北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『フリー・ガイ』の感想

 観てきたよ。今日は別件でブログ書こうと思ってたんだけど、ものすごいネタバレ案件を含んだ作品だったためツイッターでは消化不良。なのでブログへ逃避。

 まず、穏当なあたりから書くと、ゲーム映画、ゲームを扱った映画として現状最高峰と言っても問題ないんじゃないかと思います。めちゃくちゃ面白かった。ただ、ゲーム用語が連発したりするので、ゲームに馴染みのない人が観たら少し難解に感じる可能性はあるかもしれない……と老婆心。「スキン」とかゲームやったことなかったら知らない言葉だったと思う。原義とコンドームしか知らない。そもそも「モブ」「NPC」という本作の根幹をなす言葉がどこまで一般的なのか少し気になる。
 単に言葉の問題ではなく、世界設定とかもある程度のゲーム知識がなかったら複雑に感じてもおかしくなかったかも。ゲーム内と現実世界が平行して描かれるので情報量が多いとも言える。序盤に主人公が警察に追われる場面があるんですが、ここでの警察は運営スタッフがチーターの処理としてログインした姿なんですよね。オンラインゲームやったことあるとお馴染みの光景……は語弊があるけど、「あーアレかw」とあるあるネタのような快感が得られる場面だったと思います。それをゲーム知らない人が観たらどう感じたのだろうか、とか。

 んで、ネタバレ。終盤のアレですよ。主人公が逆転のために取り出したアイテム。ディズニーによる20世紀フォックス買収後に制作が進められた作品として象徴的というか、新時代の始まりを痛烈に感じた瞬間でした。フォックスの新作で、フォックスマーベル最大のヒットであるデッドプールの中の人が主演の作品で、MCUネタが堂々と出てくる。「それっぽい」ではなく、完全にあのデザインで、あの曲まで流れて、トドメとしてあの人ですよ。あれはビビったなぁ。もちろんゲーム内のことなので物語的に破綻したり、ユニバースを共有するような話ではないんだけどね。
 と思ったら映画史上最も有名であろう武器まで出てくる。そして当然あの曲。まぁ、アレは元々フォックスだからいいんだけど、MCUの次に出てきたことの意味ですよ。ちゃんとね、殺陣がそれっぽくなってるので最高でしたw
 こうなったらディズニーとかピクサーネタも出して、独りディズニープラス!! みたいな感じになってほしかった気もするんですが、そこまでは行かないのね。少し残念ではある。ケチだなぁ。まぁ、適切なネタが何かと言われると思いつかないんだけど。
 版権ネタでぶん殴ってくる、という意味において2021年の夏に公開される意味。もうすぐ『スペースプレイヤーズ』も公開じゃないですか。『スペースジャム』の続編? レブロンジェームズ版『スペースジャム』みたいな奴。予告観る限り、ワーナー限定版『レディプレイヤー1』みたいな雰囲気あるじゃないですか。最初に『アイアンジャイアント』見せてくるし。会社対抗で版権ネタ対決してるようで興味深いです。最近流行ってるのかな……とか勘ぐってしまう。
 ただ、本作の版権ネタが素晴らしかったのは、それが単なる飛び道具では終わってなかった点。物語がそもそも版権の管理みたいな話なんですよね。悪役の行動原理は「雑な続編を作って金儲け」ですから。それをMCUで監督したことのあるタイカワイティティが演じるから奥深い。1作目で人気出たキャラを「じゃあ2作目にも出すよ」と勝手にキャラクターデザインしたらまったくの別物になってしまう、というのもいわゆる原作レイプ的な話をコミカルに描いてるんだと思います。
 そんな物語を、今時珍しい、マジでめちゃくちゃ珍しい、完全オリジナル脚本のハリウッド大作で描いてるから面白い。原作もなければ、続編でもスピンオフでもない。まぁ、意地悪なことを言えば、この超強力な版権ネタが隠し玉としてあるから制作が可能だった、と考えられるかもしれない。

 恋愛要素。これが思いの外良くてですね、クライマックスには思わずウルッときてしまいました。ゲーム内キャラとプレイヤーが恋に落ちる話なのでどう決着つけるのか気になってたんですが、この2人は結ばれずに終わる、という非常にまとも。『マトリックス』とか『トロン レガシー』だったら仮想世界の住人が現実世界に出てくるんですけどね。まぁ、スミスとはロマンスじゃないかw
 ライアンレイノルズの恋は成就せずに終わるけど、そもそも彼には設計主の思いが込められているので……と結論を出したのがめちゃくちゃ良かった。主人公のキャラクターをそのまま「ラブレター」と表現したのがもう素敵すぎてな……。
 ついでに、ライアンンレイノルズのハッピーエンドは恋の成就ではなくバディとの再会、としたのも見事な着地だったと思います。そもそも主人公が抱き続ける「恋を求める」という感情は設計されたものですからね。それだったらバディとの友情の方が彼自身の物語、彼自身の選択と言えるのではないか。
 ゲームよりも現実の恋だよね、と意地悪に切り取ると『レディプレイヤー1』のラストと同じなんですが、ゲームと恋愛という意味においては圧倒的に本作の方が美しかったと思います。そもそもゲーム映画としても本作のが勝ってるのでは。とはいえ、あれは版権ネタの暴力が楽しすぎるんだよね……。


 終わり。ジェームズガンよりショーンレヴィの方が好きなんだよなぁ、とこっちを先に観たんですが、予想以上に面白かったです。『ストレンジャーシングス』関連のキャスティングも嬉しい。ティナフェイは『デート&ナイト』ですね。ヒュージャックマンが声で出演してるらしいけど、さすがに「分かるかいw」という感じ。
 あと、関係ないけどチャニングテイタム久々に見れたのも嬉しかったです。テイタム版のデュードも見てみたいw