北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2024年17号の感想

 プラスでの『デビザコ』連載が完結しました。2人の関係を疑似的な結婚に見立てて……という最終回が見事だったというか、『キルコ』のときと同じやり方で余計な感動をしてしまった。『キルコ』の本誌連載が終わったとき、単行本の描き下ろし(これまた最終回っぽい内容)を読んだとき、そして続編の『帰ってきた~』の最終回を読んだときの記憶がフラッシュバックして非常に良い。エモ。てか、最終回が多すぎるんだよな、『キルコ』。

表紙

 『ONE PIECE』。『三銃士』モチーフですかね。まぁ、実際の『三銃士』はメインが4人いるんですが。ややこしい。あのバイク乗ってる奴が『AKIRA』じゃないとか、神木くんが『桐島』じゃないみたいな現象の古典。

読者プレゼント

 卑弥呼。ダジャレ的な意味ではかなり弱い。衣装とか頑張ってると見るべき回だろうか。卑弥呼っぽい衣装って特に根拠もないのにある程度「あんな感じ」とぼんやりと共通認識があって面白いですね。そういう衣装を用意するのは意外と大変なのかもしれない。

巻頭カラー『ONE PIECE』1111話

 ルッチ死んでなかった。いや、本作は大体死なないんだけど、「負けてない」という表現はジンベエの言い分的に使えないから難しい。とにかくそんなルッチ戦の後処理を担当したジンベエが良かった。基本的に麦わらの一味の戦闘員のパワーバランスって「ゾロが最強」という図式が長かったと思うけど、ジンベエがいる今だとゾロのことを無理矢理引っ張ったり、ゾロの相手を一蹴したりできるので良いですね。かなり珍しい展開だったし、今の一味らしい良さだったと思う。
 ルッチ。上司に報告してホメられる。が、同僚のことが心配。ルフィと仲良し好敵手みたいな雰囲気出してたけど、しっかり敵として行動するのが今回のルッチ好きだったんだけど、それでも今の立場に疑問がないわけではない……という後味。あっさり光堕ちとなるかは知らんけど、ルッチを安易な善人にもせず、悪人に全振りするわけでもない、という絶妙なバランスが良かった。
 そんな今の立場にうんざりしてるのが最後の黄猿で、これまでの描写的に何となく察せられたけど、今回明確に「仮病」となったので笑っちゃった。これまた好き。ひょっとしたら黄猿の歴史の中で一番今が好きかもしれない。
 ドリーとブロギー。覚醒ルフィの補助付きとはいえ、五老星相手にヘラヘラしてるのが超すごいな。世界最強クラスじゃん。12巻の登場人物だぞ、あいつら。むしろ一方的に蹴るだけでダメージを与えられたMr.5が超すごいんじゃないかと思えてくる。拘束したMr.3もそうか。今の感覚だと普通にチカラ込めるだけでロウ破壊されそう。
 そして、3号のお休み。まぁ今も毎週必ず載るってわけじゃないから3号くらいだったら別に告知なくても全然いいよ、って印象。実際にやったらさすがに「そういや『ONE PIECE』は!?」とはなると思うが。思うが、たぶん気づくのは世間より遅いと思う……。

『夜桜さんちの大作戦』219話

 あるふぁ、からの悪ふぁ、からの大人。変身が多い。老成モードとか、ホルホルの実みたいな理屈で女体化モードもありそう(なさそう)。
 あるふぁの開花間際。予言、予知という感じだろうか。脳がスーパー進化した先の能力としてギリギリ理屈が通りそうな能力。ラプラスの悪魔みたいな感じで知覚とその情報処理を無限レベルでこなすと確実な未来が予見できる、的な。ジャンプでラプラスの悪魔といえば『ゆらぎ荘』ですね。なぜか途中からハードSFみたいな話になって面白かったんだぜ。
 あるふぁは未来をよりハッキリ見ようとするが、その方法が自傷なのでオジオバ軍団は絶対に許せない。あるふぁが本気出すきっかけが家族の死(未来)だけど、オジオバが本気出すきっかけが愛する甥っこの出血だったのが仲良しで微笑ましい。

