北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『ワイルド・スピード ファイヤーブースト』の感想

 観てきたよ。ジャスティン・リン大好きなので正直心配も大きかったけど……思ってたより全然良い!!!

明らかに最終章の始まり

 オープニング、『MEGA MAX』の振り返り映像と称した歴史改竄w あそこまでハッキリ「ダンテはこの車に乗ってるよ!」と特定してくるとは思いませんでした。観返しながら「この車だったらダンテ乗れそうじゃない?」とか考えたんだろうなぁ。微笑ましい。
 タイトル出てからの本編。8の字ドリフトを決めてる車からドムが降りてくるも、右側。運転してるのは実は……という開幕が本当に素晴らしい。ドムからの世代交代(ドムの時代の終わり)を意識させる意味でも象徴的なオープニングだったと思います。
 からのバーベキュー。いきなりバーベキューで始まるサプライズだったわけですが、そこから怒濤の懐古モード突入。ブライアンの写真が出てくるだけで泣きそうになるんですが、気づけば「See you again」のメロディが流れてくるので泣く。感動ももちろんあるんですが、これはもうパブロフの犬とかそういう類。いやしかし、「See you again」を最終作まで温存しなかったのは意外とも言えますね。物語の終わらせ方も気になるけど、やはりブライアンをどうするのかも気になるので、その気になる材料が一つ増えた形。

セルフオマージュ

 としか思えないアクションやモチーフが多かった。ローマでの大玉転がしは、劇中で『MEGA MAX』の金庫を思わせると言及されたけど、それ以外にも『SKY MISSION』の飛行機からの投下や『ICE BREAK』の潜水艦など。『EURO MISSION』はクライマックスの高速(?)あたりだろうか。最終章であることを前面に打ち出した仕掛けだったと思います。
 ダンテが『MEGA MAX』由来であることもそうだけど、全体的に『MEGA MAX』以降の作品群を振り返る要素が多かったと思います(ドラマ面は除く)。シリーズが今の形になった起点は『MEGA MAX』にある、という認識は正しいというか、私もそう思う。ブライアンが警察やめて潜入操作要素がなくなったんだよね。

ダンテ

 モモアマンことジェイソン・モモア演じる悪役のダンテ。とにかく最高。本作最大の魅力はここだと思う。まさかこんないきなり出たキャラが最終章の悪役であり、ラスボス(たぶん)にふさわしいと思えちゃうとはな……。
 本作を観るまで気づかなかったけど、本シリーズの悪役ってクール系がほとんどだったじゃないですか。それが本作では一気にサイコパス(ソシオパス)系に振り切れる。『ワイスピ』のヴィラン像としても新鮮だったのに、そこにギャルいバイブスを放つモモアマン、という濃いめの味付けがされることで唯一無二の魅力が生まれてたと思います。

サイファ

 ダンテの登場は白眉だが、代わりにサイファーさんは犠牲になった……。『ICE BREAK』以降はシリーズ完結に向けたラスボスとして用意されたキャラだと思ってたんですが、なぜかポッと出のキャラにその座を奪われてしまった。悲しい。
 ただ、ダンテがサイファーの部下を奪う、という一連の場面はダンテのキャラクターを端的に示していて素晴らしかった。家族を利用して脅し、仲間を奪う。結局ダンテの話になってしまっている。

エイムス

 本作の「敵が味方になる」要員……かと思いきや。シリーズのお約束を破るサプライズなんですが、それがダンテのキャラクターとマッチしてるから面白い。すべてがダンテの魅力へと収束していくw
 知らなかったんですが、エイムスを演じるアラン・リッチソンってドラマシリーズでアクアマンを演じてるらしいですね。アクアマン同士で仲良くしやがって……という楽屋落ちだったのかw

ワイルドスピード インフィニティウォー」

 最終章の前編(もしくは1作目)ということで『アベンジャーズ インフィニティウォー』を踏まえたような構成になっていたと思う。膨大に増えたキャラクターをさばくため、世界各地に散らばり、それが集まらないまま、そして大きな敗北を喫したまま作品が終わる。現在の巨大シリーズの完結編としてはこれが最適解という判断なのだろうか。まぁ、『インフィニティウォー』よりもとっちらかってたと思いますけどね。
 てか、相当とっちらかってた。たぶん過去最大。やはり撮影直前に監督交番というゴタゴタが悪い方に影響したんじゃないかな……。ジャスティン・リンが復帰しなさそうなのは悲報だが、次作(以降)はもうちょっと計画的に作られるといいな。

特に意味のないファイトシーン

 脚本がとっちらかってるよりも個人的にはこの方が気になった。活躍する余地のないキャラクターがファンサービスのためだけに喧嘩してる場面が多かった印象。ローマンとテズの喧嘩、そしてラリるハンのくだりとかちょっとよく分からなかったな……。
 デッカード再登場の大立ち回りからの即退場。あまりにあっけない退場だったけど、あれは「ママが危ないだと!?(イソイソ)」というキャラクター表現になってるので受け入れられた。ドムのファミリーに協力するというよりは、自分のママのために戦う、という落とし所も作り手側の苦心を感じるw そもそもハンを殺してないのでややこしいですね。
 意味のないファイトシーンという意味では、レティとサイファーもそう。本作は「ついにシャーリーズ・セロンがステゴロ!!」とテンション上がったんですが、レティとのくだりはちょっと意味分からなかったな。もちろん2人が戦ってる絵面は最高なんだけど。

