北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2021年50号の感想

 マガポケアプリで『生徒会役員共』が全話無料なのでみんな読もう。

背表紙

 ジャンプ名台詞 in 英語。『ブラクロ』のノエル。あれ……。絶対今号からの新連載がそのまま背表紙にもやってくると思ったのに。ちょうどいいじゃん。全部行けばいいじゃん。
 英語。英語になっても良い意味で暑苦しいのが伝わってくる。

表紙

 新連載。おいおいピンクメッシュかよ……と思ったらネオンの反射か。
 てか、巻頭カラーに主役の2人が一切いない、というのめちゃくちゃ珍しいですね。物語最優先というのが伝わってくる。

読者プレゼント

 舞妓はん。あ、やばい。今週やばい。ダジャレ要素が全然なくて個人的には評価しようがない。というか論外とかそういうレベル。これは困った。

巻頭カラー『アヤシモン』賀来ゆうじ

 新連載。巻頭カラー、 “一九九〇年二月” と赤字のナレーションで始まるんですが、『孤狼の血』のナレーションってことだと思うんですよね。要するに『仁義なき戦い』。それっぽい雰囲気を出したいだけだと思ったんですが、読み進めてみたらこの「1990年」という数字がめちゃくちゃ大事なのであった。『孤狼の血』の1作目は1988年が舞台で、これは暴力団対策法が成立する直前の世界(暴力団らしい暴力団が存在した最後の時期)って意味なんですが、本作の1990年も暴力団的に意味深い時期を意味する……ではなかった。いわゆるジャンプ黄金期的な話でしたね。細かいことを言うと、ジャンプが最大発行部数を記録したのは1995年。ちょっとズレてますね。1995だと暴対法後の世界になっちゃうから、というのもあるけど、ジャンプの時期的に作者のこだわりがあった可能性の方が有力かしら。ただ、作者が1990年当時に熱心な読者だったとは思えないよなぁ。そこまで高齢じゃないでしょ。少なくとも本作の主人公のような年齢ではなかったと思う。
 とにかく、1990年のジャンプ読者が主人公。バトル漫画に憧れて自身の肉体をバトル漫画の住人のレベルにまで鍛錬したが、リアルでそんな肉体は役に立たない。そんな主人公がついに自分の居場所(=バトル漫画の世界)を見つける。これが初回の内容。荒唐無稽な設定ながら「居場所を見つける」のドラマが普通に感動的でもあったと思います。ここまで強くなくても似たような体験、感覚に陥ったことのある人は多いのではないでしょうか。運命とも言える趣味に出会う、とか。好きな人でもいいし。
 1990年の表現って映画とかだとめっちゃ大変で、そこが見所になったりするんですが、本作の場合、1990年を最も感じさせるのは少年ジャンプ……の裏表紙。「うわっ めっちゃ古い!」と感じさせられた。集英社だから当時のジャンプの裏表紙調べるのとか超イージーだろうし、コスパの良い演出だと思う。
 最大の驚きはマルシー連発で引用されるジャンプ作品。え、あんなのにマルシーって必要なの? ここらへんの基準詳しくないけど、「そのまんま出しちゃう」というインパクトを演出するためにわざわざ仰々しいマルシーを載せてる可能性……は邪推しすぎだろうか。今週の『ウィッチウォッチ』にマルシーがなかったこととの違いがよく分からない。
 漫画と同じ特訓して強くなる。ダイジェスト的に修行内容が描かれるんですが、ここはちょっとしたジャンプカルトクイズになってるのかな。全然分からん。1つ、映画『ベストキッド』が混じってたと思うんだけど、あれはジャンプ関係ない? それとも映画をネタにしたジャンプ作品が存在する? ちなみに『ベストキッド』は1984年。いちいち何年か調べることを強いられる……。
 『地獄楽』と比べると明らかに少年ジャンプ用にチューンアップしてきたのが分かる。分かるけど、だからといって直接少年ジャンプをマルシーして引っ張ってこなくてもいいのよ……と困惑w まぁ、こういう明け透けな引用感覚、旧作をそのまんま引っ張ってきて、それありきで新しい作品を作り上げる感じは今っぽい手法と言えるかもしれない。いや、こういうのももう既に10年以上は続いてると思うけど。それをギャグではなくやる意味ですよね。バトル漫画の引用をするバトル漫画をやる意味。しかも1990年。ジャンプ向けにしてきたけど、ジャンプ要素が強すぎて逆に客を選ぶような気もする。余計なお世話かな。

