北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

ジャンプGIGA 2021 SUMMER掲載『忍SS』の感想

 GIGA買ってきたわよ。紙派なので買う必要があるのです。電子派の人は実感ないだろうけど、めちゃくちゃ分厚い(週刊の2倍弱)。本屋で習性で言った「袋いりません」を後悔した。

 『忍SS』の話。ミウラタダヒロ最新作です。シノビスラップスティックと読みます。
 あ、そうそう。目次コメントがめっちゃ微笑ましいので「これが好きだったんだよ」と懐かしい気持ちになりました。母ネタもちょっとした定番でしたよね。
 本編。エッチなハプニングが発生するラブコメ……のハプニング要素がすべて劇中のキャラクターの意志及びスキルによって形成されている。そんな実験的な精神が感じられる作品でした。というか、アバンの場面で語られる “…これは一見ラブコメ等でよくあるハプニングだが” “実は仕組まれた人為的な事故である!” が作者による宣誓みたいな文章ですね。そんなコンセプトを『ゆらぎ荘』を4年連載したミウラ師匠が描くことの重みがすごい。単なるギャグ作家が思いつきで読切にするのとはワケが違う。当たり前だけど、ルックは完全に「そういうラブコメ」なのです。『ゆらぎ荘』未読者でも分かる、「あーそういう」となる絵面から始まっての、それらすべてが理論武装されていく。その理論武装のガチガチぶりが圧巻かつガチガチすぎて笑えてくる、という作品でした。ラブコメかと思ったらシリアスな心理戦が始まるオモシロとかもあるんだけど、最終的には「ここにも説明がつくのかよ」と笑いました。
 対立する忍者の2人が校内で相手のことを合法的に見つめる(見つめても怪しまれない)手段として、ウブな思春期を演じる。平行して描かれるミッションのターゲットが服を破壊する装置(兵器の炭素繊維が無効化されるのでヤバいという理論武装)なので、それに対抗した特殊パンツを用意したが、これが悪手。自らが忍者だと自白するに等しい物的証拠になってしまう……というパンツ争奪戦のくだりが見事すぎた。エロをギャグにするというアプローチ自体は定番のものだけど、その精度、その論理性の精度がエグい。てか、ちょっと理屈が凝りすぎてて頭でっかちな印象を抱く人もいるんじゃない? と勝手な心配を始めてしまうファン心理。あーこの感じ、『ゆらぎ荘』のときにもあったなぁ。こういうのを待ってた。今のジャンプにはこれが足りない。まぁ、こういう人ばっかりになったらそれはそれで健全じゃない気もする。
 パンツ争奪戦のくだりがあまりに鮮やかなので「今回ミウラ師匠がやりたかったのはコレか」と勝手に納得していました。終わった気になってた。残りはギャグも交えつつもバトルにするのだろう、とかその程度。と思ったらまだ理論武装しようとしてる「お約束」が残ってたので再びガッツポーズ。少年誌及びそのアニメ化を経験したミウラ師匠だからこそ痛いほど分かる、エロはやっても出せないアレやコレ。作品上「なぜか見えない」の体裁を守らなければならない、という「お約束」。そこに対して理屈&それを実行できるほどのスペシャルスキルという見せ場にしたのが最高。ちゃんと話としてのオモシロと、アクションの見せ場、それぞれの頂点がクライマックスで重なるんですよね。その不自然だけど合理的なものとして成立してしまってる異様な状況に笑ってしまう。さすが、面白すぎる……。単に面白いだけでなく、やっぱ私の好きなタイプのオモシロが詰まってる。
 それと、「不忍高校」という舞台がめっちゃありそうなので心配になりました。調べたらそんな高校はなかった。上野にありそうなのに。まぁ、だとすると「忍べよ!」というギャグになってる名前ですね。
 終わり。これは単行本化されても乳首が描かれなくて残念ですね……とか思った(思ってない)。

 それと、他のGIGA掲載作品の話。ぶっちゃけ全然読んでないんですが、パラパラを見た感じ、ルックがめちゃくちゃ『チェンソーマン』もしくは『呪術』っぽい作品が多くて「じっ……時代ぃぃ~~!」ってなった。というか、時代を反映するにしても反映速度ヤバい。まぁ、特に『チェンソーマン』の方は、「こういうのでもジャンプで成功できるんだ」と思った人多いんだろうなぁ。絵が似てないにしてもリズムとか独特じゃないですか。そもそも本誌連載中でも他の連載作家に影響与えた部分もあるだろうし。極論になるけど、『ヒロアカ』と『呪術』の話がめっちゃ暗くなったのは『チェンソーマン』のせいかもしれないよ。
 それと似た話になるんですが、好きな漫画の欄に「どれも好きです」みたいなこと書く人が結構多くて「そうなんだけどそうじゃないだろうよ」って強く思った。まぁ、気持ちは分かる。

 プレゼントページ。GIGAということで鳥獣戯画ネタになってて面白かったです。GIGAはイラスト担当が誰なのか分からないのが惜しいですな。

 終わり。全部は読む気力ないけど、見覚えのある名前のは読もうと思います。読み方チキチキだと思ってたら違った。
 それでは、次のジャンプ記事で。