『呪術廻戦』254話

 日下部頑張る。超頑張る。本作に出てくる「プログラム」って表現が苦手というか、どうもピンと来てなかったんだけど、生まれ持った術式とは別に個人が勝手にチューニングしたもの、みたいな感じか。持たざる者として超頑張って高みにたどり着いた日下部らしい能力ってことなんだろうな。とても良かった。理性と理屈にまみれてるからこそ再現性がある、というところに教師らしさを感じる。
 基本的にはオートカウンターだけど、その範囲を任意で引き延ばして敵を入れることで、オートカウンターで攻撃できる。ここが最高だった。「体が勝手に動いちゃう」というのが日下部の嫌々言いながらも頑張って戦ってくれるキャラクターと見事に合致してる。思いの外感動しちゃったな。そんな彼を突き動かすのは教え子への愛だった、と結ぶのが最高。三輪ちゃんは令和の「つーか これが限界」だったわけですが、それを発展させてオリジナリティあるバトルを作ってたのもすごいよ。東堂もそうだけど、『HUNTER×HUNTER』が長年放置してるものを勝手に解釈してオモシロに昇華してくる若手作家。
 からのミゲル。いや誰だよ。本誌初登場じゃねぇか(だよね?)。いやマジでどうかしてるでしょ。相当おかしなことをしてる。「ジャンプでしか読んでません」なんて読者は多く存在することを想定するのが当然だと思うんですが、「そんなこと知らねぇんだよ 映画くらい観ろ」という強気で行ける『呪術廻戦』という作品の強さ。こないだの高羽無双のときにも感じたけど、超人気作品だからこその豪腕。
 ちなみに、映画だと山ちゃんが「カタコト外国人キャラ」の新境地を演じてて素晴らしかったです。カタコトが従来の雑なカタコトじゃなくて、もっとうまいんだけどネイティブではない訛りも感じる、みたいなものすごいバランス。

センターカラー『SAKAMOTO DAYS』160話

 カラーがシシバで嬉しい。そしてアオリが謎にTOKONA-Xだ。いや歌舞伎なんだけど。
 本編。相変わらずシシバと周のコンビがおいしい。ひょっとしたら本作で一番好きなキャラ、シシバかもしれない……というくらい今登り詰めてる。「葵さんに扮した坂本太郎」を別枠とするならだけど。
 前から気になってた「いくら何でも周は実力不足でしょ」問題。ここにちゃんと納得させてくれるオチをつけてきたので最高。本作はちゃんと疑問、違和感に答えてくれる。戦闘力とは別に知力として活躍し、その隙を突いたシシバが2人を圧倒。
 ガスバーナーで焼き切ると傷口が消毒されるので拷問に最適、というのも面白かった。『スターウォーズ』のライトセイバーも何気に同じ設定なんですよね。斬っても出血はない。同じなのに「だから拷問に最適」となるのが別方向すぎて面白かった。
 からの四ツ村問題。ヘラヘラしたおじさんムーブだったシシバが一変。おいしい、あまりにおいしいですぞ。大人(たち)に弄ばれる調子コキキッズの周の瞳が闇に染まるのも含め、圧倒的に良い。周にそれほど興味がなかった頃は「せっかくだから四ツ村も出してくれ」とか思ってたけど、この2人だけで充分すぎるというか、パパは引っ込んでてくれる方がおいしい。

『ウィッチウォッチ』149話

 悪人の更生。そうか、ラブカを救った時点で大ネタが残されてると予感して然るべきだったわけか。誌面に描かれてる情報にしか興味がなかったというか、作品に対して積極性があまりになかったことを突きつけられたような感覚。
 ケイゴがわざわざネムまで連れて大事になる予感しかない……からの特にこれといって意外性のあることが起きないまま雑に遭難するので困惑した。「ひょっとしてつまらないのでは……?」と感想を書きそうになったが、ラスト、まさかのバレンタインに向けたプロローグだったので笑う。マジで超大ネタだったなw 嵐の前の静けさという感じだったのか。なら納得だわ。てか、マジで季節イベント丁寧に拾いすぎですね。4月になったら後輩ができる、みたいなワクワクを感じてたが、まだまだ4月が来ない。

