北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『サイボーグ009 BGOOPARTS DELETE』33話の感想

 ジャンプ記事が次号発売後の更新になってしまって、更新直後から次号の感想が控えてるんですが、とりあえずこっち先に済ませます。
gohomeclub.hatenablog.com

神話復活編㉝

 004の考え。ファン的には「また自爆しようとするんじゃ……」とか考えてしまうんですが、さすがにそういうふざけたことにはならないw
 圧倒的な戦力差を前にしても、手持ちのカードで有効な策をひねり出す。この策が現実的な理屈によって構成されてるのが良かった。こういう理屈っぽいと言ったら聞こえは悪いけど、SF的な考証の堅さが本シリーズは楽しいですね。知恵とチームワークで本来の実力差をひっくり返す。これぞ『サイボーグ009』という気持ちよさ。あと、個人的には006が火炎を噴く場面が見開きで超横長のコマ割りになってるのが最高にかっこよかった。見開きだと本話の終盤でガイア博士と009が対峙する場面もあるんですが、個人的にはこの006の方が好き。

 チームワークの勝利だけど、本気モードになった009は寡黙で単独行動ギリギリというバランス。アポロンとの対決の際にもあったけど、加速した世界は通常の世界からは切り離された絶対的な孤独、みたいな味わいがありますね。加速者の孤独だと原作の「結晶時間」が思い出されますが、本作だと戦士としての孤独という扱いになってるのが良い。ゼロゼロナンバーはチームだけど、スペック的に009だけ優れているのは明らかであり、極限の戦いになればなるほどエースである009の孤独性が際立つ。みたいな扱いだと思います。
 そんな009について、004が “過剰性能” と言ってるのに対し、ガイア博士が “低性能” と言って対比になってるのも面白い。
 加速者は孤独って言ったけど、009ほど速くはないけど002も加速できるよね、としっかり002が加速装置による活躍をするのも嬉しかった。004とのコンボは鉄板ですな。一度002の加速を見せることで、009の全開の加速がより際立つ。際立つというか目が騙される、という効果もあった気がします。

 んで、対決もクライマックス。絶対的なバリアをどう攻略するのかが見所なんですが、あくまでもスーパーガンのみで攻撃するのが最高。ここまでスーパーガンが重宝した作品は原作の中から探してもかなりレアなんじゃないでしょうか。強さがインフレするとどうしても「スーパーガンが効かないだと!?」という扱いになりがちだと思うんですが、加速装置を使えばスーパーガンもまだまだ戦える。加速装置によって引き出された判断の速さと判断及び射撃の精密さによってスーパーガンはどんな強大な敵にも通用する。
 スーパーガンの使い道もそうでしたが、加速装置をフルで使いながら静止する、というアイディアがこれまたフレッシュ。009の体感時間を思うと気が遠くなる……どころじゃなくてそれこそ「結晶時間」みたいなスケールの悲劇になるんですが、今回の敵を倒すにはそれだけの労力が必要であった、という説得力にもなりますね。まぁ、途中で、ガイア博士が少しだけ脱力した瞬間とかに加速装置を緩めたりした可能性もあるのかもしれません。
 加速者は孤独、本気の009はダンマリ、という話だけど、そもそも加速中は通常速度の人とは会話ができないんですよね。なので “きさまは今フル加速状態なのだな!” と009の行動を見破りながらも延々と語り続けるガイア博士はちょっと滑稽。というか、ああいう状況でああいう語りをしてしまうような性格なんでしょうね。どこまでも偉そうというか、上からの語りをやめられない。

 まさか超絶シンプルな早撃ちで決着がつくとは意外でしたな……とか思ってたら第二ラウンド。そうね、変身能力がまだまだ残ってたよね。「何度目だアポロン」とか習字で書きたくなる展開なんですが、オリキャラのゼウスよりもお馴染みのアポロンの方がアガるよね、というファンサービスも感じる。「今何回目?」と『タイムショック』ばりにクイズを出されても咄嗟(5秒)には答えられる自信ないですw


 ということで終わり。次回と次次回でついに完結だそうです。そもそも本作は立ち位置が特殊な作品なので、エピローグもたっぷり語ってほしい気持ちもあるんですが、最後のアポロン戦もじっくり見たいよなぁ……と悩ましい。
gohomeclub.hatenablog.com