北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2023年42号の感想

 また暑い……。

背表紙

 「ジャンプキャラクター初登場シーン集」。『キルアオ』の猫田。今の本編的にはどう考えても天馬なんですが、初回における二番手キャラってことなんでしょうね。2週目の人選の中でも屈指の違和感だと思う。

表紙

 新連載。とにかく「刀だよ!」と打ち出してくる。ここまで日本刀にフォーカスする作品は逆に珍しいと思うんですが、本編読んだあとだと、主人公が死んだ目であることも本作の紹介としてめちゃくちゃ重要だったのだと気づく。

読者プレゼント

 黄金の国ジパング。急になぜ……となるテーマですが、いろいろバリエーションを増やそうと頑張っててちょっと好き。いや、言うほどバリエーションは増やせてないんですが、細かい言い回しを変えて増やしてる感を出そうとする姿勢だけは伝わってくる。まぁ、全体を通じて「金以外何も知らないのかよ……」とはなりますね。
 ゴールドラッシュをモチーフにしたボードゲームが賞品の中にあるんですが、ゴールドラッシュはジパング関係ないよね……。

巻頭カラー『カグラバチ』外薗健

 新連載。とにかく日本刀。少年漫画(ジャンプ漫画)の定番武器ではあるものの、ここまで前面に出したのは珍しいと思う。妖刀方向にパワーアップしていくとは思うけど、リアルな日本刀へのフェティシズムを感じるようになるといいな。初回の刀鍛冶の場面とかかなり好きだったので。
 本編。前号の新連載がトリッキーすぎたので「普通だ……普通に面白くて安心……」とかなるんですが、よく考えたら本作は本作で結構変わってる。冒頭の刀鍛冶の日常パートがあまりに淡々としすぎてて「スタートダッシュとか興味ないのか!」と言いたくなるが、こういうオープニング好きよ。頑張ってくれ。
 リアルで地味な日常が描かれてたのかと思うと、父の友人が家に来て少しだけ外の世界の話が出てくる。「戦争? 刀で戦争を終わらせた?」と間接的に本作のファンタジー設定が明かされる仕掛けとかかなり良かった。徐々に異世界へと誘われてく感じ。前号のもそうだけど、どんな作品か分からない状態で読むからこその「どこに連れて行かれるんです?」というワクワク感がある。
 父の背中を見せつけられ、主人公の進む道がハッキリしたのかと思ったら、いきなり38か月後。いいねぇいいねぇ。いきなり都会の、それでいて現代日本にしては違和感のある都会で、暴力の世界が展開される。刀の悪い使い方としてとにかく印象的。そして主人公。謎の傷、柴さんとの謎のコンビ感、そして顔の傷。自己紹介となるべき初回だけど、あえて説明的にはせず、説明の予感要素を積み重ねることでこちらの興味を引く。とても良い。前号の新連載が「とりあえず面白いけど話もキャラもよく分からんまま終わった」だったので、このじっくりと本作の話とキャラに引き込まれてく作品が沁みる(それが普通なのだが)。
 陰惨な暴力。ただ、グロを前面に打ち出すのではなく、あくまでも「刀とはそもそも暴力的なもの」とテーマに対してむしろ誠実な印象。首吊りの場面もコマ割りを利用してグロ描写を抑えつつ、怒りに震える主人公の心理にフォーカスしていく演出になってて超良かった。
 からのバトル。かっこいいのは確かだが、爽快感というよりも虚しさが常に漂ってる。丸テーブルの上から3人を一刀両断するとことかかっこよすぎてブチアガったんですが、決め絵としてはかっこいいけど、話としては陰惨で寒々しい。手応えとか、やってやった感が全然ないんですよね。グロ描写そのものよりも、血の量などで、もう戻ってこれない一線の向こう側みたいな悲しさを感じる。いくら何でも渋すぎるんですが、決め絵としてはかっこいいので、読者が勝手に爽快感を抱く余地はあるかもしれませんね。ここらへんのバランスが良かった。
 終わり。良かった。正直個人的には次号の新連載が楽しみで、その前2人は助走みたいな印象(失礼すぎる)だったんですが、いやいやこれも捨てたもんじゃないぞ……というワクワクがあった。こういう出会いは雑誌の良さだなぁ。雑誌全部読むことの醍醐味。

