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『八乙女×2』11話の感想

八乙女×2 - 氏家ト全 / 【第11話】3月は旅立ちの季節 | マガポケ

 とにかくめでたい回でした。
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第11話「3月は旅立ちの季節」

 いよいよ卒業式。そして、最終回ではない。とても晴れやかな気持ちになる……。
 前半6ページが卒業式当時の様子。後半6ページが通常の漫画形式で卒業式後のカイハル2人の日常、それをカイの家で。

 卒業証書授与式、の看板で明らかになる校名。近年の氏家ト全作品はダジャレとかそういう傾向にあったと思うんですが、ものすごい直球なので笑った。亀の頭小学校。転校先の名前がコレだと知った際のハルルの心境やいかに。
 てか、来月以降の中学の名前へのハードルが無駄に上がるというか、このしょうもなさがどこまで加速するのか少し怖いw

 小学生における卒業式あるあるとして、泣く泣かない問題。ここらへんの自意識は鉄板ですね。
 始まった際はアユムに対してふざけてみせたハルルが卒業証書の授与を見てたら……となるくだりとか微笑ましくて最高。ハルルがクールなまま保てないという不完全性。そこに良い意味での子供っぽさが感じられてすげぇ良い。
 一方カイ。こちらはマジで泣けず、周囲が泣いてるのを見て焦る。こういうこと考えちゃうことで余計に泣けないw からのしょうもない一計が可愛らしいんですが、それに対する富谷くんの誤解と冷たすぎる視線で爆笑してしまった。間違いなく今月一番笑ったネタ。富谷くんがああいう役割を担うのも意外だったし、直接カイに伝えることなく彼の中で完結してしまう悲劇性がまたおかしい。
 そんな子供たちの泣く泣かないの話をやったあとに、大人の泣く問題を配置したのも秀逸。富谷くんのオチと同じで、駆け寄ってきた子供たちは良い雰囲気のまま完結したんだろうな、という後味。

 後半。いきなりセーラー服のハルルが大ゴマで登場。しかしまだ春休み。「早くも入学式か!?」と読者に思わせるちょっとした引っかけだと思いますが、本話は3月のまま、という法則を意識してると騙されない。まぁ、そこまで騙される騙されないのことを意識しなくていいです。
 ということで中学の制服を試着。ハルルがちょっと浮かれモードなのが可愛いですね。制服にテンション上がる気持ちは共感しやすい。からの、それに対してもクールなカイだったが……という強要。カイ母が居合わせたことが運の尽きというか、母親だったらこの話題に全力で乗っかってくるよな、という激しい説得力。
 そんな母親。大人にとっての制服、それもセーラー服とは……という身も蓋もない現実を突きつけてくる大オチに笑った。初めての制服(幼稚園保育園は除くとして)にフワフワした気持ちになってるカイに対するギャップ。母親のセーラー服が衝撃的だけど、同時に「男の制服にも需要はある」ということを暗に含んだ話でもあった気がします。それも親に言われたらイヤな話だなぁw

 ということで2人が通う学校には制服があり、学ランとセーラー。超王道ですが、氏家作品的には『生徒会役員共』からの揺り返しという見方もできそう。
 劇中における制服に対するワクワクソワソワ感と読者の「中学編始まるんだ」という期待が合致してるようでなかなか面白い読書体験。進学してくれる(進学後も描かれる)ことの喜びがすごいんだよなぁ……。
 そんな中学編が来月から始まるってだけでめでたいんですが、次号は表紙&センターカラーらしい。豪華だ。ありがてぇ……。カラーはやはり制服姿だろうか。そして、単行本1巻も発売になりますよ。めでたさの乱打がすごい。


 終わり。中学編マジで楽しみですね。転校生が隣人で同じ苗字、という本作の基本設定のうちの一つ「転校生」が消失した状態になるので、そういう意味でも今までとは違う本作が始まると言えそうですね。ハルル的にはカイ(たち)とフラットな状態で中学生活が始まるので、また違った感覚になってそう。転校生ならではのクールさは発生しないわけですし。
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