北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『サイボーグ009 BGOOPARTS DELETE』18話の感想

チャンピオンRED 2021年 04 月号 [雑誌]

チャンピオンRED 2021年 04 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2021/02/19
  • メディア: 雑誌

 同号掲載の『8マンVSサイボーグ009』は表紙で、本作はセンターカラー。ちょっとした『009』祭りですね。
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神話復活編⑱

 カラー扉。ヘレナがカラーになるのが何気に貴重。ここすごい嬉しかったです。おそらくだけど、表紙だったらもっと009に寄り添った内容になってたと思うので、これはセンターカラーならではなのではないでしょうか。

 本編。009vsアポロン戦。今月はもう完璧にこの1戦に集中した内容。もうちょっと出し惜しみするというか、別の場面と平行して進むと思ったので、こんなにもガッツリ加速装置バトルが描かれることに驚きました。
 またその加速装置同士のバトル描写が最高なんですよね。本作は今までのバトル描写もめちゃくちゃ面白かったんですが、今回はまた少し毛色の違う内容になってたと思います。009とアポロン(中身違うけど)がパリで戦ったときとは違う。加速装置バトルとしてかなり極限というか、本当に良かった。過去の『009』作品、アニメなども含めると作品数は多いし、加速装置描写が魅力的なこともあったんですが、ことバトルに関しては今回の、かなり良かったというか、歴代の加速装置バトル描写の中でも相当上位に入るんじゃないでしょうか。マジめちゃくちゃかっこよかったです。西部劇の早打ち、時代劇の居合いみたいな一瞬で勝負が決まる緊張感、その一瞬が加速装置によって引き延ばされて……みたいな時間の圧縮感覚、そこからの時間が通常の速度に戻って緊張感から解放、それと同時に勝負アリ。この流れが本当に絶品。加速装置同士の対決だと、当事者はこういう感覚になるのだろうな、という説得力がある。
 原作ミュートス編での例の名台詞を踏まえたやりとりも出てくるんですが、加速装置の性能に違いがあるので、アポロンが饒舌に語るものの2人の会話にはなってないのも良い。モノローグですね。バトル漫画って「真剣勝負の最中にそんなに喋る余裕ないだろ」みたいな指摘が発生することがよくあるんですが、アポロンの場合は加速装置、それも相手よりも優れた加速装置を持ってるからこのモノローグがまったく違和感がない。というか、こんなに喋る余裕が生じてしまうほど加速の度合いに差がある、という根拠にもなってる。
 そして、ついに決着のとき。それに向けたアポロン“やがてこの数千分の一秒という孤高の時が過ぎ去ると… そこには…互いに交わした最期の一撃の…” “因果が現れる…” というアポロンの語りが超かっこいいです。加速装置の解除、もしくは漫画として描かれる時間速度が等倍に戻って、攻撃の結果が互いの体に反映される。加速装置バトルにおいてこのアプローチが本当に素晴らしかった。互いに光線という遠距離武器を用いた戦いなので攻撃から着弾の間にわずかながら時間があり、加速装置を用いたバトルではそのわずかな時間すら引き延ばされる。加速装置で殴り合うんだとこの時間差は生じなかったですよね。互いに攻撃をし、時間の速度が通常に戻って互いの攻撃の結果を確認する。すると饒舌だったアポロンのモノローグが途中で遮られる形で決着。そして、最期に009が少しだけ語る。本話の009がめちゃくちゃセリフが少なくて、そこがクールで、何なら不気味さすら感じるほどでかっこいい。

 本話は丸々アポロン戦で、その結果を受けたヘレナのリアクションで終了。とにかくアポロン戦が最高だったんですが、話としてはまだ全然終わってないんですよね。そこが衝撃ですよ。もうこれ以上盛り上がるの無理じゃない? とか思ってしまうんですが、まだオリジナル設定で強キャラ感マシマシのヘレナが控えているし、そもそも原作における最強格のヘラが残ってますからね。よく考えたら今回のアポロン戦って本作の主軸となる物語からしたら実はそれほど重要ではなくて、あくまでも原作の重要キャラだからというバランスですよね。それがこんな充実度でいいの?? と驚くばかりです。


 終わり。今回は疑いようのない傑作回でした。ベスト回更新だと思いますし、「神話復活編」全体で見てもハイライトなんじゃないですかね。まだまだ続くので早計なんですがw
 まぁとにかく、こっちは来月も掲載なのでありがたい限りです。いやホント俄然楽しみになってきました。
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