『SAKAMOTO DAYS』135話

 回想でのカミハテ無双。敵のスナイパーがスコープ越しに目を撃たれる、というのは割と見覚えのある描写だったんですが、そこからどんどん荒唐無稽に加速していくスナイパー無双が楽しかった。
 そんなカミハテ。長距離狙撃は世界一。「世界で最も影響力のある100人の殺し屋」で日本人で唯一選ばれたこともあるらしい。これ、「カミハテすげぇ」となると同時に「世界編のインフレすごそうだな」ってなる情報ですね。ORDER全然入ってないんかい。もっと頑張れよ。
 からの平助ライジング。実力からしたら勝てる可能性ゼロなんですが、とりあえず平助も十分狙える距離での戦いなので、必ずしも勝てないとも言えない(こちらの攻撃は有効)というバランス。ハトが予想外のアドバンテージになる可能性もあるかもしれませんね。

ONE PIECE』1092話

 過去。くまとサカズキ。ワクワクするマッチアップではあるんだけど、ワノ国終わってから、時間と場所があっちこっち飛びすぎてていくら何でもややこしすぎると思う。ガチ勢向けになりすぎてるというか、内向きなんだよな。いちいち感情が途切れるので。情報量が膨大になりすぎた上、尾田っちが最終章に向けた「布石は一つも忘れねぇ」みたいな意気込みなので(たぶん)、情報圧縮ぶりがいつも以上にえげつないことになってる。ワノ国編でも相当読みづらかったんだけど、さらに加速するとは。
 くまに逃げられるサカズキ。サカズキが天竜人に叱責されててやりづらい立場というのが伝わってくるんですが、今回の失態を考えると「天竜人の言い分は正しいのかも」という気もする。予想外のテロが起きたこと自体はまだ分かるとしても、元帥とタイマンの正面対決の状態にまで追い込んだのに犯人が逃げおおせるってかなりのことですよ。 “取り逃がしたのか!? 元帥ともあろう者が!!” に関してはその通りだと思うし、サカズキは反省した方がいいと思うよ。かっこつけてないでさ。
 黄猿。大規模攻撃ってわけじゃないけど、敵陣の中に単身で入って大暴れできる能力はやはりかっこいい。黄猿だったらくまのことも逃がせなかったのかもな……とか考えちゃうw
 そんな黄猿に対して一矢報いるルフィのギア5。まさかの怪獣描写が最高でした。何でもアリで本当に楽しいな、あの能力。

センターカラー『魔々勇々』2話

 むしろこっちが初回という感じ。とはいえ、前話とまったく同じ主人公の悩みからスタートするのには「何も進展していない……」と肩透かしのようなものも感じた。語りのかっこよさにごまかされそうになるが。
 とはいえ、本話はかなり主人公(及びマママ)のキャラクターを描いてるので、前話のトリッキーさから考えるとかなり普通に面白い。ただ、エモい場面においてエモを効果的に描くのはうまい一方で、そこでの尺が長いというか、いちいち話が止まるので、全体と通じると「また勇者としての自覚が出て終わった……」みたいな話の進まなさも感じてしまう。まぁ、本話はキャラクターの魅力が少し描かれたので、前話が大義としての勇者で、本話はマママを守るための私的な勇者(ヒーロー行為)という違いなんだろうなその多面性が主人公にとっては大きな成長と言えるのかもしれない。
 どうでもいけど、「勇者」という分かったようで全然分からない言葉。『スマブラSP』に出てくる『ドラクエ』の「勇者」は英語だと「HERO」ですね。やっぱ日本独自の謎概念なんだなぁ、とか思った。

