北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の感想

 観ました。楽しみだけど、さすがに『スパイダーマンNWH』ほどの期待ではないよねぇ……とか思いつつ過去作を観てたらグイグイとMCU熱が高まってしまい、気づけばストレンジが出てこない作品も含め観まくってしまった。そんなこんなでMCU感度ビンビンの状態でいざ劇場。膀胱の心配も特になく(2時間ちょい)、楽しみしかない!!
 MCU歴としては、映画は全部劇場で観てて、ディズニープラスのドラマシリーズも全部観てます。映像作品はネトフリ版を除くと全部リアタイで観てるのでそこそこ優等生なのでは……(フラグ)。

復習の成果

 熱心に復習しまして、楽しかったからいいんだけど、「新作にモルド出る余地ある……?」という不安はあった。キャラ的にも、ドラマ的にも、強さ的にもインフレについてこれないチャオズ状態なのではないか。
 結果。モルド出てこない!! いや、出てきたけど別宇宙の人でした。マルチバースのサプライズラッシュの中の1人って感じでしたね。まぁ、たしかに出てきた瞬間にうまいことテンション上がる登場だったので、ポテンシャルの不安を考えるとめちゃくちゃおいしい役だったのかもしれないけど、正直なところ……いなくてもそれほど支障はないレベルの役だった気もする……。
 ストレンジの精神的、ヒーローとしての成長を描く上で不可欠なキャラクターとか真面目に考えたこともあったけど、モルド以外で全然やれてたわ。つれぇわ。あのストリートバスケおじさんの被害は何だったというのか。MCU史上最も思わせぶりなだけで何もなかったポストクレジット要員、としてギネス認定できそう。

今週のサプライズ:マルチバース

 噂を通り越してほぼ確定していた某プロフェッサーは登場。それどころか『ホワットイフ』でもお馴染みキャプテンカーターまで登場。さらなるサプライズとして某4のリーダーさんまで登場。これは本当に驚いた。フェイズ4の隠し玉というか、切り札みたいな感じで単独作が作られてデビューすると思ってたので。
 ただ、別の意味でもっと驚いたのがインヒューマンズ。鳴り物入りでドラマシリーズ化されたけど、結局観てないままだった奴……! そういうのも拾ってくるのか。『ノーウェイホーム』のマット枠って感じですかね。
 驚いてたら皆殺しにされる、というのでこれまたビックリ。よその宇宙だからって扱いが雑すぎません? マルチバース便利かよ。
 まぁ、すごいサプライズ要員だし、情報の詰め込みがえぐいんだけど、結局のところ「別の宇宙のヒーローらしいよ?」くらいの認識で問題なかったと思う。某プロフェッサーも含め、我々が知ってる人とは別だしねぇ……という感じで穏当。これはむしろ良かったと思います。このくらいで充分よ。『ノーウェイホーム』みたいなのは本当にイレギュラーだから。

今週のサプライズ:非マルチバース

 ミッドクレジット。誰かは知らんけどシャーリーズセロン出てきた!! マジかよ。急に出てきた。『ワイスピ』に続いてMCUにも出ちゃうのか。大物すぎて本当に驚いた。さすがにMCUだとガチガチのアクション路線って感じではないだろうけど、まぁそういうのは『オールドガード2』を楽しみにしましょ。
 そんなセロン。ダークディメンションっぽいところへと導いてたので、これはドルマムゥさん再登場の線もあるのかしら。コミックのこと全然知らんが。ストレンジと再会したドルマムゥの顔は見てみたいw

