『サイボーグ009 BGOOPARTS DELETE』9話の感想

チャンピオンRED 2020年 06 月号 [雑誌]

　チャンピオンRED掲載の話数のズレが無事直りました。「9」までで直ったのは良かったですね。扉とか意識してたと思いますし。

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神話復活編⑨

　リコによるミュートスへの説明会。オラオラ系のリコも良いですね。何ならこっちの方が可愛いんじゃないか、とか不謹慎なこと考えてしまいますｗ
　アポロンが途中で登場する流れなので最初はアポロン不在。ヘラ以外だとミュートスのリーダーは誰なのかと思いましたが、レオーン。石ノ森版だとタテガミと電撃が渾然一体となるような描写でしたが、岡崎版ではもうちょっとリアル寄りなので違う。デフォルメ強めな描写をどうアレンジするか、というのは本作の見所でもありますね。単に続きをやるだけではなく、全体としてトーンが違う。次回あたりから始まるであろうバトル描写もそうですし。

　ゼロゼロナンバーと聞いた途端にやる気全開になっちゃうミュートスたちが単純でちょっと可愛いんですが、 “今こそ完全なる決着を望まん!!” のセリフに関しては、読者の総意でもありますねｗ 『サイボーグ009』の中でも人気のあるシリーズだと思うんですが、終わり方が、言い方は悪いけど打ち切りエンドですので。「しっかり最後まで見たかったなー」という気持ちに対して本作が、ヘラ様が見せてくれる。マジありがたい。
　同じように血気盛んになったのがアポロン。文字通り燃えてる。ここでのセリフで改めてパリで戦ったアポロンは別人というのが強調されるんですが、このおかげで「今度のはもっと厄介」みたいなワクワクがありますね。決めポーズ的に左手を前に掲げるんですが、セリフではなく「あの人とは違うよー」という説明になってるのが秀逸。

　一方、ゼロゼロナンバー。石ノ森「ミュートス」に対してのおさらいであり、後日譚が語られる。「001がいなければヘラ1人に負ける」と改めて強調されたのが絶望感あるし、あの打ち切りエンドの続きを補完してくれるのも面白いです。石ノ森版の後が語られることで岡崎版との境が限りなくゼロになる感覚ですね。もちろん二次創作的な続編ではあるんですが、限りなくすべての事柄に理屈を通すことで完全に地続きの続編になる。
　004、005が戦闘に向けて盛り上がってる中、009だけ……というのが先ほどのミュートスサイドにおけるヘレナと通じる。当たり前なんですが、ミュートスとの戦いを描くにおいてヘレナが重要キャラにはなるのは必至ですよね。ただ、本作はそこにリコという新規のヒロインが追加されてるので……というのが気になるところ。新旧のゲストヒロインが揃い踏みする構成って普通だったらあり得ないですよね。003の心労は絶えないｗ

　んで、いざ開戦の合図でエンド。まずはアトラス戦になりそうなんですが、004がノリノリなので嬉しい。原作の方だと各バトルが割と淡泊なので、すぐに自爆したがってた印象もありますが、本作ではどうなるか。
　とにかくラストページの004の膝ミサイルの描写が最高。デフォルメ強めの絵だから成立してた膝ミサイルをリアル寄りにすると、こうなる。『009 RE:CYBORG』だと002の飛行を全身機械にしてリアルに描いたおかげで「004の立場がないよ！」とか思ったんですが、本作ではしっかり004が機械人間（みんなそうだけど）。正直人体とモノの境がなくなるような描写って個人的にちょっと苦手でちょっとグロさみたいなものも感じるんですが、「膝からミサイル出るんだから気持ち悪いに決まってるだろ」と今更なことに気づかされますｗ あの膝ミサイルの準備モーション、膝をバンと叩いて、膝をガシャッと変形させてから、石ノ森版でもお馴染みのあの体勢。最高ですね。ブーツが膝まで伸びてるんですが、それがしっかりと意味のあるデザインになっていた、というのが最高。蓋が前に倒れる機構とか「デフォルメで省略してもいいのにぃぃ！！」とテンション上がってしまうｗ

　ということで終わり。いよいよバトルですね。こっからが本当の「我々の見たかったミュートス編」という感じでワクワクします。オリジナル設定とかオリジナルキャラも出してきたけど、気づけばかつてのミュートス編の再現にして続き、という状況になってきましたね。ヘラとリコが一体化した意味は大きい。このオリジナル要素を出しつつ、同時に原作リスペクトで再現、そして「見たかった続き」に注力してる感じが本作の魅力の根幹だと思います。独自の味付けも多いんですが、気づけば違和感なく原作の続きとして楽しんじゃってる、みたいな。そのバランスが絶妙。
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