僕のヒーローアカデミア

 スターの本名、キャスリーン・ルーカスだったら面白いのに、とか余計なこと思いついた。まぁ、さすがにルーカスは強すぎるか。
 そんなスター。勝つことは諦めたが、最後の一線はまだ諦めてなかった。外の世界では勝てないが、体の中の個性因子(使い方あってる?)の戦いにシフトする。アイディアとして面白かったし、スターの個性が体の中で大暴れしてるのを直接的な絵で見せたのも良かった。AFOをあのままの姿で登場させられるのも効果的だったと思います。
  “反射が” “壊された” とあるんだけど、この反射は映画ネタってことでいいのかしら。反射が絵として描かれないからちょっと物足りない気もするんだけど。そもそも反射の個性をAFOが回収することがあり得るのかも自信ない。映画の最後、細部の記憶がない……。

『呪術廻戦』

 日車は天才。司法試験ストレート合格するような学習能力の持ち主なので呪術師としての飲み込みも早い。この手の話だと、特に理由なく適度に超強い人がポンポン現れてくれた方が面白いし、過去の術師って設定はそのためのものだと思うんだけど、日車の場合はしっかり「なぜ強いのか」のロジックがある。ここすごい良かった。学習によって呪術を短期間で会得した天才と、呪力の一切を失ってもそれなりに戦える虎杖(フィジカルお化け)の対比にもなってて熱い。逆に言うと、日車がいかに天才と言っても呪力ナシ虎杖に攻めあぐねるレベル、ということでインフレしすぎないバランスを気にしてるのかもしれない。
 そんなバトル。例の意味不明なバスタブが活用されるのでウットリしてしまった。最近はこういうオモシロバトルは『SAKAMOTO』がメインウェポンとして大活躍中だけど、本作もこういうの好きですよね。虎杖vs乙骨戦とか超良かった。
 からの虎杖の妙案。控訴があったかw 納得の気持ちよさはあるんだけど、控訴できるんだったらその説明をするべきだったんじゃない? いや弁護士を付けてない虎杖が悪い、とも言えるのか。言えるのか?
 前回の罪、パチンコのくだりがすげぇくだらなくて笑ったんですが、からの今回の疑いがクソ重い話なのでやられた。あの軽犯罪は意図的なフリだったのか。「なんでそんなことでせめられなきゃいけないんだ」的な印象を持つことを狙われてた。まんまとやられたわ。
 いや、「二審で話変わりすぎだろ」という疑問もなくはないのかも。
 幸か不幸か、その件に関して虎杖の中では完全に結論が出ている話なので裁判とかする余地がない。いや、あの殺人で問答無用の有罪判決ってのはちょっと無理があるというか、クソ裁判すぎる気もするんですが、まぁそこまで裁判要素を掘り下げられても焦れったいのでさくさくバトル突入するくらいがちょうどいいのかな。

Dr.STONE

 「どうやるんだ?」と聞かれての「杜仲茶」。このまどろっこしい感じ、リアクションを要求されてる感じがちょっとウザい。これは『鉄腕ダッシュ』にも感じるウザさ。変な異名とかいいからさっさと答え出せよ。そこ引っ張ってもしょうがねぇだろクソが……と日曜夜7時の愚痴。
 インターネットの作り方。「インターネットとは海底ケーブルのことである!」という簡略化が素晴らしい。シンプルなブツでのみ完結する話が分かりやすさの極み。実際はそんな簡単な話じゃないんだろうけど、その説明をされても分からないからねw
 ただ、「杜仲茶があれば海底ケーブルが作れる」からの実際に海底ケーブルが完成するまでの飛躍はいくらなんでも豪腕すぎた気もする。物量的に途方もないでしょ。まぁ、そういう極論めいた省略をするのが本作の良さでもあるんだけど。
 んで、いざ設計。そして月行きのメンバー選抜。「もう決まってるんじゃなかった?」とマジで思ってしまったんだけど、あれはクロムの妄想(想定)という話だったか。それと同じ話を繰り返すだけだとつまらなすぎるし、そんな無駄なこと本作がするとは思えないので、何か別のオモシロが来週あるんでしょうね。

