北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『8マンVSサイボーグ009』4話の感想

チャンピオンRED 2021年 07 月号 [雑誌]

チャンピオンRED 2021年 07 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2021/05/19
  • メディア: 雑誌

 ちょくちょくあるチャンピオンREDに『サイボーグ009』が同時に2作掲載される月です。時空の捻れ極まれり。しかも今月は連続して掲載されてしまった。
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第4話「死闘の果て」

 今回はタイトルに偽りなし、本当に8マンサイボーグ009が対決する回。スピード対決とかではなく、ちゃんと戦う。この手の「vs」作品は「どうせ共通の敵で共闘パターンでしょう?」となるのが定番で、今度の映画『ゴジラVSコング』なんかは事前に「片方が負ける」と大々的に宣伝してたりするんですが、本作もちゃんとそこには気を使ってて、しっかり戦う。勝敗がついたことを象徴するようなショットが最後に出てきてちょっとギョッとする感じもありますね。その衝撃こそが今回の見所だったと思います。……まぁ、もちろん今後共闘の流れになってもええんやで。
 ちなみに、『サイボーグ009VSデビルマン』でも対決パートはあります。最終的には共闘。009のどこ落ちアタックが炸裂します。普通に面白くて、特にいわゆる「平ゼロ」ファンにはオススメです。監督が同じ。

 対決。互いのキャラが互いの個性を発揮して攻防が展開されるので良い。同じスピードスターだけど、細かい設定には差異があるので勝敗の分かれ目はそこにあるはず、と理屈を詰めたストーリーが見事だと思います。ファンフィクションっぽいというか、両作それぞれのオタクっぽい掘り下げがとても楽しい。
 個人的に特に面白かったのが、009の重力問題。これファンの間ではよく考察される部分で、『空想科学読本』でも読んだ記憶があるんですが、1Gの環境ではどんなに速く動けても速く走ることはできない。月面を歩くときのようにピョンピョン跳ねることになり、空中だと空気抵抗ですぐに失速、みたいな話。「加速装置の中には重力を増す機能が備わってんだよ」的な拡大解釈もできますが、本作はあくまでも重力は1G。不思議パワーで速く走ってるってことです。全然それでいいです。
 009の自由落下描写で、石ノ森章太郎ではない作品ですと『009 RE:CYBORG』が記憶に新しい。あれも1Gという設定で、細かい微調整など高速で思考するために加速装置を使う、という扱いになってました。外部の作家が『サイボーグ009』という作品を扱うとそこを考証しがちってことなんでしょう。

 8マンが両者の加速設定を読み込んだ作戦で攻撃に出るも、009がおそらく経験値によってそれをカバー、反撃。8マンが一服し休憩していると、背後から009が忍び寄る……という場面で描かれる009の影がかっこよすぎるので痺れました。股抜きの構図って定番だし、『サイボーグ009』にもよく出てくるし(元は西部劇?)、何なら本作の本話にも出てくるんですが、それの亜種としての影。岩場の陰に隠れる、それを追いつめる、という2人の戦況の優劣を示すシーンとしても象徴的だったと思うし、ちょっとホラー的なドキッとする感じもあったかもしれない。いやマジでホント好き。超良かった。最高。

 そんな対決を見守ってる悪役のお2人。互いに互いのヒーローを応援するかのような視点で観戦してるのが面白かったですね。ちょっと愛憎入り交じったものを感じるというか、ちょっと可愛いw まぁ、スカールの方は009を作り出した張本人とも言える存在なので、自分の作品が負けるのは癪、みたいなことなのかもしれませんね。
 そんな互いにドヤリながら解説を繰り返すのが楽しい。8マンが形勢逆転する場面での詳細な解説とか『8マン』門外漢な私としてはありがたいんですが、話としては「ちょっと饒舌すぎない?」みたいなおかしさもありました。8マンの活躍を喜んでるようにも見えるw
 からのスカールがドヤり返す。 “君たちはあの試作品にどれほど生身の神経系を残したのかね?” とか009側のドラマとしては100%悲劇の話なんですが、スカール視点だと「めちゃくちゃ機械にしてやったぜ」というマウントになるから面白い。これは両作の悪役もセットで引っ張ってきた本作ならではの魅力ですわ。


 終わり。勝敗がついて終わり。なんですが、チャンピオンREDの誌面だとその直後、左のページから岡崎版『サイボーグ009』が始まるので混乱します。しかもよりによってどちらも作品もお姫様だっこw