビジョンで物語的にはそれほど意味はなかったというか。
 そして、やっぱりすごいのがこの虎杖の罪というのがついこないだアニメ版で放送されたものなんですよね。ここでアニメとシンクロさせてくるか。やっぱ面白すぎる。五条先生のバトルが延々と長かったのはその時間調整の意味もあったのではないかと勘ぐってしまうレベル。
 まさかこういう角度で傑作回が飛び出るとは思わなかったのでマジでびっくりしました。虎杖くん、パチ打ってくれてありがとう……。
 ただ、よく考えると、あの再審はあくまでも虎杖の裁判なのでいくら真犯人がスクナだと証明しても出る判決は「無罪」だよね。だとすると「虎杖=スクナ」だと認めさせた上で「有罪」をわざともらって神殺しソードで罪の対象者であるスクナを斬る、みたいな感じだろうか。スクナが暴走するかもしれない状態で渋谷に来るのが悪い、という飲酒と同じ理屈で有罪が出るのもあり得そう。

センターカラー『ウィッチウォッチ』135話

 冒頭の5歳児あるある。篠原先生の実体験なんだろうな……という説得力があって好き。いや、子供いるのか知らんのだけど。リサーチと想像でやってるんだったらすごい。てか、こういう方向のネタが続くんだとしたら、ニコの子供編、めっちゃ好みかもしれん……。
 と思ったら急に使い魔の話。今更急に基本的な設定の説明を始めたのでビビる。まぁたしかに本作、設定が凝ってて面白かったよな……と遠い記憶を引っ張り出す。
 使い魔オーディション。目玉はドラゴンなのだが、デザインが今までの篠原作品で見たことないタイプで興味深い……と思ったら突然成人女性になるので頭がついていかないw というか、この話をこんな形で引っ張るとは思わなかった。絶対使い捨てのキャラだと思うんだけど、レギュラー化する可能性とかあるの? 使い魔だったら超身近な存在として頻出することになりそうだけど。どうなるのかまったく分からないw

『キルアオ』32話

 古臭い刑事ドラマネタやりたいけど、本作がそもそもオジサンと中学生のジェネレーションギャップを扱ってるので中学生キャラにさせるのは難しい……ということで “親とネトフリで観た昔の刑事ドラマ…” という強引すぎる理屈。超好き。
 ということで、恋バナ。十三の方は、ただの中学生を相手にするだけじゃないから余計にややこしいし、難しい。そこでの妙案が、熟女好き。豪腕すぎて笑ったんだけど、よく考えると「意外とうまい言い訳なのでは……?」という気もしてくる。ただ、超中学生級の胸を押しつけられてもハスハスしないレベルの熟女好きとなると相当重症ですね……。
 女子部屋。ノレンが十三に好意を抱くのは彼からだけ性的な視線を1ミリも感じないから。親戚の叔父さん理論は笑ったんだけど、この理屈で言うと、将来不倫とかに走りそうで怖いな。これで十三にあたる男性がノレンの猛アタックに折れるようなことでもあったら晴れて不倫カップル成立だ。恐ろしい。
 んで、ノレン、もう一人の乙姫と遭遇。奇しくも恋バナ。もう一人の方も十三のことが好きで、それはハスハス必至の裏人格に向けられた視線を日頃感じてたのに十三にはそれがないから。この奇しくもノレンと同じ境遇で、ノレンよりも一歩先に行ってるキャラの配置めっちゃ良い。ものすごくスマートだし、ノレンが自覚し、成長していく(であろう)ドラマとして感動的。てか、事故的とはいえ、無害枯れオジサンが中学生から爆モテしてるの面白すぎるな。面白いんだけど、この現象はちょっとリアルでも発生するのかもな……という説得力を感じる。もちろん子供になる前提があり得ないんだけど。