『僕とロボコ』

 SNSでポエミーな投稿したくなる現象の話かと思ったら、アンミカ。あまりの具体名にたじろいた。混乱のあまり「これは案件って奴なのか?」とか疑ってしまったレベル。ケンコバが出たときみたいな「あれは何とかの番組でー」みたいな。違うんだろうなw
 ここまでドストレートな芸能ネタ、マジでめちゃくちゃ珍しいですね。個人的に困るのが、それほどアンミカを知らない。読者の間で共有されてるであろうと作者が想定するアンミカ像がピンときてない。知らないジャンプ作品のパロディやってるとき、他の漫画に興味ない人はこういう気持ちだったのかな……。いや、知らないなりに楽しめるバランスにはなってると思うんですが。

センターカラー『夜桜さんちの大作戦』

 肝試し。一般の肝試しがいる状況で親父探しに行く。かなり独自性のある状況だと思います。本作のことだからその一般人の中に何か仕掛けが……と期待したんだけど、なかった。いやこれはあまりに身勝手なガッカリではあるんだけど、一般人要素にそれほど意味がないなら全カットでよかった気もする。まぁ、来週何かあるという可能性もワンチャン。
 一話完結のお化け屋敷回っぽい雰囲気があるのに、大きな物語としてめちゃくちゃ重要なことしていて、それが今週のラストに進展を見せる。このバランスすごい良かったです。本作の魅力とすら思う。
 お化け屋敷の「曰く」。夜桜の二代目。すべてが家族の話に組み込まれてしまうのは本作の特徴ですよね。ここまで身内で話が済んでしまうのかなり珍しいと思う。「主人公の父親が実は大物だった」とかはあるし、そのままラスボスになったりもあるけど、本作は基本ずっと家族。
 そんな曰くの肖像画が物語のキーになってくる感じも良かった。いや、あの絵に何か直接の意味が生じるわけではないんだけど、あの二代目と対面することで話のフェイズが大きく変わる。
 そこに謎解きチックな話が加わるのが本作らしい。すきま風が実は伏線とか「そんな無茶なw」という話でもあるんだけど、理屈を用意せずにはいられないところに本作らしさを感じる。そういうの好きです。

『アオのハコ』

 母親似、父親似の話。 “お父さん何考えてるかわらかない人だからなぁ” “お父さん似なんだ” という会話があったけど、この「何考えてるか分からない」が本作の、というか千夏パイセンの魅力の本質にあるよね。何度も感想に書いてきたことだと思うので、劇中でそのものずばりの話が出てきてビックリした。
 車から守ろうとタッチ&接近。男の胸に肩が当たってしまって……という男性中心ラブコメの定番イベントの反転を行ってて笑った。「意外と筋肉あるやんけ」とドキッとなる可能性もありそうですね。ここは男性視点だからそういう場面じゃないけど。
 そんな不意の接触に対する反省。2人の間に違いがあって、一線を引かれる。大喜が “ずりぃ…” と軽くダークサイドに落ちそうなこと言ってるのがなかなかキモい。不意に自分勝手なこと考えてしまうのもリアリティだと思うし、この場面が有害とかそういう話ではないけど、そういうケースと紙一重な心理ではあると思う。
 夏休み。最初の土曜に図書館で宿題やっちまおうぜ集会。(読者が)知らない友人がぞろぞろと出てくるので少し面食らったw こういうタイプの青春感が出てくるのも意外だったな。あくまでも恋心と運動部の話だと思ってたので。まぁ、来週になったらそういう要素が出てくるかもしれないんですが。ただ、この何てことないクラスメイトとのワイワイしたやりとり、なかなか魅力的だったので、物語的な意味とかいらないのでそういう楽しさをもっと見たい気持ちもある。宿題の恨み節してるくだりとか、普通の学生っぽくて好ましかった。まぁ、雛がいるので、彼女にラブコメ火薬庫みたいな不穏さもあるんですが。