『アオのハコ』142話

 千夏パイセンの件は一旦保留で試合。「焦らすなよ~」とか思ったが、試合がリアルタイムで進行中であることを考えるとむしろ自然ですね。試合そっちのけでバレるバレないの話をやったら「いや試合観ろよ」ってなっちゃう。
 ということで、大喜視点で回想を交えて試合のクライマックス。大喜の回想だったが、大喜のキラキラスマイルに針生先輩がまんまとほだされていって、という先輩の視点へとシフト……というか混じり合っていく語り口が非常に面白かった。大喜の「先輩たらし」ぶりによって針生先輩視点がものすごくスムースに入ってくる。同時に「なるほど こいつなら千夏先輩と付き合えるわけだ……」という納得も湧いてくる。
 2年になって大喜は成長のドラマを一旦終え、他者から見た「スーパーチャーミングな後輩(先輩)」という話が一気に増えましたね。大喜の主人公力がネクストレベルに到達してる。

センターカラー『超巡!超条先輩』7話

 本編1ページ目、爽やかなスーツ男が出てくるのでマジで誰だか混乱してしまった。よく見たら上が少し白かった……。白髪面積とカスは比例するのだろうか。
 ということでクイズ対決。ギャグ漫画らしい唐突な展開なんだけど、出題は第三者であるリリちゃんとホッさんに任せる、というのが意外とフェアというか、ルールとしてしっかりしてる。普通に納得してしまったよ。
 超巡の好物はカレー。それもレトルトが好きらしい。これは半分白髪の大先輩ブラックジャックオマージュじゃろ。ポンちゃんカレーはどうつくってもうまいのだ。
 好きなポケモンヤドン三国志だと劉禅。なぜか共通項を感じてしまうというか、一貫性のようなものを感じる……。
 対決も佳境。デリカシーもIQも皆無なホッさんが “じゃあなんで相棒捨てて交番で働いてんの?” と直球を放り込む。ギャグ回だったのに一気に話がシリアスに振れる……がクイズ対決の体もホッさんのキャラクターも保っててすげぇ。マジで1話の中の展開、構成がうますぎるでしょ。まだ7話だけど、過去に何度も唸らされてる。ギャグ漫画全振りかと思いきや、ギャグは保ちつつしっかりストーリーも盛り込むバランスが見事。力量。

『あかね噺』103話

 泰全の落語。強面の圧で客席をロックするが、強面のまましょうもないボケをかますのでウケる。なるほど~、これは納得だわ。ツッコミが本人以外にいないのもあって、これができてこれが成立したらそりゃ爆発的にウケるだろうなぁと納得できる。ほとんどバトル漫画の超能力描写をやってるのにウケに関してはしっかり理論的なのが良い。本作は笑いがずっと理詰め。理屈じゃない笑いについても理屈で説明するスタンスだよね。そこも本作の好きなところなんだろうなぁ、と今更ながら改めて。
 てか、この緊張と緩和。理屈がしっかりしてるだけに、前話の段階で予想できた人も多いんだろうな。今週の『ウィッチウォッチ』感想と重なるがマジで来週以降の予想に重きを置いてないというか、興味が全然ない読み方をしてるのだと痛感する。たまには今後のことが気になった予想めいた方向に考えが膨らむこともあるが、基本的には今週の分だけでお腹いっぱいなんだよな……。目の前の殴り合いを制す。もしくはタスクフォーカス(ハイキュー脳)。
 そしてクズ師匠問題。噺の中の家賃の滞納期間を泰全が師匠に受けた恩(借りまたは呪い)として表現するのも良すぎる。泰全のつらい境遇を痛感する場面だが、今そのことを笑いに昇華できてるわけで “たかが落語だ” の一言で彼が解放されたことも暗に示してる。
 からの回想。えっ、主人公以外の過去編やんの!? ちょっとびっくりした。一応おっ父というあかね的に超重要人物が出てくる回想とはいえ、こんなバトル漫画みたいな話作りになるとは。