『アンデッドアンラック』186話

 風子のラーメン。冷めててまずい。私も少し猫舌ですけど、冷めてるラーメンは普通にイヤだな……。まぁ、劇中の冷め具合は分からないけど、客が一口食べて「なにこれ」ってなるレベルで冷めてるのは普通に問題あると思う。もう少しちょうどいい冷め具合があると思う。
 んで、不燃の発現。それでもラーメンを作るためにはIHが必要、という現実的すぎる代替案には笑った。そりゃそうだなw ラーメン作りの細かい行程は分からないけど、IHで全部可能なのか、物語とは別に気になってくる。炙りチャーシューとかは絶対に無理だけど、まぁそのくらいだったらアシスタントにやらせればいいのか。
 病院に行ってのラーメン。詳細が分からないんだけど、今まで提供してたラーメンとはまったくの別物ってことだよね。さすがに。そんな即興でレシピが思いつくのかも気になるけど、介護職用のラーメンというのも結構気になる。専門家だったらいろいろ現実的に考えられて楽しそうだ。スープにオマケ的に麺がついてるみたいな考え方をすると、案外普通にあり得るのかも。
 ということで、太陽に行ってアンディを救出。そもそも太陽って燃焼ではないし、固体でもないので座る場所ないと思う……んだけど、そこまでマジに考え出すと私もさっぱり分からなくなってしまうな。
 核融合を否定できるかどうかを試すため、地球で核爆発起こしてみましょう! とか今の風子なら言い出しそうで怖い。

『鵺の陰陽師』29話

 学郎と妹の修行(的なもの)。『エヴァ』的な連想をしたが、かなり直球で「セックスしないと出れない部屋」だった。もちろん本作ではセックスしなくていい。
 あまりに乱暴だけど、どう見ても仲良い……というのを部屋を覗くキャラの視点で描かれるの面白いな。正直、普通の新キャラでああいうやりすぎな味付けのツンデレ妹が出てきたらシンプルに「引くわぁ……」ってなるんだけど、ちゃんとそこに既存の女性キャラからツッコミが入ることで緩和される。極端さを一度客観視することで何かアリに思えてくるから不思議だ。うまいと思う。

『僕とロボコ』164話

 流行語大賞。年代設定のないギャグ漫画だと扱いやすそうなテーマだと思うけど、『ロボコ』がやるとこれ以上ふさわしい作品はないな、って気分になる。しかもアニメ化された年だし。ロボコがああなってしまうのも納得というか。
 流行語のノミネートに全乗っかりするのかと思いきや、「なにそれ?」的な言及をするのも良い。バランスが良いというか、適度にユーキャンに失礼な感じがリアルで好き。知らねぇのが入ってるのが当たり前になりすぎてもうツッコむ気力すら失せてしまった。結局今年何が大賞になったのかも確認する気にもならない。ただ、しばらく経ってから思い返す際の目安としては重宝するし、その面ではまだまだ価値があると思う。てか、辞書とかと同じでそれが真価なんだろうね。

『カグラバチ』12話

 作戦開始。敵の本丸は強すぎるので護衛を付けない。なので独りで銭湯にも行く。逆に言うと、ボスが独りで銭湯行ってる間はアジトには普通の護衛しかいないので、チヒロが無双できる。主人公がボスキャラとぶつからない、という作戦の意外性が面白さに繋がってたと思う。
 銭湯。ボスの強さを引き立てるための噛ませドッグ。 “……こっちのセリフだ” と言ってるコマ、顔(と手と白シャツ)に床のタイルが透けてるので、一瞬「透明化の妖刀持ちか!?」とか思えて楽しい。シンプルにミスだ。
 そんな噛ませドッグを殺す場面はわざわざ描写するまでもない。本作らしい省略がかっこいい。……と思ったら終盤でカチコミをかけるチヒロが似たような省略演出してたのでワクワクした。強者のバトルは瞬殺すぎるのでなかなか見れない。
 味方の精鋭部隊と敵ボスのエンカウントもかっこよかった。当たり前の感想になるけど、かっこよくあるべき場面がちゃんとかっこいいから本作は面白い。今週は直接のバトルは一切描かれないけど、バトル漫画的な楽しさは十二分に詰まってたと思う。