『SAKAMOTO DAYS』

 痩せられないけど、痩せないなりに調子が良い。バーサンの説明がめちゃくちゃ分かりやすかったし、「現状に即した戦い方をする」というのは「東京タワーにいるなら東京タワーらしい戦い方をする」という本作ではお馴染みのオモシロとも通じる話ですよね。せっかく東京タワーにいるのにいつもの必勝コンボを繰り返すだけの戦い方だと漫画としての魅力は弱い。劇中の強さの説明が漫画的な魅力と通じるってのが良い。
 さらに言うと、今戦ってる相手が潔癖(ちょっと違うけど)ってのも良い。 “せっかく綺麗に並べてあったのに…!” とバトルそっちのけで並べ直すくだりとか象徴的ですよね。彼の中には理想の形があって、それが崩れるのが許せない。太ってる状態だと戦えないと思ってた先週までの坂本と同じ。
 からの東京タワー鉄骨バトル。大コマの魅力が相変わらず圧倒的。あり得ないシチュエーションでのバトルはフィクションならではの魅力ですよね。『ラッシュアワー3』で真田広之エッフェル塔でジャッキーチェンと戦ってたけど、さすがに本作ほど飛び回ってないです。

センターカラー『あやかしトライアングル』

 前回までの本作を説明するページがあるんですが、めちゃくちゃ情報量少ないので笑った。いや、あれくらいシンプルなのが敷居低くて初見を呼び込むのには効果的なのかもしれない。
 本編。ラチカ風呂は笑った。ジーサンの悪戯とかそういうのかと思ったら、そんなこともなく、ぶっちゃけ何の意味もないですよね。とりあえずインパクトあって楽しい、それだけ! という勢い。
 ラブコメでは定番の「す……」。言い掛けギャグは定番すぎて今更感もあるんですが、本作だとオモカゲという独自性が加わるので最高。オルターエゴがそのまんまの形で出現するのが面白すぎる。面白いけど、本人からしたら不便極まりない体質ですねw
 そして、そんなオモカゲという爆弾を抱えているからこそ “またオモカゲが出たら困るし…” とすずの背中を押す一因になる。単なるギャグとして完璧なレベルだと思ったんですが、ちゃんとそれを踏まえて物語が進行する。それも本作史上最も重要なイベントへと繋がる。あのギャグからのギャップが素晴らしい。

 本編後は人物とかあらすじではなく、街の位置関係。めちゃくちゃ面白いなこれ。好きな作品全部でやってほしいレベル。

『逃げ上手の若君』

 三大勝の一角が落ちる……と思ったけどちげーわ。ズッコケ的な展開なんだけど、彼が生き延びた理由が「逃げ」なので納得するしかない。ただ強いだけではなく、逃げのスキル、逃げの重要性も理解してる。若のロールモデルとなり得る逸材ですね。若の逃げの才能は突然変異的な存在ではなく、有能な武将の中には当たり前に持っている人もいた、という安心。先人がいる頼もしさってありますよね。
 オモシロ兵法によるブレイクスルー。子供の突飛なアイディアに大人が舌を巻くだけだと陳腐だけど、間に吹雪という全うな知将を挟むことで嫌味のないバランスにまとまってたと思います。