『アオのハコ』117話

 扉。バドユニフォームの千夏パイセン。めちゃ良いな。可愛いってのもあるけど、一目で本職じゃないのが伝わってくる。衣装は普通にちゃんとしたものなんだけど、明らかにおふざけで着てるのが伝わってくる。
 本編。望月くん、普通に負ける。テーマが面白そうだったのにかなり残念な話ではある。ただ、試合中は望月視点になることで、大喜に対する印象の変化が描かれ、それは望月くんが今後成長するかもしれない……という予感になってて、そこは良かった(もちろん「挑戦者」から一歩先に行った大喜の成長も感じる)。まぁ、彼が簡単に考えを改めることになる決着がテーマ的に面白くない、ってのはあるんだけど。
 勝利後、彼女にホメられる。バドプレイヤーとしても成長を遂げた大喜が、彼氏としても成長を遂げ、自然に「千夏」呼びを果たす、という展開は素晴らしかった。針生パイセンが言ってた挑戦者であることをやめて自信を得た状態。

僕のヒーローアカデミア』400話

 葉隠さん、能力がバグり、恥の概念を会得する。旧約聖書のイヴの再現ですね……とか真面目なことを考えるのが馬鹿らしくなるコテコテのラブコメなので笑った。急に緊張感がなさすぎる。まぁ、こういう痛みを伴わない勝利が描かれるのかなり久しぶりなので良いですね。
 一方オールマイト。こちらは常に消耗し続ける戦いで、手札も限られてるし、装備の耐久も明らかにジリ貧。AFOがしぶとければしぶといほど負けが濃厚……からの思わぬ助っ人。ここでの人気キャラは熱いな。OFOとAFOの戦いに関しては正直それほど因縁深くないんだけど、決戦前のオールマイトとの絡みが感動的だったのでこれはアガる。個人的には『ヒーローズライジング』の活真が来てオールマイトを回復させるとかのが見たい(映画1作目は出たので)んですが、オールマイトとの絡みがほぼゼロなので無理だよね!

センターカラー『アンデッドアンラック』175話

 カラー扉でサブタイがでかでかと「RIP」と表示されると別の意味にも思えてしまって不穏。まぁ、本話の内容に rest in pieace 感はそれほどないんですが、これで想起させないのは無理ある話だと思う。
 前話からそうなんですが、リップがあらゆる角度からイケメンだ、王子様だという扱いを受けてて違和感……ではないものの、意外。そこまでの美形キャラだったのか。本作のアンディ以外では有数の愛に生きる男なので、そっち方面の魅力が強めなのは重々承知だったけど、それは美形とイコールじゃないからなぁ。知らんかった。
 風子の話を聞かないリップが勝手に奮闘し、1話終わる頃には風子の言うことを聞くようになる。若干時間稼ぎのような一話だったような気もするんですが、リップというキャラクター、考えや行動原理の掘り下げにはなったのでキャラ的な意味では有意義な回だったんだろうな。おかげで「お前そんなにイケメンだったのか……」って私もなりましたし。
 漫画だと顔がどのくらい美形なのか分かりにくい問題。これはもう周囲の人のリアクションから察するしか、読者に道はないんだと思います。まぁ、細かくは言動とか圧倒的画力、絵柄の変化とかやりようはあるんだろうけど。そう考えると、今までリップの周りにいた人たちは彼のことを見た目で判断しない人ばかりだった、ということになるので、良い人たちばっかじゃん……と変な感動。

『あかね噺』78話

 からしの師匠。オモシロヘッドすぎる。ベガパンクとかそういう部類なのよ。
 からし回。からしも当然良いし、師匠も良い。師匠とからしの関係性も魅力的でからしファンとして大満足なんですが、まさかの幼馴染までぶっ込まれるし、正直言ってめちゃくちゃ可愛い。おののく。ビジュアルのみで考えたら本作の女性キャラで一番好きかもしれん。馬上キャラデザの最高峰という迫力を感じる。まぁ、主役とかにするには少々淡白すぎるのかもしれませんが。からし、人間関係が恵まれすぎてるぞ。少しは苦労しろw
 まさかの講談。素人(私のことです)が陥りがちな「落語と講談って何が違うんですか?」の説明もスマートに済ましつつ、講談の魅力を描き、さらには「落語家がする講談」という謎ジャンルにも歴史がある(だから会長は驚くよりも感心する)、というところが落語のすごいところだ。何にでも先人がいる。
 からしとしては嫌がらせとして「本読み」をしたのもあると思うんですが、幼馴染がからしを見直すエピソードとして過去でも「本」が出てくるのとか相変わらず良くできてますね……。今と昔の本で2人の関係を見せるのがスマートすぎて引くわ。