『Dear Anemone』6話

 今週はバトルもあって、ちゃんと具体的な話(情報)も出るので面白い。そして、何より第1話であったダーウィンの言葉の引用(嘘)した人とは思えないほど正しい「進化」の話をしてるので面白い。初回を発表し、誤用の歴史を知ってアップデートされた知識が作品にフィードバックされてる可能性も疑ってしまうが、ひょっとしたらキャラクターごとに「進化」の知識が違うということを表してる可能性もゼロではなさそう。要するに初回のアレは「バカはこの誤用好きだよね」というのを意図的にやった可能性……苦しい? けど、今回「世代を経て進化する」とあの誤用とは明らかに真反対の、正しいスタンスになってるのが気になるw 爆発によって生じたのは進化ではなく変化だと明確に言葉を使い分けてるし。
 植物人間(ややこしい表現)第1号が今回対峙してるリボンの人だが、博士に言われた「違う」が呪いの言葉となってしまう。そして主人公とコンビと組むことになった現状の完成型。『人造人間100』やないか。マジで同じ話すぎる。どんだけ好きなんだ、こういう話。いやたしかに私も結構好きだけど。

『カグラバチ』26話

 車で移動しながら作戦会議。今回の事態の急変で自分を責めてるハクリのメンタルケアをしっかり行ってるのが超良かった。優しい。というかマッチョすぎない、というバランスかな。特に柴さんは意図的に「メンタルケア」を行おうとしてるのが最高。大人キャラだ。何も知らないシャルに対する “…ありがと シャルちゃん” も良い。
 そして、結果的にメンタルケアを行い、達成するのはチヒロ。こっちはどこまで意図的なのか分からないバランス。普通に超良い子ではあるが、独りで背負い込んで独断で暴走しがちでもあるので、今回のメンタルケアも偶発的なものだった可能性はありそう。もちろん嘘偽りのない言葉だからハクリに刺さった、というのはある。

『僕とロボコ』178話

 空に憧れてぇ~♪ と主題歌が流れてきそうな劇中漫画「風たつのり」の回。どうせなら最新作の方にしてくれよ、とは少し思った。手に負えなかったのかな。ロボコが興味を引かれる作品ではないと思うんですよね、『風立ちぬ』。まだ最新作の方がアカデミー賞取った、みたいなタイムリーな権威があるからロボコが手ぇ出しそうな感じあるけど。
 ロボコ漫画ではあるんだけど、今回はかなり普通に読める漫画に近づいているのが残念ではあるが、ひょっとしたらロボコなりに成長してることを表現してるのかもしれない。「つまらないのが面白い」というコンセプトではなく「普通に笑える」場面も所々あったよね。宮崎先生の才能が漏れ出てしまっている。もしくは日和ったか。 “邪魔だなコイツ…” のとことか漫画的なリズムが絶品で普通に面白いギャグでしたよね。まぁ、作画のガチルリが漫画の素養がある人なので、彼女がかなり強めに調整した、という可能性も残ってるのか。そういう意味では「作画:ガチルリ」にしたのは見事ですね。

センターカラー『アンデッドアンラック』200話

 ランゲージ。前ループでニコが一人で倒してたらしい。やっぱそうだよね。なんで今更マスタールールなんて強そうな幹部キャラとして再利用したんだろうとマジで不思議でした。てか、前ループの段階でニコが「マスタールール」という概念を知ってるので笑った。言えよ。
 ニコが楽勝だったのはランが言語を消してもニコが「忘れない」からだと思うけど、今やってる言語消滅って「喋れない」だから微妙に噛み合ってない気もする。喋り方を忘れない、ってことなのかしら。
 今。ラン姉ちゃんはニコに執着してるが、今のニコはランが求めるニコではなく、その原因は隣にいる女。突然疑似ラブコメみたいな話になってびっくりしたぞい。シリアスバトル中に急に大ゴマでギャグ顔するとエネルを思い出しちゃうんだけど、その後すぐにシリアスに戻る感じも似てるかもしれませんね。いや、エネルの件を丁寧になぞるならむしろ前ループにおける「不忘って私の天敵じゃん」と気づく瞬間ですが。
 改めて2対1でバトル開始。ランニコの2人はかなり能力の中身が知的というか科学(人文科学)的だと思うが、幽体離脱して一命(?)をとりとめイチコがその範囲の外にいるイレギュラーな存在。前ループとは明らかに違う、というのが面白いですね。前ループの対決はほとんど描かれてないのにしっかり「因縁のリターンマッチ」みたいな盛り上がりになってるのですごい。