 本編後の歴史コラム。諏訪大社の起源は「逃げ」であった、とするのが気が利いてる。

『PPPPPP』

 レイジロウ過去編。つまらないとは言わないが、陳腐というか割とどっかで見たことあるような話ではあるので、それをわざわざ1話丸々かけてやらんでも……とは思う。 “1度” “わざと ミスをして負けた” のくだり、『アンデッド』のダッシュで見たよね。最近はキャラクターを掘り下げるための過去編はコンパクトにまとめる傾向にあると思ってたんですが、本作は割とちょっと前のジャンプあるあるみたいな印象。
 てか、泣き寝入りするしかできなかったレイジロウがあまりに可哀想。周囲が全員悪人になっててあまりに不憫。まぁ、彼の孤独を示すエピソードだからそのくらい極端でちょうどいいのかもしれないけど。
 そんなレイジロウが今最も感じる不幸、不幸の根っこは母親。このお母親への渇望ならラッキーが満たすことができますよね。勝機とは言わないけど、「ラッキーなら救うことができるかも!」というワクワク。

『高校生家族』

 ヤンキー高に行き、見事に校風に染まった中学時代の友人、将暉。と同じめんどくさい字の将暉。結婚したそうですね。
 外部の人物に本作の狂った日常を俯瞰させることで本作の異常性を際立たせる。過去に何度も使われてきた手法だけど、今回はそのテーマが「不良」で、誤解というオモシロが加わり、さらには誤解の始まりがゴメスなので笑う。よりによってゴメスかよ……と脱力するんだけど、警察と因縁があるので納得しかないw
 冴えない少年が伝説のヤンキーとしての誤解を積み重ねていき、誤解が放置されたままフェードアウト、というのは『マグちゃん』も連想しますね。藤沢先輩の奴。あれはマグちゃんの変装を見て誤解するんだけど、本作の場合は当の本人が目の前にいる恐ろしさw 肩パン(腕パン)を思い出して激しく後悔するのとか笑ったわ。

『アンデッドアンラック』

 第2ゲーム。百人一首の否定者13人版。13人がそれぞれ一句詠むのではなく、13人それぞれについての句。この句は誰が考えたんだ……。
 見開きで出てくるのはすべて下の句なんですが、2行と3行のものがあるのでパッと見で何を見せられてるのか分かりにくい。状況を飲み込むまでに結構時間がかかった。あの見開きに面白そうな雰囲気を感じたからこそ読み飛ばすのに抵抗があったというか。一旦読み飛ばしてどういう状況か把握してからじっくり読み返すのが推奨されてる気がする。
 あと、どうせなら上の句も全部出してくれよ。まぁ、漫画的に違和感なく出す方法がなかった、という感じだろうか。あくまでも漫画の進行が最優先、というスタンスには理解しかない。ないが、無い物ねだりをしてしまうよなぁ(そんなあなたに作者のツイッター)。
 読み手はビリー。読手はビリー。仕事の最中にいつも通りアンディと会話をするので「今ゲームどうなってんの!?」みたいな混乱はある。ただ、本来のゲーム性は1ミリもない戦いなので問題ない。さすがに風子が札を取る前にビリーと会話するのはやりすぎだと思うけど。
 スプリングは風子が取ろうとした札を横取りする作戦。風子は殴られる際の接触でスプリングに不運を溜める作戦。ただ、不壊ガードがしっかり入ってるので触れねぇだろ。一応小さく風子のタッチ音が表示されてるのが本作らしいけど、あの状況でガードしながら触るってどんな高等技術なんだ。「殴られる=触られる=触る」というロジックの方が分かりやすいし、風子とスプリングの交流としてドラマチックだと思うんだけど、「いやぁさすがに風子死ぬっしょw」との折衷案ですかね。