『キルアオ』21話

 催眠かけられて大ピンチだけど、まだまだハンデとして足りないレベル。催眠を打破するアイディアが見事だったし、それが絵的な、アクション的な気持ちよさと直結してるのが素晴らしかった。ここらへんはシンプルながら本作の強みですね。銃弾のロブショットはいくら何でも無茶苦茶なんですが、劇中で「7割の成功率だから3発撃てば確実でしょ」と言われると妙に納得してしまうというか、漫画としての説得力は感じてしまうから不思議。ここで一発で当てる話にしないバランス感覚だよなぁ。
 細かいけど、気になったのは、催眠術でモブを自殺に追い込んでた点。それができるなら十三にもその催眠をかければよかったんじゃあ……とはなるよね。さすがに自殺は催眠の範囲外だと思ったし、実際もかなり難易度が上がる(てか無理)みたいな話も聞いたことあるんですが、普通にできちゃうんかい。まぁ、術にかかる時間が長い、みたいな事情があるのかもしれませんね。

『夜桜さんちの大作戦』194話

 兄弟姉妹の中でもかなりまともな人なので誰からも愛される辛三。兄としても弟としても兄弟姉妹キラーすぎる、という冒頭のくだりは面白かった。改めてだけど、既存キャラの魅力が感じられて良いですね。
 謎の結婚式。からの暗号メッセージがホラー。どこまでマジになって読めばいいのか分からなくて楽しい。ただ、急に双子視点の話じゃなくなったのは意外ですね。普通に太陽視点の、以前の本作って感じ。まぁ、これはこれで楽しいからいいんだけど、「今更?」みたいな気もする。次話以降に双子の話になったりするのかな。スタンプもらう話に着地しないとマジで意味不明ですし。
 アイさんは可愛い。本当に可愛いので私も結婚式には出席せずアイさんのそばにいるぞ、とか考えてしまうんですが、よく考えたら介抱したい気持ちは当然あるが、苦しむアイさんを目の前にし続けたらかなりの精神ダメージを受けてしまいそうだ。こうなる前に全力で牛乳一気飲みなどの無茶を阻止するべきなんだろうけど、そういうことすると本人に嫌われてしまうんだろうな。悩ましい……(この段落無意味)。

『僕とロボコ』153話

 長編と企画をやってお疲れのロボコ。ロボコが(ギャグ漫画としての)職務放棄をする話だけど、まぁ当然それでもボケは発生するし、ボンドとの掛け合いは楽しい。何ならボンドと2人きりの回は逆に珍しいので嬉しいという気すらしてくる。ぶっちゃけ長編の方が私としては職務放棄に感じる……は言い過ぎだけど、省エネだった気もしてしまう。長年一話完結の連載してるギャグ作家が「続き物のが絶対に楽」みたいなこと言うケースってあるじゃないですか。それ。
 オチとして使われる中野編集長。ネタとしても面白かったんですが、「宮崎先生ホラー好きだなw」みたいな印象も湧く。意外とちゃんとしたホラーしてましたよね。あり得ないものが画面に映り込んでしまう恐怖。

センターカラー『鵺の陰陽師』18話

 2号連続カラー。すごい人気だ。本話が「嵐の前の静けさ」に徹したのも2号連続ならではの構成というのを感じるし、何なら余裕のようなものも感じちゃう。
 次なる試練である師匠の存在を、外部の視点でまず描く、というオープニングが良かった。ハラハラ感も誘うんだけど、「普通に良い人そうなんだけどね」という第一印象が彼のキャラクターの多面性を生む。
 風呂。マジ突然の風呂。人気がなくてなりふり構わなくなった、みたいな印象すら湧きかねないが、普通に大人気なので関係なかった。
 風呂に入った女子同士はやたらイチャイチャし出す、というお約束であり、さすがに「そんなわけねーだろ」という認識も広まった展開を、そのままやる。胆力も感じるが、そんなあり得ない話に対して「藤乃を心配する鵺」という合理性を用意する。なかなか良かったのではないだろうか。2人の年齢差も感じられて本作らしい場面になっていたと思う。