ライミ印

 とにかくサムライミだった。MCU初のホラージャンルってのも驚きだが、それ以上に「ジャンル:サムライミ」だった。正直『スパイダーマン』くらいしか観たことないんだけど、それでも分かるほどの濃厚ライミ印。ここまでのライミ映画になるとは思わないでしょ……。
 過去のMCU作品でも、監督が代わって作品の色が大きく代わった単独2作目(3作目)ってのはたしかにあった。『ウィンターソルジャー』とか『ラグナロク』とか。それでも本作ほど監督の我が強いのは初めてなのではないか。『エターナルズ』にも「クロエ印のマジックアワーじゃん」と笑ったんですが、本作はそれどころではなかったと思う。ポストクレジットで何が出るのかワクワクしてたら、まさかのブルースキャンベルで「終わった!!」。子供がガチで怖がってた以外は静かな劇場だったんですが、この最後の最後で笑いが起きてました。不意打ちって意味も強いんだろうな。
 ホラーで、ちょっと古臭いけどそれがコミック映画としてチャーミングで、それでいてアクションはめちゃくちゃ良い。ついでにジャンプスケアも忘れてないぞ……からのゾンビなので笑った。いや、予告にも出てたから存在は知ってたけど、がっつり味方サイド、というか主人公としてゾンビストレンジが出てくるとは思わないでしょ。てか、劇中では1日くらいしか経ってないと思うんだけど、死体腐りすぎじゃね? 土でもないとこに埋めたのに腐りすぎじゃね? とか思うことはあるけど、完全に様式美としての迫力に負けたわw
 ホラー要素もそうなんだけど、個人的にはやっぱ『スパイダーマン』の人なので、冒頭で結婚式が出てきた瞬間に笑いました。またヒロインが別の男と結婚してる……。また花嫁泥棒するのかとハラハラしたんですが、しなかったし、最終的にもストレンジがクリスティーンと結ばれて終わりとかじゃないのは本当に良かった。別宇宙のクリスティーンと見つめ合ってるときはヒヤヒヤしまいた。あれが新人のバットマンだったら流れでキスしてる。
 そんな結婚式。外から悲鳴が聞こえたので、ストレンジがいそいそと準備をし、ニューヨークの街へと飛び出していく(それもジャンプ&落下)。この場面が『スパイダーマン』すぎるので感動してしまった。『ノーウェイホーム』効果もあったと思うけど、不意打ちで泣きそうになったレベル。
 ライミ要素は最高だったけど、1作目のドラッギーな映像が大幅に減ったのは少し残念でしたね。マルチバース間の移動がそうだったのかもしれないけど、そこまで尖った感じではなかったと思う。

混沌としてるっぽいけど意外とシンプル

 案外分かりやすい話だったと思う。ストレンジに寄り添い続ける一本道で、各キャラの目的もハッキリしてて、特にワンダは目的に対して常に最短距離で詰めてくるのでとにかく話が早い。情報量がヤバかったのに、120分ちょいで終わったのは奇跡的だと思うんですが、たしかに振り返ってみればこじんまりとしたストーリーだったのかもしれない。そんな気もしてくる。理路整然としてるんですよね。情報量マシマシなのに。

ウォン

 最初から最後まで至高の魔術師。これが良かった。イヤだけど絶対ストレンジに返上する話になると思ってました。それが逆にストレンジがウォンに敬意を払うようになって……とストレンジの精神的成長を描いたのが素晴らしかった。
 『ノーウェイホーム』に続いてストレンジが子供の協力をする話だったけど、本作はそこがメインで、チャベスを守ることでストレンジがヒーローとして成長する。ここらへん非常にスマートでしたね。
 ただ、『ノーウェイホーム』でのピーターの活躍を見てストレンジは考えを改めた、ヒーローとして成長したんじゃないの。だったら救わないといけないと人がいたのではないかい……というのは次。とにかく、ウォンがスーパーヒーローとしてかっこよく活躍したので最高だった。刀持ち出した場面では思わずガッツポーズですよ。

スカーレットウィッチ

 本作、めちゃくちゃ面白かったし、大好きな作品なんだけど、ワンダの扱いに関してはめちゃくちゃ不満があるし、普通に欠陥だと思うし、それが本作の根幹なのですべてが台無しと言っても過言ではないのでは……と未だに判断に困ってます。
 『ワンダヴィジョン』をやった上で、いきなりヴィラン堕ちはさすがに酷すぎるでしょ。省きすぎだよ。省かなかったとしても、『ワンダヴィジョン』のクライマックスが「悪役にならないで」という話で、そのからワンダが脱却してほろ苦いが感動的なハッピーエンド……だったじゃないですか。それを続編で「やっぱ悪役だわ」ってなるの雑すぎる。
 『ワンダヴィジョン』のポストクレジットでダークホールド読んでる一応ね……という話なのかもしれないけど、ヴィラン堕ちの説明あれだけなの? さっきも書いたけど『ワンダヴィジョン』という作品全体が描こうとしたものと齟語がありすぎる。『インフィニティウォー』『エンドゲーム』で深い傷を負ったワンダに寄り添う話だったのに、いきなりアレか……。
 てか、予告でストレンジに対して「あなたはヒーローで私は悪役なのは不公平じゃない?」みたいなこと言ってたけど、普通に正論にしか思えない。予告だからそれを覆す何かがあると思うじゃない。ストレンジが救うか、折り合いをつけると思うじゃない。
 そもそも、「悪役は倒すんじゃなくて救うんだ」とした『ノーウェイホーム』から悪役の扱いが後退してないか。最後に一瞬ライトサイドに戻って自己犠牲……って『スパイダーマン2』だよ。もうあれから18年経ったし、トムホピーターがその問題をも解決してくれたのに。わざわざサムライミが出てきてコレか……。
 可哀想なドラマ背負いすぎなワンダに対しての仕打ちがああなってしまうのは本当に残念。そこは救わないんだ。ソウルストーン死亡組より全然酷い扱いだと思う。悪役にするのは別にいいけど、するならするでもうちょっと掘り下げてくれてもいいじゃない。