柿の種

 まさかの続投で笑った。時系列で考えるとハンが東京に行ってからは、すべての作品で柿の種を食べてることになりますね。『TOKYO DRIFT』『ジェットブレイク』『ファイヤーブースト』の3本。東京でめちゃくちゃ気に入った、という可能性が濃厚……!
 実は東京滞在中にジゼルが買ってくれた思い出の品……という無から生み出した説はどうでしょうか。あり得そうな説としては、日本に住んでるエルからの定期便説。てか、エルは本作にも出てほしかったな。

キャラクターを殺すのはやめてほしかった

 前作『ジェットブレイク』は最近のさ作品では珍しく主要キャラが誰も死なないのが良かったんだよなぁ(回想で父トレットは死ぬ)。一方、本作。最終章だから仕方ないのは分かるけど、ジェイコブはまだ歴史も浅いんだし……とジェイコブが一番ショックだったな。逆に言うと、ローマン一行は「まぁ生きてるんでしょ?」と心のどこかで思ってる節がある。ただ、これであっさり生きてたら『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』におけるチューバッカみたいで困った話になるので、何かしらちゃんとした理屈があるといいなw
 ジェイコブとリトルBの珍道中は楽しかったが、ちょっと軌道に乗るまでに時間がかかった印象。ただ、リトルBの飛行機苦手発言は本作で一番笑いました。

メドウ・ウォーカー

 飛行機の客室乗務員ね。これは事前に知らないと気づけないやつ。もちろん感動的で良かったんだけど、絡むのがジェイコブとリトルBだったのは歴史が浅くて(ブライアン引退後のキャラなので)少し惜しかった気もする。まぁ、急遽カメオが決まったのだとしたら仕方ない。

メインディッシュはカーアクション

 ファイトシーンが意味のない賑やかしだったのは残念だけど、終盤はこれでもかと車に偏重するので嬉しい。『ジェットブレイク』のクライマックスがトレーラー強盗とやってることが変わらなくて感動したんですが、本作は『EURO MISSION』くらいの規模に戻った、という感じですかね。一番ちょうどいいカーアクションはあれくらい、という判断なのだとしたら、めっちゃ同意します。
 逆にトンデモ路線のカーアクションとしては、ローマでの爆風とのスピード対決とか面白かったですね。爆風の境目を視覚化……!

それでもジャスティン・リンが恋しい

 ルイ・レテリエには感謝の気持ちでいっぱいだし、このまま最終作まで任せる気持ちに落ち着いたけど、やっぱりジャスティン・リンがなぁ……と後ろ髪。本作も良かったけど、比較論としてはジャスティン・リン作品の方がアクションの見やすさ、情報の整理整頓のスムースさが上だったように思う。
 この際ジャスティン・リンが監督復帰するとまでは期待しないから、せめて最終作でカメオ出演してくれ……。東京でハンの危機を救う謎のアジア系くらいのカメオでいいのよ(贅沢)。

サプライズの2人

 やはりジャスティン・リンの方が好みですね……とか冷静ぶったスタンスだったんですが、最後のあの2人には「嘘でしょ~~!!?」とぶったまげた。チョロい。
 ジゼルは分かる。いや、こっちの方が劇中の理屈では分からないんだけど、ハンが生きてたんだからまだ分かる。本作でもノーバディが不在だったので、ノーバディの暗躍によってジゼルが表舞台にカムバック、とかがあり得る線だろうか。いや、そもそもあの死に方は……。
 てか、ガル・ガドット、『シャザム2』でもサプライズ要員でしたね。最近こんなのばっかりw まぁ、次作ではハンとのイチャイチャ期待してますよ。
 からのホブス。これに関してはマジで予想外。ジゼルは「やりかねないな」くらいは考えたことあったけど、ホブスは「もう無理」と本気で諦めてました。信心が足りなかった……。


 過去のツイートにあるように信心が足りない。ヴィン・ディーゼルとロック様の関係修復に関してはジョン・シナが絡んでる説もありそうで感謝の念が増すんですが、そんなジェイコブが本作で死んだのがやっぱ悲しい。まるでジェイコブがホブスの代わりに投入されたキャラクターみたい印象が増してしまう……。ここも「実は生きてた」パターンになるのだろうか。
 とにかくホブス復帰。デッカードがママのために別行動中なのでやはりそこと組むのか? そうなると「エティオンってどうなったんですかね……」とか考えてしまう。もうこの際だから次作ではブラックスーパーマンことイドリス・エルバにも参戦してもらうしかないなw

もうサプライズのネタ残ってない問題

 次作が最終作ならそれでいいんだけど、もう1本増えるみたいな流れじゃないですか。そうすると、次作のサプライズ、もしくはポストクレジットどうするのよ。
 こうなると、いよいよマジでブライアン復活が現実味を帯びてきたのかなぁ。かなりデリケートなので、慎重に扱ってほしいし、『SKY MISSION』の奇跡はそう簡単に再現できないと思うんですよね。ただ、ホブス(てかロック様)来ちゃったらマジでブライアンしか勝てる要素ない気が……。どうせだったらジャック(ブライアンの息子)も一緒に出てきてほしいな。


 終わり。書き忘れた感想としては、リオのストリートレースのあの人が出てきたのが嬉しかったり、逆にエレナの妹は「分かるわけないだろ」と笑ったりしました。困ったら兄弟姉妹出すよなw まぁ、エレナの死を風化させない姿勢は偉い。

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 『ジェットブレイク』は傑作。ジャスティン・リンは最終作でカメオ出演するべき(しつこい)。