北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』の感想

 観てきたよ。相変わらずタイトルがめちゃくちゃ長くて驚いてます。中黒ではなく半角スペース使うタイプらしいよ。

 ネタバレあります。てかネタバレ感想のためにブログ書いてるようなもんですからね。

 正直に白状すると、「原作者描き下ろしのステルススーツに注目だ!!」みたいな事前の情報にはあまり乗れてなかったというか、そこまで魅力的なスーツだとは思ってなかったんです。劇場版って突然ワケの分かんない衣装着がちだよなーって感じでした。
 そしたら、いざ映画観てみたらオープニングだけであとはすぐいつもの格好になるので笑いました。いや個人的には全然いいけど、「それでいいのかよ!」とも言いたくなる。文句が多いですね。ごめんよ。

 tvアニメの劇場版だと定番のトピックが時系列。具体的に言うと、デク爆轟の3人がエンデヴァーのとこにインターンに入ってる最中。ちなみに映画の前作である『ヒーローズライジング』はかっちゃんが仮免取得後のどこか。『ヒーローズライジング』と『ワールドヒーローズミッション』かなり近い距離にありそうなんですが、全部パラレルだから気にすんな!! ということなのでしょう。OFAかっちゃんとかやっちゃう映画ですので、整合性とか無理な話です。原作シリーズの正史という扱いになるタイプの劇場版も魅力的ですけど、そういう整合性を無視してサービスに徹するタイプも負けてないです。ただ、原作はこないだの弔戦でOFAかっちゃんが出そうな雰囲気になったので勝手に大興奮してました。さすがに出ませんでしたw
 ただ、時系列的にはかなり近そうなんですが、『ヒーローズライジング』からデクが成長してる点はありまして、それが黒鞭。しかも暴走ではなくかなり正確にコントロールしてる(余計に時系列が気になってくるw)。「スパイダーマンすぎるけど大丈夫??」と心配になるくらいスパイダーマンしてて、そこは明確に本作の見所です。めちゃくちゃ良かった。不思議なのは、ラスボス戦で全然黒鞭を使わなかったんですよね。攻撃が反射されるから黒鞭で包むように攻撃するのは有効そうに思える……少なくとも試さないのはおかしいと思うんですが。
 てか、ラスボス戦に関しては個人的にはイマイチでした。ただゴリ押しするだけでアイディアに乏しく、過去の2作に比べると見劣りする。とはいえ、ラスボスに対して「お前はプルスウルトラしなかったのが悪い」と説教ぶちかましたのは面白かった。プルスウルトラの収まりの良さという意味では3作の中でもトップかも。
 ラスボス戦はイマイチだったんですが、序盤と中盤のアクションに関しては大好物で、ちょっとマジで驚いてしまったレベルで良い。バトルに限らないんですよね。ロディと追いかけっこしてるだけの場面とかがひたすらかっこいい。ロディがパルクールしてたり、実写アクション映画でありそうな内容をアニメらしい自由自在なカメラワークで見せてくれてて最高。「映画館来て良かった……」とウットリしておりました。
 爆轟のバトルに関してもヘリコプターを相手にしてるときの方が好みだったかな。クライマックスのボス戦は正直気合いでゴリ押ししてるだけに見えてしまった。あと、敵キャラと初対面の状態で戦うのがあまり燃えない。前振りというか、因縁って大事だよね。クライマックスには弓の子を持ってくるべきだったと思います。事前に敵キャラの紹介を済ませた状態での「じゃあどうやって勝つ?」というワクワクは『ヒーローズライジング』の方が味わえた。ただ、『ヒーローズライジング』はナインのキャラクターが魅力に欠けたんだよなぁ。キメラがボスで良かったと思う。わんちゃん可愛い。
 
 敵キャラ。個性は病気、真の人類のための救済を、みたいな世迷い言を掲げてテロしてくるんですが、めちゃくちゃ面白そうじゃないですか。無個性者のために個性持ちを殺すって、無個性から後天的に個性を得たデクの物語にめちゃくちゃハマる。
 とか思ってたんですが、蓋を開けてみたら特に深みのないキャラクターでね。やってることもただの世界征服。結局出てくるのはみんな個性持ちなので「なんだ いつもの奴じゃん」なんですよね。ボスキャラを無個性にすることは出来なかったのだろうか。そこまでの挑戦はできなかったんだろうな。

 もういっちょ期待はずれだった点。国際色。世界進出が本作のウリの一つだと思うんですが、国際感が全然ない。アメリカのヒーロー出てほしかった。やたら日本のヒーローが幅を利かせてるのも謎だし、日本のヒーローだけインターンまで連れて行ってるとかちょっと無理がありすぎ。サービスだから気にすんなってことなんでしょうけど、世界進出がそもそもサービスとしてあまり機能してない気がしました。一応異国情緒ある街の中でのデクとロディの追いかけっことかは良かったけど、そのくらいかなぁ。
 あと、デクがロディに自己紹介する際に、「デク? 良い名前だね」的なリアクションあったじゃないですか。あそこ面白かったです。たぶん英語圏の人なのでデクの意味が分かってない、ということなんだと思う。ただ、それを深く考え出すと「本作は全部英語なの?」とか気になってくるw 一応、特典の冊子に収録されてる前日譚漫画には “英語ができりゃなんとかなる” というセリフがあるんですよね。英語という概念が存在する世界らしい。じゃあ……とか考え出すとキリないので諦めましょうw