『ウィッチウォッチ』125話

 ミハルの元に現れるモモチ。普通だったら、モイちゃん絶体絶命のピンチに突如として現れるモモチ、みたいな方が盛り上がると思うんですが、モモチの名前は以前のケイゴがくよくよする回でもう出ちゃってるんですよね。不意打ちで驚かせるんだったらそこで名前出すのは悪手すぎる。それよりも戦術的な面白さと緊張感を取った、という感じか。あとは、モモチが現れると一旦場が和むというか、緊張感の毒牙が抜かれてしまう、というギャグも楽しかったです。シリアスに偏りすぎてたのでかなり好き。
 モイちゃんの隠し玉(その1)。敵の死角や急所が光って見える。死角の視覚化……。バトル漫画的に考えると『鬼滅』の隙の糸、もしくは『SAKAMOTO』の蝶道って感じですかね。それほど新鮮さはないアイディアなんですが、本作の場合は実は敵もその技を会得してたのでミハルモモチの不意打ちに気づかれる、みたいなことになるんだろうな。同じ技なのに、篠原作品になると途端に伏線回収みたいなトリック感が増すのが面白い。ミハルとモモチの体に小さくキラキラが描かれてるのとか本当にそっち方面に特化してる。「バトルに集中せい!」とか思ってしまうが、まぁこういう手法をバトルに持ち込むのも面白いですわな。
 てか、不意打ちに対する察知能力という意味ではスパイダーセンスの要素もありますね。『ヒロアカ』OFAでいう……何番目かは忘れた。逃げ上手の人。今更だけど、黒鞭とのコンボでスパイダーマン完全再現っていう、いくら何でもやりすぎって感じのデクだ。

『アスミカケル』13話

 フキダマリ参戦ファイターが面白すぎる。真面目に描くつもりのないキャラがほとんどだろうけど、普通に全試合描いてほしくなっちゃう。作者のアイディア出しとビジュアルがノリノリすぎるのよ。個人的には反省太郎が好きですね。反省を心に誓うのはいいが、それをタトゥーとして刻み込むなw
 んで、二兎の初戦はホストファイター。まったくワケの分からない話だが、実際にあったらちょっと盛り上がりそうかも、と思ってしまう不思議な魅力を感じる。マッチョな男性社会で、成り上がりのドラマとか好きそうだから意外と親和性があるのでは。
 二兎初陣。必殺技の試運転。ブンブン丸を瞬殺したゴングと同時の飛び込み……からのタックルかと思わせて……飛び膝蹴り。相手に2択、3択を押しつけるが、肝心の飛び膝蹴りが失敗しても二兎的にリスクは小さいのでまさに出し得。というロジックが非常に楽しい。格闘家はこういう考え方するのか、と新鮮だったし、ちょっと格ゲーっぽい思考とも感じる。
 そのままマウントで殴り続けて即勝利。打撃オンリーで勝利したところに大きな成長を感じますね。同時に、二兎の中で「暴力って楽しい~」という戦闘狂の素質が目覚めつつあるのも感じられる象徴的な初勝利。

『一ノ瀬家の大罪』41話

 無糖の紅茶(ペットボトル)マジでうまいよな。数年前に初めて飲んで感動した。ドトールのアイスティーと同じくらいうまい(てか同じ)。もっと前からあればよかったのに、なぜペットボトルの紅茶業界はコテコテの加糖路線に勝機を見出したのか。謎だ。
 そんなペットボトルの紅茶。正直「またかよ」という感じで、もっと普通に話を進めてほしい気もしたんだけど、こういう章立てられた、というかステージのように区切られた物語というのはゲームっぽい感覚なのかな。そんな気もしてきた。だとすると、週刊連載との親和性は高そうだし、意外とアリな戦い方なのかもしれない……と印象が変わる。
 あと、序盤の颯太とのコンビが思いの外魅力的だったので、この2人で次の試練に立ち向かう話になるんだとしたら普通に楽しみ。別に特別なスキルを持ってて頼もしいとかそういう話ではなく、翼との相性、仲良し感がとても良い。