『逃げ上手の若君』150話

 象徴天皇制(金属)面白かった。象徴のニュアンスが今のと微妙に違うw そして、それを「合理主義」と一言で示したのも良かったな。師直のキャラクターを合理性の一言で括るのが分かりやすい。分かりやすさとその一点の極端さ、松井作品らしさだと思う。
 若の話をしてるとどうしても描きづらい「帝と公家がうざくて仕方ない武士」を描いたのも重要そうですね。てか、普通に、客観的にこの時代のことを語ろうとしたら一番重要になるのはこの部分なんだと思う。それを極端な形で分かりやすく(少しギャグっぽく)描いたのが良いバランス。

『キルアオ』46話

 十三、普通に勝てる。2対2じゃなくてタイマン2つにしたのは2人のパワーバランス的に悪手だと思ったんですが、「十三が圧倒的に強い」となると少しその違和感が軽減する。十三に勝てない他の3人は所詮ドングリの背比べなので……みたいな。あくまでも印象としてであり、高校生がプロの殺し屋と戦うのは無理あるというのは継続してると思う。
 実力で勝る若手にどう戦うのかと思ったら、「普通に今の十三のが勝ってる」とロジックどうこうの話じゃなくなったのもうまい。ずるいw とはいえ、たしかにただの近距離殴り合いってのは今までやってこなかったので、意外と無理ある展開でもないんだろうな。直前に戦った殺し屋は催眠術の使い手なので、それをどうクリアするかに話が集中したわけだし。
 あと、本気で動き回るときはメガネを外す、という儀式が描かれたのは今後も定番となりそうですね。偽りの姿を象徴するアイテムなので、それを捨てて本来の戦闘能力を発揮する、というのは理にかなったメガネ演出だと思う。シンプルにメガネは飛んだり跳ねたりするのに向いてないってのもそう。
 ワンインチパンチ“一流はみんなできる” の理屈は痛快だったけど、それとは別に『SAKAMOTO』がどうしてもチラついてしまうよな。どうして殺し屋漫画はワンインチパンチ好きなんだ。現実に存在する格闘技の中でバトル漫画的なワクワク(ファンタジーっぽさ)を感じるものだから、みたいな感じかな。
  “家庭科部には手を出すな” からの部外の生徒が危機、と繋がるラストも良かった。とはいえ、あっちも助けてくれると思う。いや、全部十三任せにはさすがにならないか。

『魔々勇々』27話

 精神世界の中でハロハロと対峙。こういう精神世界に入る展開あまり好きじゃないんだよなぁ……とか思ってたら「精神世界を作る能力なんですぅ~」と説明されたので笑った。豪腕すぎる。とはいえ漫画、特にコマという表現形式をメタ的にぶっ壊して遊びたがる林先生のことを思うと「紛れもなく主人公の能力だな」という納得も深い。
 そんなハーたん、強情なコルレオにマーたんを見出して不覚にも泣きそうになる。急にしょうもないギャグで笑った。笑ったし、コルレオ視点で考えると「大人世代がなんか勝手にエモくなってる……」という子供あるあるな場面でもありますね。すげぇ良い場面。
 目的意識が能力を強くする。感覚的にもよく分かる話のあとで、同じ理屈で「必殺技に名前つけた方がいいよ」という話になるのが最高。バトル漫画の必殺技コール問題に対する見事な解答だったと思う。そこに親への感謝と表裏一体の自らのアイデンティティに結びつけたのも最高。
 とはいえ、一番気になるのはみんな決まって繰り返す言葉にしてる理由がない点。あそこまで理詰めで説明されると繰り返しの部分にも理由があるんじゃないかと期待しちゃうんですが。