 文句めいた感想が多くなってしまうんですが、面白かったんですよ。そういう点が目立つし、感想書こうとしたら無視するわけにはいかないってだけで、「まぁどうでもいいか」となるだけの満足は得た。
 本作の何が良かったって、そりゃもうロディですよ。過去の映画を観て予想はつきましたけど、やっぱ本劇場版シリーズのゲストキャラは鉄板なんですよ。堀越先生はいつも本当に魅力的なキャラクターを用意してくれる。
 正直過去2作のゲストキャラに比べると、可愛いで勝負するタイプのキャラクターではないんですが、キャラクターの魅力、そしてデクとの絡みで言ったら史上最高と言ってもおかしくない。吉沢亮も良かった。志田未来もそうだけど、キャスティングがうまいですね。まぁ、最近の映画は「タレント声優ひどすぎぃ!!」みたいな例の方が稀だと思いますが。そもそも2人とも役者だしね。
 デクとのデコボココンビっぷりが最高なんですよね。追いかけっこに始まり、駅のプラットホームでのやりとりも楽しい。あそこで2人の対照的な性格を提示して、その後警察などに襲われる場面でデクのクソ真面目っぷり、そしてヒーローとしての資質を感じさせるのが良い。その後も2人のロードムービーみたいになるのも良いんだよなぁ。挿入歌で2人の旅の様子がモンタージュされるのとか超エモいし、挙げ句は焚き火を囲んでの身の上話ですよ。エモすぎるでしょ。極まってる。毎度お馴染みの感想になるんですが、「えっ この人映画終わったらもう出てこないの?」という絶望感に襲われます。また、本作、前作に続いて別れの場面が良いんだよなぁ。さすがに前作の「これもう最終回でしょw」という感じではないんですが、ロディらしさを感じさせる別れになってて最高。「帰ってきたドラえもん」でしたね。
 そんなロディの個性。「そんなのアリなの?」と疑問には思ったんですが、まぁ面白いは面白いのでいいか。個人の個性が生命生み出してると考えたらめちゃくちゃすごい話な気もするんがー。まぁ、とにかくあの鳥。悪ぶってるロディにとっての良心みたいに存在で面白かったです。『ピノキオ』におけるジミニーとも言えるかもしれません。そう考えると、ピノという名前は『ピノキオ』に由来する……のか? ジミニーのことは考えなくても「嘘がつけない」という一致だけでも充分な気がする。

 とにかくデクとロディの物語が魅力的でした。逆に言うと、かっちゃんと轟くんに関しては、ただの戦闘員みたいな印象で終わっちゃったかな。事前のポスターだと「今度はこの3人の話だ!」みたいな雰囲気あったんですが、そこを期待すると少し肩透かしかも。
 個人的には2人のボス戦もそれほど魅力を感じなかったというか、物語的に添え物感が強くて、とりあえずサービスとしてやってる感があったかな。そんな扱いにするなら全部カットしてデクとロディのドラマもっと増やしてくれ、とか思わんでもない。
 ただ、爆轟の2人よりも「ただのサービスでしかなかったな」なのは他のヒーローたち。国際色が全然ないって件とも通じますが、無理矢理スケール大きくしただけで上滑りしてたような印象です。ぶっちゃけ爆弾も全部デクたちが止めたって話ですので、世界の要素全部カットでも話は成立したと思うんですよね。観てて「この人たちの活躍なんだったんだろうな……」とか虚しい気持ちになった。まぁ、陽動がどうのみたいな話が事前にあるにはあるんですが。正直少し散漫な印象も受けたので、もうちょっとシンプルにした方が良かったのではないか。『2人の英雄』『ヒーローズライジング』がクローズドサークルの話だったこともあり、「出来ないなら無理しなくていいのよ」とか少し思った。
 まぁ、これは劇場版特有のサービスみたいな要素が個人的に苦手って話なんだと思います。『名探偵コナン 緋色の弾丸』観ても「秀吉は全部カットでいい」と感じたタイプですので。

 どうでもいい個人的な好みの話としては、バーニンが出てきて、そこそこ画面に映ったのが嬉しい。バーニン好きなんですよねぇ。最後に私服が出たのもありがたい限りです。
 あと、メリッサも何か突然出てきたので驚きました。ゴジラも出てきたし、やたら『2人の英雄』を押し出してる感じありますね。メリッサも大好きなので嬉しいんですが、それなら真幌と活真も出して上げてよぉ!! まさか『ヒーローズライジング』は本作より後ろの時系列なのでは……。


 終わり。先ほども書いたけど、マイナスな話が多くなっちゃったけど、大満足ですよ。「ロディ大好き」の一点で勝てる。穴というか、イビツさが目立ってたのでそういう話になるのも仕方ないんだけど……みたいな。好きなはずだけど、そうじゃない話の方が書きやすい、みたいなのは感想あるあるだと思います。
 『2人の英雄』は『ヒロアカ』の原点、『ヒーローズライジング』は『ヒロアカ』の最終回を描く内容だったと思うので、そういう比較をすると本作は特に何もなったんですが、劇場版シリーズはとにかくゲストキャラが良い。この法則は継続です。4作目があるかは分かりませんが、堀越先生が描き下ろしたなら勝ち確!! と見て間違いないと思います。

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