北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『劇場版 呪術廻戦 0』の感想

 初日に観てきたぞい。早い時間だったので「映画館がパンク!」という感じではなかったけど、無人販売機の近くに店員が複数ウロウロしてたりして、厳戒態勢だったのが窺えた。本気シフト。平和に観れてよかったです。

 キャスト発表、そして予告が公開された段階から、「もうこれ『エヴァ』じゃん!!」と盛り上がってました。ファンコミュニティは知らんけど、たぶん私だけではないと思う。漫画版を読んだ時点では特別『エヴァ』の影響は感じなかったんだけど、あの声がついたアニメーションで観ると乙骨というキャラクター、そして物語がいかに『エヴァ』フォロワーだったのかを痛感する。そういう意味で、『シンエヴァ』と同年、しかも本作は年末というタイミングになったのは奇跡的な偶然だと思う。今後tvシリーズに乙骨が出る際には声優交代してるといいな。
 ナイーブで内向的、受け身でひたすらウジウジした乙骨の性格にはシンジくんを連想せざるを得ないんですが、個人的には良い意味で『エヴァ』っぽすぎない。ウジウジはするけど、それからの脱却が結構早い。すぐ友達ができて明るい表情を見せるようになるし、しょうもないギャグをやったりもする。そして『エヴァ破』クライマックス的なオラオラモードにもなったりするので、「シリーズで一番好きなのは『エヴァ破』」という、そこまで『エヴァ』に思い入れのないライトなファンとしては本作くらいの『エヴァ』っぽさが本当にちょうどよかった。『エヴァ』の気持ちいい部分、都合のいい部分だけ、上辺だけをすくってくれたような作品。大好物です。てか、乙骨すげぇ良いキャラだなぁ、と今更ながら痛感しました。
 あと、異性関係の気持ち悪い感じもないのが『エヴァ』っぽくてなくて好き。真希との恋愛のない友情もすげぇ良かった。のでパンダの恋愛イジリみたいなネタは余計だったと思う。あと真希さんの胸がやけに揺れるのもいらない。
 とにもかくにも『エヴァ』を連想してたんですが、そしたら最後の最後に「死んじゃダメだ……」とか呟きだしたので劇場で大爆笑ですよ。ちょっと嘘。マジで笑ったけど必死にマスクの中でこらえた。急に直接的なパロディ、しかも『エヴァ』パロとしてめちゃくちゃベタな奴やってくるのずるいわ。

 ちょうどいい『エヴァ』だったと同時に、ちょうどいい『呪術廻戦』でもあったと思う。今更だけど、失礼なノリもある表現になってしまうのは申し訳ない。
 ちょうどいい『呪術廻戦』。設定が複雑すぎない。術式も領域展開も出てこないシンプルなバトルが楽しめる『呪術廻戦』。いや、術式は出てるか。術式についての説明が特にない、ないからざっくりとした「超能力」くらいの感覚で何の問題もなく理解できる。身も蓋もない言い方をすると、まだそれほど『HUNTER×HUNTER』化してない。まぁ、三輪の「つーか これが限界」は出るんだけど。
 そもそも、原作の漫画の人気が出なかったらそれで完結してたような作品なので、内容的に独立性が高いんですよね。『呪術廻戦』本編(tvシリーズ)への目配せがそれほど多くなくて驚きだったんですが、それが本作の良さだったと思います。絶対虎杖出ると思ったんだけどなぁ。伏黒とか出しやすそうだし。実際に出てきた目配せは京都組とかナナミンくらい? 大きめな活躍だと。乙骨夏油戦を中断してまで観たい内容だったかは正直疑問です。全部ナシでも全然良かった。
 『羅小黒戦記』のクライマックスにも百鬼夜行みたいな有象無象を味方組織が処理するシーンがあって、ちょうどそこでtvシリーズへの目配せ展開があって、門外漢の私としては軽くポカンだったんですが、それと大体同じでしたね。ちなみに『羅小黒戦記』も選民思想に目覚めた悪役(日本語吹替:櫻井孝宏)が出てきて、領域展開バトルします。そして主人公が里香ちゃん(吹替)。シャオヘイ可愛いよ。
 話を戻して、tvシリーズへの目配せ。アニメ版オンリーだと目配せだと分からないけど、五条と夏油のくだりは今後のtvシリーズへの目配せと言えそうですね。「もうすぐ詳細がアニメ化されるよ!」という事実は結構な引きになると思う。まぁ、もちろん乙骨凱旋ってボムもありますが、それをやるのはまだまだ先の話だろうなぁ。ただ、本作がこれだけ人気出るとアニメが延々と作られ続けるのは確定だろうから安心。神木くん起用に期待!!(できねーよ)

 良くなかった点。いくらなんでも里香ちゃんについての回想を繰り返しすぎだと思う。病院と公園の思い出何回やってんだよ。漫画だと連載だから別にいいし、それをtvアニメにするんだったら毎話同じ回想をやっても気にならないんだけど、1本の映画だとさすがに飽きる。原作をなぞるのにこだわった結果なんだろうけど、適当な思い出シーンをオリジナルで作るくらいしても良かったのではないか。
 こっちは割とどうでもいい話だけど、ミゲルがモノローグでもカタコト日本語なのはおかしいと思う。漫画だとそれほど気にならないけど、アニメで、しかも丁寧に「カタコト」という演技情報が足されると気になってくる。わざとらしくないカタコトのバランスとかちょっと感動したレベルで好きな要素でもあるんですが。
 どうでもいいけど、少し気になった点。ラストバトルにおける里香ちゃんが少し小さい。まともな初登場が校舎の破壊でしたので、人間サイズで乙骨の後ろにいる絵面に「本気出してる?」という気になる。大きすぎると乙骨とのタッグバトルが作りにくかったんだろうなぁ、みたいな大人の事情に思いを馳せてしまうというか。

 厳密には映画の感想じゃなくて、漫画を初めて読んだときの感想なんですが。夏油が乙骨に初めて会ったとき、 “私はね 大いなる力は大いなる目的のために使うべきだと考える” と言うじゃないですか。これって『スパイダーマン』の「大いなる力には大いなる責任が伴う」のクズ版だと思うんですよ。夏油は暗黒ベンおじさん。
 そして、『呪術廻戦』本編。初回の、虎杖がヒーローとしての考えを教えられる(呪われる)のもベンおじさんの死でしたよね。これ絶対意図的だよなぁ、と昔から思ってるんですが、いかんせん『呪術廻戦0』を連載当時に読んでないので、言うタイミングを見失ってました。何度か書いてるんだけど、今回絶好の機会が与えられて感謝してる。
 ちなみに、虎杖と現実写スパイダーマンは中の人が一致。そのシリーズではベンおじさん死んでないのが本当に惜しい。


 終わり!! 『無限列車』よりも断然好きだよ。ジャンプ漫画として特殊すぎる企画が映画化との相性が良すぎる。この時点で大勝利、という印象。まぁ、オリジナルで映画作ってる『ヒロアカ』の方を応援したい気持ちもあるんだけどねぇ。来年は『ONE PIECE』もあるか。

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