センターカラー『破壊神マグちゃん』

 マグちゃんを笑わせたいの巻。流々ちゃんがみんなに相談、という始まりが珍しいですね。んで、主要キャラが代わる代わる笑わせるアイディアを披露する。ただし、錬イズは勉強のため欠席。
 作戦会議の際、キョーちゃんが描いた笑顔のイメージ図が可愛い。絵に描いたようなニッコリが可愛い。微笑ましい1コマではあるけど、「こういう分かりやすい笑顔じゃないよ」という前フリでもあったわけですね。「笑顔というとこういうの想像するじゃん?」という作者からの挑戦状。
 錬不在という話から代わりのツッコミ役としてミュっさまをご所望。錬とミュっさまのことツッコミ役って認識してたのか……。なかなか衝撃的な事実である。「ツッコミ役の錬がいると安心する」という部分を切り取って錬に伝えたらツッコミスキルを鍛錬してくれそうだ。空回りして関西弁を使い出す錬に流々ちゃんドン引き、錬ショック……などと妄想。
 そんなミュっさま案。人相として笑顔を再現する。解釈違いのくだりとかギャグなんだけど、先ほどのキョーちゃんの絵と同じで、オチを踏まえて読み返すとかなり味わい深い失敗例。 “だったら感情は関係無い” というミュっさまは間違っている。そして、 “マグ=メヌエクはこんな表情しちゃいけない…!!!” 。これらを踏まえた回答が最後に出てくる。ギャグをやっているようで、「笑顔とは」というテーマを丁寧に掘り下げている。さすがである。
 続いてウネさんの毒キノコ作戦も同じ。無理矢理笑わせても意味がない。顔を無理矢理笑顔にしても、心を無理矢理操っても意味がない。流々ちゃんが欲しい本当の笑顔とは……という話の流れ。
 んで、マグちゃんスマイルの撮影に成功。流々ちゃんは笑顔に見えている、彼女は笑顔が撮れたと納得している。この部分が物語的に重要ですね。深い。ただし、流々ちゃんはこの笑顔について “夕陽で感動したんだよ” と言っているが、これは誤解。マグちゃんの笑顔、その本当の理由は……という部分は勝手に読み取ってください、という余地の残し方がオシャレ。

『ウィッチウォッチ』

 生徒会登場。もうそれ『SKET DANCE』じゃん!!
 と思ったら本作は生徒会はベタを煮詰めたキャラなので独自性なのかな。『斉木』の野球部が似たようなベタ属性でしたが、本作のベタは「生徒会のベタ」ではなく、漫画全体のいろんなベタのごった煮になる。
 個人的には有能裏切り釣り目が一番笑った。ベタはベタだけど、かなり細かいじゃないですか。それが2番目(ベタが来ると身構えたのは1人目)なので最高。13kmや。
 そんなベタ生徒会をモイちゃんが一蹴。 “お前らが弱いんだろ!” って言ってたけど、鬼の末裔が常人相手に言っていいセリフではないよなw
 最後に生徒会長。これまたベタではあるんだけど、生徒会長にお兄ちゃん属性を持ってくるのが『SKET DANCE』やん……と別の意味でベタ。
 あと、散々ベタに対してツッコミを入れてたモイちゃんも、視点を変えればベタになる、という展開も面白かったです。深いというか、かなり鋭い指摘だと思う。「ベタな主人公ですみません」と身を切る篠原先生すごい。

ブラッククローバー

 団長の回想。本作にしては珍しく1話丸々回想に使って、本話のラストで時間が前話のラストに戻る。物語はまったく進まないんだけど、回想の内容が濃いというか、単純に登場人物が多い。ちょっと多すぎて忙しいw
 新しい情報は少なく、むしろ感情を盛り上げるのが主目的だと思うんだけど、団長のオリジンにナハトが濃密に絡んでくるのが最新版の黒の暴牛誕生譚という感じで熱い。最新版というか、さすがにもうこれで完成版なのかな。このあと「実はもう1人」とか無理でしょ。
 スカウト行脚を見開きで見せるのもかっこいいし、感動的なんだけど、チャーミーだけ感動的な要素が1つもないので笑った。
 激エモ大集合なんだけど、それを独り俯瞰してるナハト。クールを気取るんだけど、彼にマスコットキャラみたいなのが複数懐いてるって絵面がずるいよな。ツンデレ感。