フェイズ4の不遇女性闇堕ち問題

 わざわざ見出し付けるほど話題は変わらないんだけど、これは前から思ってて、結構ヤバい予感もしていた。それが今回最悪の形で実現してしまった。『ファルコン&ウィンターソルジャー』のシャロンや、『シャンチー』のシャーリンは大丈夫なのだろうか。不安しかない。『ブラックウィドウ』のエレーナは何とか救われたので本当に良かった。偏りすぎってのもあるけど、正直ちょっとワンパターンみたいな感じもあるので単純にシリーズモノとしてもヤバいと思う。どれも最後にワンシーンだけ「実は……」と付け加えてるだけなんだけど、正気か?

スカーレットウィッチ

 困ったことに本作の最強ヴィランとしてのスカーレットウィッチも好きなんだよなぁ。エリザベスオルセンの演技が良いってのもあるし、最強キャラがとにかく最短距離で目的を実行してくる感じが本当に楽しい。『インフィニティウォー』におけるサノスみたいな「仕事はえぇなオイ」という痛快さ。
 『ワンダヴィジョン』が長ぁぁい「スカーレットウィッチオリジン」だったこともあり、エリザベスオルセンが全編コスプレしてるだけでもはや感動に近いものがあった。チャベスもそうだけど、一見バカバカしいビジュアルを「アリ」にしてしまうのが本当にうまいよね。
 籠城した相手に穴を作る方法が、『エイジオブウルトロン』でもお馴染みの背後から忍び寄るマインドアタックなのも良かった。あのとき以上にホラーよりにチューニングされててパワーアップ感もあるし、「あれ実際に近づいてるわけじゃないんだ」という発見もあった。
 絶対に勝てない相手に対し、チャベスマルチバースパンチで最終目的地に連れて行く、という逆転の発想も面白かったし、悲しくも感動的で泣けたんだけど、「えっ これで終わり?」っていう。もうちょっと何とかならなかったのかなぁ……。

個人的な結論(折り合い)

 全部『ワンダヴィジョン』が悪い。なーに再会を誓った家族との別れでワンダの成長を描いたハッピーエンド風にしてくれとんのじゃ。「他の作品でヴィランにするから」という発注があったならもっと丁寧にやれや。そもそもニセトロの件があるから『ワンダヴィジョン』のこと信頼してないんだよなぁ!!
 ということで、『ワンダヴィジョン』が悪い。ポストクラジットのワンシーンで処理するのはさすがに問題がありました、ということで。まぁ、そっちが不完全なら本作でもうちょっと補完するとかできなかったんですかね。そういう連結していくのがMCUの魅力なんじゃないのですかい……と非常にモヤモヤが残る。

予想される『ワンダヴィジョン』未見組の反応

 未見組が「ワンダどうしちゃったの……」と困惑するのは分かる。分かるけど、「『ワンダヴィジョン』観てないと分からないんだろうな」と思われるのにはとても違和感というか、観ても分からないんだよ……。

アース616

 ミステリオは正しかった!! 「サノスは正しかった」に続くマグカップ作ってくれ!!(ふざけた感想を書いて心の平静を保つ)


 終わり。面白かったなぁ。面白かったんだけどなぁ……という何とも困った作品であった。けどなぁ、ホント良いとこはめちゃくちゃ好きだから年間ベストとかにも入れるかも……いやけどワンダが……。

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