『暗号学園のいろは』40話

 コンプレックスにまみれる縁ちゃん。「自分はキャラが立ってない」と悩むのはメタ的にも思うけど、案外リアルでも全然ある悩みだと思います。こういう自己認識で悩んでる人普通に多そう。んで、端から見れば「いろはという親友がいる時点で超特別な存在なんやで……」と慈愛の目になってしまう。
 そんな縁ちゃんに対して、彼女の自己認識通りの評価を下して煽ることでハッパをかける、という励まし方もまぁ分かる。普通に失礼だからやめた方がいいし、結果として成功したからいいものの……という話ではあるが。ただ、彼女自身のコンプレックスを刺激すると同時に、いろはのこと、いろはとの関係性についてつついたのは正攻法というか、理にかなったハッパに感じられて結構好き。
 からの急に話がそれて、究極の2択。正直「知らね~」という感じなんですが、一応以前から気になってた話の真相なのでこれは私が悪いのかもしれない。いやけど、急なんだよな。普通に縁ちゃんとスカウトの続きをしてくれよ、とか思っちゃう。

『アイスヘッドギル』12話

 聖遺物グレイプニル。ゲームとかファンタジー題材の作品でお馴染みの名前だけど、これも北欧神話だったのか……と変なところで勉強になる。別に本作も「ファンタジー題材の作品」の一つなんだけど、ここまで北欧神話に偏った作品は意外と珍しいので(少なくとも私の中で)。
 いくら口をつぐんでも、殺されて体を乗っ取られたら記憶ごと奪われてしまう。このリッチ設定は面白いな。めちゃくちゃ厄介だし、敵にとって体を奪うことが「合理的」と認識できちゃうのが恐ろしい。
 イズンおばさん。小さくて、タバコ吸ってて、上半身タトゥーだらけのおばさん。面白すぎる。正直今まではトロルという種族にそれほど魅力を感じてなかったんだけど、この1人の登場で全体の印象がガラッと変わるレベルで良い。特別な記憶力を持った存在で、彼女自体が知の書であった、というのもアイディアとして特別新鮮なわけじゃない(『SAKAMOTO』でも見た)んだけど、めっちゃ好戦的で、オラオラ系に見えるのに知の超人なんだ……という意外性。