『鵺の陰陽師』43話

 日常に戻る。怪我は普通に治せたらしい。腕もくっつく。拍子抜けというか、学郎のあのキレは何だったんだ……みたいな失望も少しある。少年漫画における吹っ飛ぶ腕問題は伝統的にあると思うけど、本作はそこを開き直ってるようであまり好きではないな。そんなことなら腕吹っ飛ばなくていい。何となくの、その場しのぎの迫力のために腕吹っ飛ばさないでよ。ただ、少年漫画でガチの戦闘による障害とか描かれても困る(『ヒロアカ』とかそのノリある)ので、やっぱ難しい問題ですね。今の『呪術』、特に虎杖もそうだけど、あれはもう最後の戦いで日常に戻ることがないので開き直ってるような印象。バランス取れなくても倒れたまま作品が終わるので問題なし、みたいな。
 転校してくる妹。すっかり忘れてたけど、たしかに初登場のときは同じように「設定盛りすぎだろ」と思ったんだよな。それを改めて、そして本作らしい謎の温度感のギャグで描いてくれて嬉しい。
 あと彼女がいきなり妹カミングアウトしたのはモブ生徒たちに奇異の目を向けられたのでそれに対する予防線であり、すべての関心を学郎に向けさせるため、だと思う。学郎と違ってコミュニケーション強者というキャラクターらしい言動ですごく良かった。
 隊長任務に悩む学郎と、それに対する発破。「そもそも初任務めっちゃ立派にやり遂げてません?」というのは極めて全うな指摘で痛快。マジで悩んでるのが馬鹿らしくなってくるレベル。全力で調子こいても文句言われなさそう。いや、学郎が「みんな無事なの俺のおかげ」とか言い出したら普通に幻滅ですけど。

グリーングリーングリーンズ』16話

 PAR5で対決。珀はラフからの2打目。「ラフが難しいのはほとんど気のせい」とあまりに端的に説明されたのにはマジで驚いた。ゲームでしかゴルフを知らない身としては天と地がひっくり返ったような衝撃。もちろん誇張してあるのかもしれないけど、ああやって言葉で説明されると「たしかになんで難しいんだろうな……」となってしまうから怖い。たぶん今週のジャンプで一番面白かった瞬間、この説明のくだりだと思う。衝撃だったのは『ツーオンアイス』のあの事件だけど、あれは「ちょっとやりすぎでは……」と引いた感覚もあるので好きだったり面白かったのはこの「ラフほんとは難しくないよ!」の点。真に受けたままゴルフデビューしたら先輩たちに怒られそうだw
 難しいのは気のせいなので極度な集中力を武器に戦う今の珀にとってはチョロい。が、実際はクラブとボールの間に草が挟まるという具体的、物理的極まりないイレギュラーも発生してる。気のせいじゃないじゃん……(結果オーライだが)
 おそらく極端に難しいコースではないので、グリーンは平坦。だったら下手なアプローチで勝負するよりとっととパターにしちゃおう。ゲームでもやったことあるぜ。ゲームだとマジで有効なんだよな。ちょっとゲームやりたくなってきた……。
 珀の考えはことごとくハマり、見事バーディ。内容としてはかなり地味だが珀のみのチカラと判断で手にしたバーディなのでその意味は大きい。めっちゃ良い話だったし、それを周囲のみんなが微笑ましく(1人除く)見守ってる絵面、あの空間が良すぎる。正直オリバーは味が濃すぎるのだが(今にも「ワシが育てた」とか言い出しそうで好き)、やはりあのフラットに親身になってくれてるギャルの存在が大きいな。あのピースフルな雰囲気にはスポーツの尊さを感じてしまう。そしてやはりリアクションと解説が強すぎるオリバー面白いな。腕組んでコクリ、じゃねぇんだよw
 一方ツーオンの王賀さん。10mのパターを決めればイーグルで勝利。奇しくも長距離パターは直前の珀がやって(直接入れることは)失敗してるんですよね。2人の対決感としてキレイな展開。