『マゲルちゃんのおつかい』臼井彰一

 読切。ジャンプショートフロンティア。作者は2014年に目次企画、2016年に通常の読切を載せてる。
 本編。タイトルの通り、子供のおつかい。超能力者というフックはあるものの、それ以上にショートフロンティアらしい要素としては、主人公のマゲルちゃんが喋らない。不本意なミッションを与えれた子供のリアリティも感じるし、何より子供を見守る大人の感覚ですね。それこそテレビとかで見てるのと似た距離感(あれは喋るだろうけど)。
 そんなマゲルちゃんがついに……というラスト。この作品の話法自体がギミックになってるのがショートフロンティアらしい衝撃のラスト感であり、そもそも長い読切だと実現しにくい手法だと思う。それ自体はめちゃくちゃ面白かったし、マゲルちゃんを見守る感覚は存分に楽しめたんだけど、冒頭からナレーションが饒舌に喋りまくるので少し台無し感もあった。コンセプトの良さが崩壊してるというか、最初にめっちゃ喋るので、そもそもの「マゲルちゃんは喋らない」に気づきにくい。ナレーションの内容もマゲルちゃんの内心に寄り添いすぎてるし、回想とか挟む始末なので、ほとんどマゲルちゃんが喋ってるに等しい。
 なので、中盤の犬やジーサンとの交流の部分が一番面白かったかな。いや、オチも面白かったか。ただ、超能力のくだりは、少し取って付けた感があったかも。別になくても成立するよね。まぁ、なくても成立する話をあえてしてる良さもあるんですが。超能力者の日常ものって割とよくあるし。
 何が良かったかと言えば、さっきも書いたけど、喋らないマゲルちゃんを見守る感覚。マゲルちゃんは他人と濃いコミュニケーションを交わさないので、だからこそ一方的に見てるだけ、彼女の一挙手一投足を固唾を飲んで見続けてしまう。無愛想に思えたけど、彼女の中で大きな成長があるので、「良かったねぇ」とニコニコしてしまうような良さ。萌えキャラとは違う可愛いが感じられる。
 あと、厳密に言うと作品外の要素になるんだけど、最後の柱、 “不味くても「知って(たべて)嫌う」それがきっととっても大事!” がめちゃくちゃ良いこと言ってたと思う。もちろん作品の要約だから作品の良さと言えるんだろうけど、「知って嫌う」、これは良い言葉やで。

『NERU-武芸道行-』

 増ページ。しかし最終話であった。そういや、最終話にページが増えるパターンも最近はありましたね。油断してた……。『レッドフード』よりは人気があったと取るべきかもしれないけど、本作は単行本に電子版の連載分を収録する都合があるので、そこらへんの兼ね合いも多少はありそう。まぁ、人気がなかったら電子版連載は全無視されるだろうから、それなりに人気はあった、評価はあった、と見るのがよさそう。
 本編。5年後。なんだけど、扉のページで学園生活がダイジェスト的に描かれていて、そこでのネルの姿が本話のオチへのヒントになってましたね。全然気づいてなかったw
 んで、5年後、みんなはどうなってるのか、の羅列。『ハイキュー』最終章みたいな感じですね。ただ、「何になるか」の部分がめちゃくちゃ面白かったし、何なら『ハイキュー』よりも良かったと言えるかもしれない(この部分に関しては、ですよ)。
 ということで、ネルが何になったか。ジョッキー。現代に息づく武術を活かす職業としてこのチョイスが鮮やか。アイディアとして素晴らしすぎる。ジョッキーの体重制限でヒョロヒョロなので女性と戦ってもフィジカル的なアドバンテージは少ない。何より体に関わらず戦えるのが武術の良さだろ、と結論を出すのが本当に良かった。最終回用に温めてきたアイディアなんだろうなぁ、と激しい納得。
 ジョッキーのアイディアがマジ素晴らしかったんですが、ワガママを言わせてもらうと、ネルとみきおの絡みが最後にもう一度見たかった……。もちろん本話はなかなかネルが出てこない構成が味噌なので、そんなことをする余地はないんだけど。みきお好きだったし、ああいうキャラを出せるのが本作最大の魅力だとすら思ってました。もちろん本話にもそういう良さは出てましたけどね。