『逃げ上手の若君』136話

 顕家の過去。顕家が子供だった頃、とまとめたのがうまい。「たった5年しか過去じゃないじゃん」とか少し思ったけど、当時のタイムスケールがピンと来てないってことなんだと思う。15は子供の終わり、みたいなニュアンスもあったのかもしれん。
 公家と東夷のカルチャーギャップは定番ながら面白い。少しずつ中間を探る、探り合うというところにコミュニケーションの美しさを感じる。感じるのだが、先週の略奪に対して「じゃあ仕方ないよね」とはならないよなぁ、やっぱ。無理だよ。年貢で苦労してるって話で同情を誘ってたのに、同じ人が略奪したら意味ないじゃん。歴史モノとしての限界を感じる。
 相手への理解を示すために飲食物を同じにする、というのも誠意が感じられて良かったんだけど、そこで出てきたゲテモノが “米に唾を混ぜて造った地酒です” なので笑った。たしかにイヤだ。そういう方向性のゲテモノとは。てか、これ『君の名は』でお馴染みの口噛み酒ですね。あの映画では神聖なものとして扱われてたのに、えらい違いだ。地域も全然違うし、面白いですね。

『暗号学園のいろは』51話

 暗号と関係ない罠で死にそうになってたけど、暗号ゲームとしてはかなりのクソゲーじゃないか? 運動能力など暗号とは関係ないスキルを必要とされてる。
 2文字忍者。「この人は2文字しか喋りませんよー」というのを漫画的に、非常に端的に示す序盤が良かった。劇中では一度も「2文字しか喋らない」という話がない。のに分かる。
 ただ、それ以降は正直2文字話法にそれほど魅力を感じなかった。解説がそれほど入らないバランスは彼女のセリフすべてが暗号(てかクイズ)になってて面白いと思うけど、クイズとして考えるにはちょっと不条理すぎる気がして、答えを知った際の「なるほどねー!」という気持ちよさが皆無。
 畳パズル。姫「だけ」を救うものだと先入観に囚われてたが、下忍から先に脱出させれば全員仲良く脱出できる、という説教臭いメッセージが好き。ただ、そういう反則がアリなら「畳を持ち上げて運ぶ」とかが可能になっちゃうので、スライドしかできないような設計上の工夫は必要だったと思う。

『ツーオンアイス』11話

 たっくん! たっくん大好き! となるような一話であった。ちょっと良すぎるな……。本作で好きな回を選べと言われたら「うーん 悩むなぁ~」とたっくんの回2つを挙げてしまうと思う。
 フィギュアスケートはスポーツでありながら芸術性も問われる競技で、かなり露骨にルッキズム的な側面を内包する、というフィギュアの地獄要素が生み出した怪物。そんな入り口からして最高。美しすぎると筋力が足りなくなる女子、ペア男子はマッチョを求められるがマッチョは美しくない。ならば最高の存在は男子シングル……と美しさを持つ男子選手が現れるが、美貌故の地獄が待っていた、という話が救いがなさすぎるのよ。フィギュアという競技の特殊性が説明されて面白いと感じると同時に、「欠陥まみれのスポーツなのでは……」とか少し絶望もしてしまう。そこが好きだぜ。トータルで言えばフィギュアのことも好きになってます。