『ツーオンアイス』25話

 たっくんオリジン。そして、猿でも分かる神回。以前からたっくんだけキャラクターの解像度が高すぎるとは感じてたが、その解像度の高さが如実に反映された回だったと思う。そりゃ面白いよ。
 本作の面白くて、偉くて、誠実さを感じるところはフィギュアスケート(ペア)という競技のイビツさだったり問題点から目を逸らさずに向き合ってる点。その歪み、世界の構造的な歪みが今回1人の少年の足下で亀裂を生む。その歪みっぷりが容赦なさすぎて正直ちょっと引いたレベル。
 最初は王子様すぎて周囲の女の子が女の子になりすぎてしまう問題、とまだ微笑ましいの範疇。とはいえ、人間関係は崩れるし、当の本人は何も嬉しくない。これはいわゆるオタサーの姫の男女逆版って感じだと思う。スケサーの王子。ただ、オタサーと決定的に違うのはサークルのメンバーの親がその場にいて、それが子供の活動に密接に関わってくる点。そしてそれがほとんど女性という点。ああ、つらい。地獄の成立要件として鋭いというか、説得力ありすぎて「子供のフィギュアは法律で禁止するべきでは?」とか反射的に思ってしまった。
 構造的な歪みが少年を襲い、決定的に人生を狂わせてしまったある事件。マジで度肝抜かれた。びっくりするがたっくんの狂いぶりを考えるとちょっと腑に落ちる部分はある……というのはさておいて、いくら何でもやりすぎだと思う。正直読んでてちょっと手に負えない。今週の『鵺』のとこで書いた「気軽に四肢を欠損するのはやめてほしい」と似たような感覚かな。ハードなことすればいいってもんじゃないから。少年誌だよ……。直接描かなければセーフ、とかの話じゃないと思うの。怖すぎて泣いちゃう。逸茂先生には過去の読切で「超ドラマチックで衝撃的なイベントとして人の死を気軽に使うのやめて」のようなことを思ったこともあるんですが、そのレベルアップ版が今回の事件と言えそう。手に負えない。
 その後出会う別の大人の女性が地獄の案内人であるコーチ。あの人出番が極少だった割にめちゃくちゃ重要人物だな。出番は少ないのにイビツかつ圧倒的な強キャラとしての説得力が今ではしっかり感じられるのがすごい。本話全体に言えることだけど、全編にわたって情報量がすごいし、今までの物語の集大成感がすごいんだけど、本作まだ25話しかないんだよね。しかも、たっくんは初回から登場してたわけではない。数年連載した作品が満を持してドロップするすべての辻褄が合う過去とかそういう迫力に満ちていたからすごい。たっくんを中心に作品を作ってるのではないかと疑ってしまうレベル。
 地獄生い立ちを地獄の芸術として昇華することで心の平静を保っていたところに現れ、あくまでも私的に狂わされてしまったのがキラキラした例の少女。すっかり忘れてたけど綺更ってマジモンの大天才だったのですね。完璧超人みたいな印象が全然感じてなかったけど(隼馬がそういう見方をやめる物語なので)、「たっくんの才能をそのまま搭載した女子選手」と言われてマジでびっくりしちゃった。あの子、まだまだ伸びるのでしょうね。おそらくたっくんとの一件を完全に乗り越えたら。
 んで、現在。たっくんの現パートナーはあの事件のときの彼ほど子供ではないが、おそらく「子供を傷つける大人」というのを男女反転して再現したってことなんだと思う。まぁ、あんなのと対比されたら「全然優しい方ですね……」と言いたくもなるんですが。いや、閉じられた空間で行われる直接的な暴力と、開かれた空間で行われる間接的な暴力という意味でとことんキレイな対比か。

『累々戦記』15話

 前話のラストで回想終わりだと思ったので、今回普通に続くのでちょっと驚いた。正直話的には前話の時点で終わった方がキレイだった気もする。別に今回の前半で特別な話(情報)が描かれるわけでもないので。まぁバトルが描かれたので反射的に楽しいってのはある。
 んで、現在。組織による会議。制服を着た人たちには断罪すべしと言われるが、私服の2人から意義が申し出される。あの2人は任務で負傷したので治療(休養?)が必要なので私服なのは納得なんですが、心のない仕事人間と対照的に人間味のある心を持った2人、というのが絵的に現れててとても良かった。
 からのメガネくん。激重回想をしすっかり消沈中の蒼葉に対して「けど学生だから学校行かないとな」と返したのが良い。圧倒的に良い。マイペースでギャップを感じさせるギャグのようでもあるけど、ぐうの音も出ない正論であり、この上ない優しさ。相変わらず本作はメガネくんの言動が徹底的に良い。彼だけキャラクターとしての造形が完璧というか、彼だけ解像度が一段階高い。『ツーオンアイス』のたっくん……ほど極端かつ変なバランスではなく、しっかり「もう1人の主人公」としてのキャラクター性が完璧なので掛け値なく心地いい。
 話が終わってないタイミングで師匠が現れて修行。リスクを抱えてるから解放できないんだから、リスクを解消すればよかろう、とシンプル極まりない打開策を出してくるのでこれまた良い。ただ、『BLEACH』のエッセンスを多分に感じる本作に「栞」モチーフの能力を出されると「月島さんのおかげか!?」と一瞬身構えてしまうなw 実際は全然違ったし、何なら今週の『魔々勇々』のコルレオの方に似てる。たしかにあのコルレオの能力、修行するのに超便利だな。時間経過もないし、精神と時の部屋だ。

