北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『サイボーグ009 BGOOPARTS DELETE』22話の感想

 単行本3巻が発売ですね。ちょうどチャンピオンREDと同日発売なので買いやすい。やったぜ。

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神話復活編㉒

 新刊&表紙&巻頭カラー(&付録)でカラーイラストが大充実。タイミング偏りすぎじゃない? とか思ってしまいますが、そのために先月休載だったのでしょう。
 んで、巻頭カラー。ヘラinリコがカラーイラスト的にはレア度高くて嬉しいところではないでしょうか。それと負傷状態の009というのも扉ならではの良さだと思います。009が手負い、というのは本話の物語的にも重要なファクターになってくるので再確認としても大事。
 リコの髪が緑(ハイライトが緑)なんですが、ミュートス編における緑というと平ゼロ版のアルテミスのことを思い出したりしました。平ゼロも「この並びだったらアルテミスいてもよくない?」という発想だったと思うのですが、岡崎版でも別の解釈でアルテミスが追加されてるのが面白いですね。

 ミュートス復活。本話は全体的に会話というか説明の比重が大きめなんですが、特に前半、ミュートスが復活するくだりでは、即バトル再開という緊張感もあることから絵的にハデ。ダイナミックなコマ割りが読んでてめちゃくちゃ楽しい。よく考えると会話してるだけの場面だったのか……とあまりの漫画的な気持ちよさに忘れてしまいそうなレベル。会話シーンをこれだけ絵的に盛り上げられるのは漫画の強み、漫画の良さですね。
 見開きでレオーン(ヘラクレス)を強調しまくってからの、アポロン。ここらへんメリハリというか、意外性が細かく利いてます。そして、そこでのアポロンの言い分が実にアポロンっぽいというか、いかにもアポロンが言いそう、かつ他のミュートスは少しめんどくさがってそう感じがリアルw
 さらに言うと、このアポロンのセリフの中でウラノス博士の名前が出たのも本話の内容的に重要ですね。終盤では逆にガイア博士にフォーカスする展開になるので。直接の登場はしないけど、ミュートスを生んだ博士の光と影として2人セットで登場する(言及される)のがふさわしいと思います。
 直接のバトルは描かれないけど、アポロンが躍動。加速装置も使うし、指熱戦でヘラに反抗の意志を示す。加速装置は漫画的な表現が楽しいし、指熱戦をヘラが超能力でいなす、という描写もめちゃくちゃ新鮮。2本の熱戦が飛ぶアポロンだからこその絵になってたと思います。スーパーガンだとああいう描写にはならないのでアポロンには感謝しかないw

 そして、後半は岡崎版のオリジナルキャラ、オリジナル設定がクライマックスに向けて改めて動き出す。オリジナルキャラではあるんだけど、今となってはどちらも原作キャラが中にいるので……というのが面白いですね。大胆なオリジナル要素で物語を大きく組み替えるんだけど、それも結局は原作キャラによる策略という着地。別作家のエゴのようなものと、原作リスペクトのバランスが絶妙。ここらへんは岡崎版の魅力の本質とすら思います。『8マンvs』だとリスペクトするべき原作が『サイボーグ009』の1作じゃない、となるのであちらもまた楽しい。
 ヘラ。今回、かなり彼女の根幹に迫れたというか、彼女が動揺もしくは感情的になる場面が描かれたのは初めてなのではないでしょうか。ヘラとガイア博士の秘密の関係というのが明かされ、愛憎入り交じった感じになるのが面白い。急にドロドロした男女の雰囲気が出てきたので意外でした。ただ、ヘラではなく、リコとして見ると相手は「パパ」なので……という関係が非常にイビツで、その不気味さが作品の魅力に繋がってると思います。


 終わり。休載明けだったせいもあるのか、いつもより染みるというか、やっぱ面白いな、と再認識した回でもありました。
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