 たっくん、達也とかそういう名前かと思ったら空天雪(ソラタカユキ)であった。フィギュアのジャンプをするために生まれたような名前。ジュニア時代は「たっくん」だったが、徐々に日本中を席巻するようになり「ユキ様」、比較的身近な人(ロラン)からは「タカ」。「くん」とか「様」という敬称が孕む暴力性ってちょっとあるよな。「神の子」もそうだけど、一人の人間として扱う気のない距離をとった呼び方。ある種、対象をコンテンツ化するかのようなニュアンスが生じてる。隼馬が綺更に対して「あの子」をやめたのが象徴的だけど、綺更も「たっくん」に囚われてるうちは地獄からは抜け出せないのかもしれない。
 圧倒的な王子様「キャラ」として人気を出てる男子シングル最高の選手という意味で、どう考えても羽生結弦がモデルの一つになってるのは明らかだろうけど、ここまでの悪役にしたらロランに宇野昌磨の持ち曲を当てるみたいな直接的な結び付けはしない気がするな。ただ、現実における羽生結弦が明らかに過剰報道にさらされてることが、奇しくも「たっくん=羽生結弦」の意味は強くしちゃってると思う。もちろん最近の出来事すぎるので偶然だが。
 あと、年齢の問題で五輪代表になれなかったと1コマだけ示されてたけど、これは浅田真央ですね。おそらく日本フィギュアにおける歴代最高の男子シングル、女子シングルの選手を当てはめる、という意図なんだと思う。もちろん、大人の知らないルールのせいで自分が正当に評価されない、というのはたっくんの抱える地獄エピソードとしてこの上なく適切。
 たっくんフィーバー。ファンサも丁寧だが、時折ゴミを見るような目をすることもあって、それがファンにとってはたまらないらしい。ゴミを見る目、たぶん本心なんだろうなw そしてその本心すら歪んで受け取られる地獄。
 主に女性ファンと女性ファンを相手にするマスコミによってオモチャにされた結果、女性に対して拗れまくってしまったドS王子。あ、ありそう~w 現実でもめっちゃありそうで怖い。そんなこんなで天才のミソジニストが晴れて誕生。無数に存在する女性の中でも特に嫌悪するのが……と大昔に交流のあった少女に執着してるのがイカレすぎてて怖いw まぁ、ここには少し飛躍があるので、今後もう少し説明されるんだろうな。それはさておき、シングルをやめる予定がないならどうやってペアの選手をぶちのめすのだろうか。シングルを続けたままペアも兼業するとか?(何か違う気がする)
 んで、メガネでインタビューを受けるたっくんでエンド。プライベートでメガネありがてぇぜ!! といつもの調子で感想を書いてしまうが、劇中世界のこういう視点が怪物を育ててしまったんだろうなw
 魅力的な悪役が出てきておらワクワクすっぞ! な回だったんですが、彼は彼で被害者の側面がある……けどそれはそうと少女に執着すんのキモすぎるだろう、というバランスが絶妙であった。大嫌いであるが故に大好きなキャラだ。
 地獄みが強すぎて最高だったわけですが、清涼剤のように登場するジュニアの吉村くんも最高でした(ぺかー)。無垢さが可愛いのですが、その無垢さは年齢によるものではない、と示してくれたロランも好き(ぴかー)。隼馬の「ぺかー」性と綺更の闇のギャップがすごかったように、吉村くんとたっくんのギャップもすごいな。たっくんの地獄精度めちゃくちゃ高いのに、同じ口で「ぺかー」とか抜かしてくる。