『マッシュル-MASHLE-』

 まさかの巻末掲載。先週もいろいろイレギュラーな掲載位置が多かった印象だけど、『マッシュル』ケツはさらに驚く。まぁ、今のジャンプは最終話をケツにしない法則があるので、そういう兼ね合いもあるんでしょうね。「次号センターカラーだから今週は頼むよ」みたいな。
 本編。磁石魔法。『ONE PIECE』と時期ズレてよかったね。危ないとこだったぜ……。ただ、 “人に磁力を持たせるなんてズリィだろ!!” のセリフは「この人キッドのこと知ってるのか?」とか思ってしまったw
 そんな覚醒磁石魔法の打開策。相変わらずふざけてるようで理にかなってる方法なのが良い。ギャグとして笑うんだけど、同時にバトル漫画として唸る。ギャグで何でもありにしないから本作は偉い。だからこそ筋肉大喜利が毎回新鮮に楽しめる。それに対して “なにこの攻略の仕方…” “こわ…” とツッコミが入るのも最高。ドットくん、良い仕事をしすぎだ。もう戦わなくてもいいくらいの活躍をしてる。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 11/15は第一回サミット開催日ということで、ジャンプの会議シーン特集。これは面白い。絵として見比べられるのが良い。
 見開きであることを活かした『BLEACH』『ブラクロ』あたりが王道って感じですかね。
 見開きを2段にして、円卓を斜めに見下ろす構図にした『アンデッド』もこの並びで見るとめちゃくちゃ独自性あって好き。当時はそれほど気になってなかったけど、かっこいいことしてるやんけ……。
 あと『鬼滅』。一対多で、左ページがスカスカというのがこれまた独自性あって最高。こういうの見ると漫画でしかない魅力があると痛感する。

次号予告

 伊原新作。超楽しみ。『ONE PIECE』も休載明けなので目次コメントが楽しみですね。これで実写ドラマの話してたら笑うんですが。

目次

 ジャンプSBS。『アオのハコ』読切企画時、ヒロインは写真部という可能性もあったらしい。絶対運動部にしてよかったと思う。ヒロインだけ文化部ってのは今の本作を知ってしまうとあり得ないし、そんなアイディアが出たこと自体信じられないw

ギガ連載時に駆け込みでデジタルに転向したので長谷川先生の気持ちが超分かる
(『呪術廻戦』)

ジャンプ+長谷川智広先生のデジタル作画奮闘記が笑えて切なくて面白いです!
(『ウィッチウォッチ』)

 当たり前かもしれないけど、漫画家ウケがめちゃくちゃ良いのですねw 個人的には結構な比重を占める脇役としてミウラ師匠が出てくるのが大好物でした。しかもミウラ師匠として出てくるのが最高なんだよなぁ。佐伯先生も昔はああだったのかもしれない……と思いを馳せるのも一興。

愛読者アンケート

 新連載について。からの『地獄楽』。連載当時からプラスで読んでました。初回から読んでた気がするけど、なんで読んだのかは覚えてない。
 漫画以外の雑誌について。月に何冊読むか。パラ読みとか、連載を数本だけ読むのを含むと、月21以上行くと思う。サブスク利用だから計上していいのか怪しいけど。雑誌追いかけるだけで時間が潰れるので、本を読まなくなってしまった……。

総括

 『生徒会役員共』ロスがつらい。つらくなるのは分かり切ってたので24時前に終わらせられたらよかったんだけど、無理に決まってんじゃん……。

 今週のベスト作品。『NERU』でいいかな。ジョッキーには痺れたぜ。
 次点は新連載と読切。あとは『呪術』かなぁ。

 今週のベストコマ。『マグちゃん』より “今のあたしは幸せだよ” 。マグちゃんの笑顔ではなく流々ちゃんの方。

 最後に今週のベストキャラ。こちらー。

  • 剣持弓弦 『ウィッチウォッチ』
    • 2人目のベタがそれかよ、という意外性。まぁ、13kmそのまますぎるので、ベタとしての独自性ないのではないか(矛盾)、という見方はできるかも。

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