『ルリドラゴン』10話

 同級生とエンカウントして何か不穏な方に話が動くのかと思ったら、そんなことはなかった。そもそも本作のことをよく分かってない段階で長い休みに入ったので「そうか こういう作品なのか……」と何とも掴みきれない感覚。
 ということで、母親による雷対策はとりあえずの成果を上げたので終了。後は若いもん同士に任せるということで、ボーリングに行く。マジでスポッチャ何でもあるな。ぶっちゃけ行ったことないので今回のルリとまったく同じ感想を抱いてしまった。料金体系とか気になってきたぞい(調べた)。
 親といる件をイジられたりしないし、どころか普通に遊びに誘う男が丁寧にたしなめられる。めちゃくちゃピースフルだ。ただ、「疲れてるならボーリングやろうよ」に関しては正直ピンとこなかったというか、普通にボーリングって疲れない? ボーリング(だけ)やった次の日とか普通に筋肉痛になったりするんだけど。
  “俺乗せて飛んでくんね?” 彼がどこまで考えて発言したかは不明だが、めっちゃ良いセリフ(場面)だった。ドラゴン女子高生と普通の高校生の共存として象徴的で、とりあえず本誌連載における本作の一旦の解答、という印象すらある。……てかあと1話しかないけど、何の区切りもなく終わるのだろうか。このまま特に劇的なことはないまま終わりそうなんだけど。
 予告ストライク達成、ガッツポーズでエンド。良い場面なのだが、今週は女の子がガッツポーズする絵面を見ると『アタック25』を連想してしまうんだよな……。『超巡』ポンちゃんのせいで。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 3/25が電気記念日ということで、ジャンプ作品における「鉄塔回」。何その回……と思ったけど、絵として見たらちょっと納得。たしかに特有のエモさだったり、スペクタクル的な絵としての魅力を感じてしまう。
 さすが、良い目の付け所だぜ。とはいえ、前後編で来週に続くのには驚いてしまった。そんなに掘り下げれたの!? 個人的に今は『ハイキュー』脳なので、『ハイキュー』の「おのぼりさん表現としての東京タワー/スカイツリー」の件が来週出てくることに期待しちゃう。

次号予告

 カラーではないけど『カグラバチ』が大きく紹介されてるのにオサレを感じる。
 あとは久々にショートフロティアあるので楽しみです。しかも知ってる作家だ。

目次

 JUMPマニアッククイズ。『カグラバチ』柴が列車の中で食べていたもの。やっぱ若い作品だとぼんやりと記憶が残ってて面白いな。「たしかにそんなシーンあったかもなぁ……」と脳内にうっすらと映像が広がる感覚が楽しい。

愛読者アンケート

 周囲にジャンプ、ジャンプ単行本、ジャンプ以外の漫画を読んでる人はいるか。いない。ネット上の周囲だったらどれもいる。その人たちは紙か電子か。ほとんど電子……だと思う。てか、今の高校生以下がどのように漫画読んでるのかはマジで気になるところだな。
 SNSで漫画の広告を見かけたことをきっかけに何かしたか。しない。基本的に広告は敵という認識。SNSで感想を見かけたことで何かしたこと、これならある。無料公開されてる分を読んだのと、調べたのと、アニメを観た、くらいかな。

総括

 時間を気にせず飽きるまで『ドラクエ10』をやりたい……。まぁ、実際は2時間もやれば一旦ダレるんですけど。

 今週のベスト作品。これは『ツーオンアイス』。強すぎ。

 今週のベストコマ。『グリーングリーングリーンズ』の「ラフが難しいのはほとんど気のせい」を示すコマ。もう絵じゃないんだけど、間違いなく今週のジャンプで一番面白かった瞬間。

 今週のベストキャラ。『ツーオンアイス』空天雪。ひょっとしたらブログでジャンプの感想を書くようになった以降で一番面白いキャラクターかもしれない。
gohomeclub.hatenablog.com