『魔々勇々』13話

 コルレオ参戦。十分面白いのだが、先週のミネルヴァの戦闘に比べるとやはりエモの強調やセリフが多いですね。純粋なバトルの快楽としてはやっぱ主人公じゃない回の方が輝くのかもしれない。とはいえ、今週のは今週ので面白かったです。3つ目の紋章が使えたとしてもやはり実力では大きく劣るので、そこは気力でカバーする、という戦略がコルレオのドラマと不可分で、それでいて「死にはしないけど超痛い」という理屈も整えられててとても良い。
 ラルフの地獄も良かった。大人の政治に巻き込まれた悲劇なんだけど、それを「勇者と魔王という世界のシステムが生んだ悲劇」という風に描いたのが良い。そんな彼が魔々勇々世界に来たらそりゃ魔王殺しに躍起になる。そして、魔王とも仲良くするコルレオの言い分に敗北するのもよく分かる。バトルはコミュニケーションであり、主張のぶつけ合いという定番の方法論がキレイに適用されてましたね。

『アスミカケル』24話

 ジジイ、ケアセンターでモテまくる。1コマ目でもう爆笑してしまったんですが、あの年齢であの運動能力を有してたらそりゃケアセンターではモテるのかもしれないな。小学生時代は足の速い子がモテがちですが、ジーサンになるとその現象が再び起きるのかもしれないw ちょっと現実におけるジジババコミュニティにおける恋愛事情、モテ事情とか気になってくる。
 そんなケアセンターで出会った次の、というかプロデビュー戦の対戦相手。格闘技やりつつ介護職もやるという二兎の人生プランにおける理想であり、モデルケース。目指すべき未来の自分とデビュー戦で戦うというのが象徴的で良い。
 が、その一方で、一狼に負けて王座陥落、その別の階級に逃げて細々と格闘家を続け、決して華やかではない生活を送っている(介護職はシンプルに金が必要だからでしょう)のは二兎にとっては最悪の未来とも言える。この2つの未来を象徴する二兎の鏡像みたいなキャラクター設計めっちゃ良い。シュレディンガーの猫じゃないけど、今の段階では2つの未来が同時に存在している。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 緊急企画。アニメ『スパイファミリー』のエンディングでVaundyにfeat.されてるコリー・ウォンって一体誰なんだ特集。アニメ『スパイファミリー』、映画『ドラえもん』の主題歌と同じ人選をしがちですよね……(星野源、髭ダン、BUMP、そしてVaundy)。その法則で考えると再来年の『ドラえもん』主題歌はAdoということになる。違う気がするなぁw
 ということで、爆イケギタリストの特集。その情熱を持ってヒップホップ特集とかしてくれないだろうか……とかよく考えるんだけど、村越編集の趣味が大きいんだろうな(イーピャオもだろうけど)。三ツ森あたりが週ちゃんの担当になったらヒップホップ特集が増えるかもしれない……とか妄想もしたが、普通に今の週ちゃんに大満足なので何も変わってほしくないです。ここまで関係のない話を展開したのは話題の曲を聴いてないし、ギター詳しくもないので正直あんまり……という感じ。ただ、「そもそもカッティングとは」みたいな話から始めてくれたので助かる。話自体は面白かったので今後機会があったら聴いてみると思います……(今を機会を捉えないのでお察し)。

次号予告

 『ONE PIECE』が表紙巻頭。そして、『魔々勇々』がセンターカラー。3度目はある程度人気の反映と見て間違いないと思う。これで翌週『カグラバチ』、翌翌週『ツーオンアイス』だったら笑うけどな。3度目も順繰りにくれるんかい。とはいえ、この期の作品正直3作とも大好きなのでマジで大成してほしい。今のジャンプで毎週楽しみにしてる作品で順番つけたら上から7位くらいに全部入ると思う。ちなみに1位は『ツーオンアイス』です。たっくん好き……。

目次

 年度が変わって目次ページもリニューアル。全体的なデザインはそれほど大きく変わってない印象だけど、新コーナーが。「JUMPマニアッククイズ」。『ONE PIECE』1099話でボニーが着てる服にプリントされてる文字。要するに前号の中から細かいクイズを出してくるという趣旨だと思う。正解は次号載せるらしいが、普通に前号を調べれば分かるだろ。逆に言えば、ここでは前号を引っ張り出さずに答えるのがルールということになりそう。無理です。『ONE PIECE』だからNIKUとか書いてありそう……と思って調べたら遠からずな内容で笑いました。
 ブログというあまりに身勝手な都合なんですが、調べりゃ絶対に分かる問題じゃない方がいいなぁ。
 それはそうと、次号のクイズはおそらく『ヒロアカ』から出題される可能性が比較的高いので、本コーナーのガチ勢になりたい人は今週中に熟読しておくといいと思います。

漫才は趣味で書き溜めていた真空ジェシカ型のネタを調整して流用しました
(『呪術廻戦』)

 なるほど、お笑い好きの人だったら前回の漫才を見て「これは真空ジェシカ型!」となれた可能性があるのか。『あかね』の掘り起こしと同じで通のみがたどり着ける感想で楽しそう。快楽天の連載コラムでしか真空ジェシカのこと知らんので到底無理……。

愛読者アンケート

 新連載についてと、漫画について。単行本、雑誌、学習漫画を1月にどれくらい読むか。それぞれ0、10、0くらいだと思う。それと、漫画の感想を話せる人がいるか。いる。このブログを読んでるお前だー!!(雑な怪談のオチ) まぁ、普通に考えてブログはノーカンだろうから、いないです。

総括

 終わり。時間がもうちょっと欲しい……。『ドラクエウォーク』が正気を失ったのかと疑ってしまうほどに新しい要素をぶっ込んできてマジで忙しい。散歩奴隷になりつつある。

 今週のベスト作品。めちゃくちゃ悩むんだけど、『呪術』。
 次点というかほぼ同率は『ツーオンアイス』。その下くらいに新連載。

 ベストコマ。『アオのハコ』よりカゴを被る兵藤兄。新キャラの登場によって既存キャラの魅力が爆発する瞬間好き……。

 最後に今週のベストキャラ。『ツーオンアイス』より空天雪。今週の『呪術』が個人的には神回だったんですが、そうじゃなかったら『ツーオンアイス』三冠にしてたと思う。
gohomeclub.hatenablog.com