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『八乙女×2』28話の感想

八乙女×2 - 氏家ト全 / 【第28話】夏休み、勉強合宿、受験生 | マガポケ

 地震と台風大丈夫ですか? 大きめの予定ある人にとっては散々なお盆休みでしたね……。
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第28話「夏休み、勉強合宿、受験生」

 4コマが5ページ、ショート漫画が7ページの計12。4コマが5ページ(つまり左ページ終わり)なの珍しいですね。まぁ合計が変わらなければ別に意味はないか。

 前半。夏休みの勉強合宿に来ました。受験生のついでです、という状況説明が完全にサブタイの羅列。独特で面白い。やる気がないネーミングとも言えるが。
 引率役は本木ラン。合宿先は本木家の「謎に顔が広い」おじーちゃん。表現が前回と同じなところにこだわりを感じる。便利キャラとしての金持ち属性は前作で出てきたので、意識的に違う理屈を用意した、ということだろうか。引率役がアユムの姉なのは今後高校進学後もお世話になれる(先生だと無理)、という今後の計画も透けて見えるかも。……いや、八乙女世代が高校になったらじーちゃんが手配してくれたロッジに泊まりに行くくらいなら引率は必要なくなるのかもしれないが。
 とにかく大勢が集まったことの顔合わせ。かつ違和感についての言及。お泊まりは去年もしたが、メンツが増え、学校行事でなくなる。たしかに少しずつの変化がありますね。お出かけイベントの対象年齢が徐々に上がっていくのも本作のリアルタイム進行の醍醐味だと言えそう。そんな中、カイが女子に混じっても大丈夫な理由として無害性(弱そう)が出てきたのはちょっとリアル。フユリらしいギャグではあるが、実際でも結構大事な着眼点というか、こういう関係性の男女混成グループはありそう。泊まる際にいろいろ配慮は生じるだろうが。
 本木ラン。てっきり劇中最強格のボケキャラとして開幕から大暴れすると思ってたんですが、意外としっかりしてる。というか引率役(教師役)を普通にこなす。妹とその友人だけじゃないから、というメンツの関係もありそうですね。あとは引率役としての責任感。思いの外ちゃんとした大人のお姉さん(中二視点)してるのでちょっと新たな魅力を感じた。単なる下ネタだけじゃないの強い。最初にホシノに翻弄されるネタがあったのも全体の印象に大きく影響を与えてるというか、単に格上の存在ではない、という距離感。
 その後も目の前でハルルの下ネタが繰り広げられたり、普通に頼れる教師役を演じる……んですが、8コマ漫画の後半でついに彼女がオチ担当。単なる耳年増的な興味なのか経験者は語る的な説得力なのか判断に困るw まだ相手のことをよく知らない、という距離感故の面白さ。「教育に使うつもりなの?」みたいなニュアンスもちょっと感じられてめちゃくちゃ良いなぁ、この8コマ。
 フユリ。水着にTシャツで登場。真っ先にアユムが驚いてたけど、フユリの狙いはやはりカイだったんじゃないですかね。「ただの水着ですけど何だと思ったんですかぁ?」みたいな仕掛けだったのではないか。
 そんなフユリ水着問題についてカイがランに判定を求めるも、アリ。ここらへんからランの引率者としての信用の置けなさが確定的なものになってたきた感。

 後半。いきなり水着で決めポーズの3人、という前回と同じ始まり方なんですが、今回は「なんで水着なんだよ」という前提があるので、明確にボケムーブというニュアンスがあるのが良いですね。そして、ハルルの寝そべりポーズが前回とほぼ同じなので、やはりこれは劇中でキャラクターが実際に決めポーズを演じてる、という場面でしょうね。読者に向けたメタ的、イメージ的ななサービスショットではない。だったらハルルのポーズは変えるのが自然だと思うので。水着も前回と同じでリアリティを感じる。それはそうと、決めポーズ時のハルルの表情、良い……。
 水着の言い訳として出てきたBBQは全カット。食い過ぎたせいで勉強中に寝ないか心配、なのでホラー映画で眠気を吹き飛ばそう、と話が続く。武隈姉妹の水着(完全水着)はお預けである。特にアキナは来年の夏一緒に過ごせるか分からないのでファンにとっては悲劇でしょうね。
 ホラー映画。「妙な家」。未見だけど『変な家』なのは分かる。中身は全然違うと思いますが。劇中映画描写が意外に本格的。1ページ丸々使われるのですが、普通に怖いし、怖そうなので驚きました。漫画家としての本気を感じる。これが『生徒会』のアニメだったら絶対にホラー映画の主演をトリプルブッキングにさせて長めに描くと思うんですが、そこに頼らなかったのはホラー感に集中させるためだったのかな。
 劇中でアキナが苦手と語ってる “急にくるビックリ系” というのは映画用語でジャンプスケアのことだと思うんですが、あまりに日本のホラー映画では使われないイメージ……と思ったが、調べてみたら『変な家』ではジャンプスケアが多用されてるらしい。ひょっとした作者は『変な家』を鑑賞済みかもしれない。全然興味ないタイプの映画でスルーしてましたが、誤算。
 このホラー映画でジャンプスケアが出てきた際の一同のリアクション。女子がカイに抱きつくという定番ですが、この中で一番しっかりしてるアキナが抱きつくので面白い。そんなアキナにフユリが抱きつく。フユリだったらふざけてカイに抱きつてからかってきそうなものですが、ガチで驚くとそんな余裕はないのでしょう。姉に抱きつくというのも非常においしい。
 そんな武隈姉妹の驚きに驚いたハルル、というのがおそらく本話における最大のビッグイベント。単に驚きすぎな姉妹に驚いてるようにも見えるし、カイが抱きつかれてるという絵面に驚いてるようにも見える。うまい、うますぎる……(十万石まんじゅう)。
 最終的にはランとホシノ以外が身を寄せ合うカイハーレムが完成。姉がいる手前多少の恥ずかしさはあるだろうアユムがハルルにしがみついてるのも可愛いですが、肝心のハルルがカイに抱きつき……はせずに身を寄せるだけ。それもアユムに押されてるだけ、という体裁も感じる。可愛い。ハルルの心境やいかに、という奥行きがあるようにしか見えない。本作のリアルタイム進行設定で、一番成長、変化の機微が丁寧に描かれてるのは間違いなくハルルでしょうね。前作までは0から100みたいな切り替えだったと思うので本作は新境地。
 結局眠れなくなったが、中一、中二組がトランプを始めてしまい、人数が減ると怖いのでアキナ(そしてホシノ)もトランプに興じてエンド。このほのぼの感マジで絶品だと思いますが、2人の受験勉強は少し心配にもなるw


 終わり。次回は「生徒会長ルイに悲劇」「たこ焼きも食べます」らしい。どういうこと? たこ焼きは9月なので文化祭かお祭りあたりでしょうか。わざわざ生徒会長と書かれてるので学校行事、つまり文化祭かもしれない。ただ、中学でそんなちゃんとした文化祭したことないので分かりません……。
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