『ドリトライ』19話

 最終回。いきなり、2023年。令和である。ブラック企業で働く主人公の話が始まってめちゃくちゃ面白い。こういう大仕掛けが待っていたとはな……。最終回で急に現代に飛躍するのは『鬼滅』でもお馴染みだけど、本作は直系の子孫の話だし、「死んじゃったジイチャン」として青空が登場するのも良い。戦後との距離感として本作の設定が生きてる。『鬼滅』の年号設定は正直ほぼ死に設定だったと思うので、そういうところも対照的。
 ブラック企業だと十分に認識してるが、金はもらってるし、やめるのも惜しい……となっちゃってる主人公の思考がめちゃくちゃリアルだな。ブラック企業に限らず、いろんな分野の被害者が陥りがちな思考だと思う。
 ともかく、「急に何の話!?」という感じなんだけど、ここでもやはり根性論の是非というテーマが続いてる。根性論に懐疑的になった現代における、(無意味な)根性論の巣窟としてのブラック企業という設定が見事すぎる。ブラック企業が「適法」というのを掲げてるのも意地悪で良かった。
 葬式で流れる思い出VTRが本編のエピローグ的に出てくる仕掛けも面白い。ただ、黒い交流とか大々的に知らせなくてもいいのに……とか心配にもなってしまう。割とすぐにクリーンな団体になったらしいけど。
 んで、青空に勇気と踏ん切りをもらった主人公が走り出し、ブラック企業を辞め、また新たな物語が始まっていく、というエンディングもすごい良かった。すごいトリッキーな仕掛けをしてるようで、めちゃくちゃ本作のテーマに対して誠実なアプローチをする最終回。
 んで、お知らせ。年末にGIGAで新作読切が載るらしい。そうか、最近の編集部的に、連載終了が決まったらすぐに次の新作読切を描かせて載せる、という流れがあるのか。次の最終回作品がどうなるのかもちょっと気になってきちゃう。人気と話題の熱が下がりきらないうちに次以降へと繋がる新作をぶつける、みたいな配慮なのかな。もしくは戦略。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 9月のネタハガキ東西戦。お題は「食欲の秋到来! こんな『食べ放題』はさすがにキツイ! どんな『食べ放題』?」。
 東。井の線亭ぽんぽこさんの「食材側にも食う権利がある」。急に『トリコ』の世界観なので笑った。途端に開けた平原とかが舞台になるイメージ。
 函峰明治さんの「マナーに厳しい住職が背後に配置される」。個人的には優勝。基本の食べ放題は普通のものと同じなんだけど、席の後ろに住職がいるだけで急に緊張感が……という日常とのギャップが好き。
 たてぶえサックスさんの「財布、スマホを忘れて食べ放題…」。こちらも食べ放題自体は普通のものなんだけど、そこに別の情報を加えてお題の「さすがにキツイ」をクリアしてくる切り口が面白い。友達を呼んで立て替えてもらおう……と思ったけどスマホも忘れてるのでマジで詰んでたw
 西。ゲインズさんの「霞食べ放題」。いくら食べても(常人にとっては)嬉しくないもの、として霞を持ってきたのが妙に知的で好きなんだけど、ネタとはそれほど関係ないの『ゴーストバスターズ』のイラストが謎にハマりすぎてて別個に笑った。ゴーストと仙人、全然違うのに一目で分かってしまう。
 しぶめいじさんの「クロス引きの人がいるテーブルで食べ放題」。住職のネタとも通じるんだけど、普通の食べ放題として満喫できるはずが、様子のおかしい人が目の前にいることで一気に快適さが消滅してしまうギャップが良い。あと、映像としてイメージしちゃう感じも好き。てか、食べ放題ではなくテーブルクロス引きの特殊なパフォーマンスとしては、全然ありそうでもあるな。引かれても平然と食べ続けられるほどにものが動かない、みたいな。実写化してほしい。

目次

ジャンプは小3から高3まで定期購読してました。連載はいつまで続くのだろう
(『魔々勇々』)

 ジャンプをやめた話をぶっ込んでくるの、めっちゃ良い。自覚的なイキリなのか無自覚なのかは知らんけどめっちゃ好き。

仕事中ロッキー1~ファイナルまで立て続けに流したら喋り方がロッキーになった
(『ウィッチウォッチ』)

 お願いだから『クリード』シリーズも観てぇ~、と思ったがたぶん普通に観てるんだろうな。文字数の関係で省いただけで。SHINJIDAI。

愛読者アンケート

 新連載についてと、SNS。連絡手段として使うSNSは何か。これはLINE一択だな。いや、厳密には過去にオフ会に誘われたことが数回あって、その際はツイッターだったが、それは人生で数回の出来事だと思う。てか、LINEはSNSとしては全然使ってなくて「なぜかみんなが使ってるメールアプリ」くらいの感覚のまま今に至る。普通にメールで代替可能だし、何ならSMSでもいい。
 好きなコンビニ。立地以外でコンビニを選ばないので、好きなコンビニも好きな理由も特に思い浮かばない。まぁ、超大手のコンビニなら間違いないか……という感じで選ぶことはあるかも。そういう意味では「店舗数が多い」という選択肢がしっくりくるのかもしれない。

総括

 終わり。あと、1コ。今週中にもう1コやれば終わる。終わるが、またすぐ直後に最新号が来るのですが。

 今号のベスト作品。新連載。派手なのにテンション上がらない感じが独特で良かった。
 次点は『ドリトライ』『あかね』と『キルアオ』。
gohomeclub.hatenablog.com